脳神経外科ジャーナル
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24 巻, 4 号
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特集 虚血性脳血管障害の病態と診断・治療
  • 吾郷 哲朗, 脇坂 義信, 黒田 淳哉
    2015 年 24 巻 4 号 p. 220-225
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
     脳卒中は寝たきり・介護の最大要因である. 最重症型脳梗塞サブタイプである心原性脳塞栓症の多くは心房細動患者に発症するため, 心房細動患者, 特に高齢者には, 適切な抗凝固療法を行なわなければならない. 近年, 新規経口抗凝固薬が続々と登場してきたこともあり, われわれはその特性についてよく理解し適切に使用する必要がある. 本総説では, 心原性脳塞栓症予防における抗凝固療法の現状や注意点などについて議論する.
  • 井口 保之, 三村 秀毅, 小松 鉄平, 作田 健一
    2015 年 24 巻 4 号 p. 226-231
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
     急性期脳卒中診療はt-PA静注療法が認可されて以降, 劇的に変化している. 一人でも多くの市民を救うためには, ①脳卒中啓発活動, ②stroke bypassによる救急隊搬送, ③遠隔医療支援を活用した脳卒中受け入れ体制整備が重要である. さらに脳卒中専門施設は, 再灌流療法を迅速に実施できる院内診療体制を確立する必要がある.
  • 鈴木 秀謙, 川北 文博, 刘 磊, 市川 尚己, 藤本 昌志, 芝 真人
    2015 年 24 巻 4 号 p. 232-238
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
     脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血 (SAH) は依然, 予後不良である. 脳血管攣縮は介入可能な予後不良因子として最重要視され, 過去50年以上にわたり研究および治療のターゲットであった. しかし, 遅発性脳梗塞の発生率はいまだに約20%と高く, 解決したとは言い難い. 一方, 最近の臨床研究で脳血管攣縮の克服だけではSAHの予後改善に限界があることは明らかである. 即ち, 脳血管攣縮とは別に脳側の要因が重要視されるようになり, 早期脳損傷という新たな病態が提唱されたり, 大脳皮質拡延性抑制の関与が報告されるなど, SAH後の遅発性脳虚血の病態に関する新たな展開がみられる. ここでは遅発性脳虚血に関する最近の知見と課題を述べる.
  • 菱川 朋人, 平松 匡文, 徳永 浩司, 杉生 憲志, 伊達 勲
    2015 年 24 巻 4 号 p. 239-243
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
     もやもや病の病態解析において血管構築と遺伝子の観点から最新の知見を紹介する. 血管構築においては前方循環と外頚動脈系, 前方循環と後方循環の間にそれぞれinteractionが存在する. 前者のinteractionは「鈴木の分類」に代表され, 病態解析の中心的役割を担ってきた. 後者のinteractionは虚血重症化に関与し, 小児と成人で異なるパターンが存在する. 遺伝的要因においてはRNF213を中心とした遺伝子解析はもやもや病の病態解析に新たな局面を提供しており, 予後や治療効果の予測に応用できる可能性がある. 遺伝子治療は基礎実験の段階であるが, 血行再建術を補助する方法として期待される.
温故創新
症例報告
  • 佐瀬 泰玄, 小野寺 英孝, 内田 将司, 水庭 宣隆, 小菅 康史, 高砂 浩史, 伊藤 英道, 平本 準, 大塩 恒太郎, 田中 雄一郎
    2015 年 24 巻 4 号 p. 246-251
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
     症例は, 無症候のため半年間経過観察された慢性硬膜下血腫 (chronic subdural hematoma : CSDH) の81歳男性. ADL低下と発熱を主訴に来院した. 入院し熱源精査中の5日目に左片麻痺をきたし, 既存血腫に対し穿頭術を施行した. 血液の混じった膿汁が排液され, 感染性硬膜下血腫 (infected subdural hematoma : ISH) と診断した. その後再発し, 穿頭術を2回施行した. 抗菌薬で炎症反応も軽快し, 病変は画像上器質化したと判断された. 発熱と炎症反応を伴うCSDHはISHの可能性があり注意が必要である. 診断および治療に苦慮した経過の詳細を記載し, 過去の報告例を分析した.
  • 藤田 祐一, 山下 晴央, 林 成人, 山本 祐輔, 田中 宏知, 原 淑恵, 甲村 英二
    2015 年 24 巻 4 号 p. 253-258
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
     重症頭部外傷治療において減圧開頭術後に対側血腫増大を認めることがまれにあり, 重篤な合併症の一つである. 当施設で経験した重症頭部外傷6例から外傷性頭蓋内血腫除去術後に対側手術が必要となる頭蓋内血腫形成および増大の予測因子と治療戦略について検討した. 予測因子として初回開頭術側の対側の骨折は重要であった. また, 初回開頭術野の脳腫脹は対側血腫増大の間接的所見になり得た. 対側血腫形成あるいは増大を疑う重症頭部外傷では可及的速やかに初回手術を終了し, 術後早急な頭部CT撮影による確認が重要であり, タイミングを逸しない対側の連続手術が救命率向上を含めての転帰改善につながると考える.
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