無症候性脊髄脂肪腫に対する予防的早期手術の是非について結論はついていない. その解決には, 自然歴とのランダム化比較試験が必要とされるが, 2群間のmatchingや研究の倫理性に問題がある.
脊髄脂肪腫158例 (男女) の臨床像を分析し, 術後7年間以上の経過観察ができた無症候性脊髄脂肪腫51例の長期治療成績を調査した.
無症候性86例, 症候性72例. Lipomyelomeningocele (LMMC) とtransitional typeの60%は症候性であった. 手術の67%は1歳未満で行われた. 初回手術時年齢の中央値は0.45歳で, 無症候性は0.4歳, 症候性は0.7歳であった. 無症候性脊髄脂肪腫51例の長期観察 (7.6~25.4年 : 中央値10.8年) で10例 (19.6%) に神経障害が出現し, 5例 (9.8%) に再係留解除術が行われた.
LMMC, sacral lipoma, そしてlarge lipomaの多くが1歳未満で症候性になり, 脊髄ヘルニア, urological studyによる早期診断, 圧迫がその原因として考えられた.
LMMC, sacral lipoma, large lipomaは1歳までに, dorsal type, filar typeには3歳までの手術が望ましいと考えられた.
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