下位脳神経鞘腫のガンマナイフ治療の長期成績を報告した. 症例は男性11, 女性22例の計33例であり, 平均年齢は47.3歳であった. 多くの症例は下位の脳神経の神経症状として, 嚥下障害, 嗄声, 舌の萎縮などを示した. 前治療として17例には手術的摘出が施行されていたが, 16例については神経症状と画像所見により診断した. ガンマナイフ時の腫瘍サイズは平均して25mmであり, 平均の辺縁線量13.3Gyで治療されている. 治療後, 腫瘍は良好な反応を示し, 83カ月の平均経過観察期間においてCR 1, PR 23, NC 9となった. 2例において経過観察中, 嚢腫の増大が認められたが, 嚢腫の処理によって再度安定しNCとなった. その他, どの症例にも明らかな副作用は認められていない. 機能的には嚥下障害, 嗄声の症状は多数例において改善したが, 舌の萎縮, 聴力障害, 失調などは不変であった. 治療全体を総合的に判断できるよう神経鞘腫のスコアリングを提示した. 腫瘍コントロールに4点, 機能コントロールに4点, 副作用回避に2点, 合計10点満点でみると, ガンマナイフ治療において, 下位脳神経鞘腫は他の神経鞘腫に比べ点数が最も高く, 質の高い治療が達成されたと判断した. 大きな腫瘍, 頭蓋内, 錐体部, 頚部に進展するdumbbell-typeの腫瘍では外科的摘出が必要であるが, 頚静脈孔内, あるいはその近傍の腫瘍, あるいは残存, 再発腫瘍に対してはガンマナイフ治療がきわめて有効である.
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