脳神経外科ジャーナル
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25 巻 , 11 号
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特集 悪性グリオーマに対する治療
  • 大上 史朗
    2016 年 25 巻 11 号 p. 882-888
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    ジャーナル フリー

     BCNU waferは, 悪性神経膠腫の摘出後に局所投与する化学療法剤で, 日本では2013年より認可された. 本論文では, 自験例も含めた知見を含め, BCNU waferの概要, 動態ならびに治療成績について概説する.

     BCNU waferは, BCNU 7.7mgを含有する徐放性調剤である. 悪性神経膠腫の再発の多くが局所再発であることから, 局所制御を目的とした本剤は有用であると期待できる. In vitroin vivoの研究においては, 留置後高濃度のBCNUが局所に数週間にわたり分布するとされる. 臨床例においても, 摘出腔内では, 少なくとも留置後1週間は数μmol/lの高濃度のBCNUが分布していた. 治療効果についてのメタアナリシスの結果から, 初発例におけるStupp regimenへの追加効果は期待できるが, 再発例については十分なエビデンスがないと考えられる. しかし, 使用期間も短く, 今後のさらなる臨床研究の結果が待たれる.

  • 松田 良介, 中村 光利, 田中 祥貴, 尾本 幸治, 西村 文彦, 中川 一郎, 本山 靖, 朴 永銖, 中瀬 裕之
    2016 年 25 巻 11 号 p. 889-894
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    ジャーナル フリー

     BCNU waferは悪性神経膠腫切除後の摘出腔に敷き詰めることにより, 全身性の合併症なく直接残存腫瘍や浸潤する腫瘍に抗腫瘍効果を発揮する薬剤である. 2013年の本邦での発売から約3年が経過し, これまでに約3,000症例以上に使用されている. BCNU waferは悪性神経膠腫に対する外科的切除と術後の化学放射線治療までの空白期間を埋める新しい局所性抗がん剤として期待されている. ただ, 治療におけるさまざまな条件の中で, 摘出率の高い群に特に有効であるとのデータはあるものの, それ以外にはどのような症例に有効であるかを示す報告は少ない. また, BCNU waferの留置に際して, 術後の脳浮腫, 創部治癒遅延などの合併症も報告されているため, 適切な使用と合併症回避に十分な注意を要する. 現在の悪性神経膠腫に対する標準治療であるStupp regimenに対するBCNU waferの上乗せ効果の検証は十分とはいえず, 今後とも新たなエビデンスの蓄積が待たれる.

  • 丸山 隆志, 村垣 善浩, 新田 雅之, 都築 俊介, 安田 崇之, 生田 聡子, 川俣 貴一
    2016 年 25 巻 11 号 p. 895-904
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    ジャーナル フリー

     タラポルフィリンナトリウム (レザフィリン®) を用いた光線力学療法は悪性脳腫瘍に対する新たな治療法の1つとして認可された. 当初, 早期肺癌に対して開発され医師主導治験を行い悪性脳腫瘍への適応拡大に至った. 新規膠芽腫13名に対する臨床試験の結果では, 特記すべき有害事象はなく12カ月後無増悪生存期間は12カ月, 全生存期間24.8カ月であった. このうち東京女子医科大学から登録された11例の再発パターンの解析では, 4例が光線力学による照射範囲から, 2例は放射線照射野内から, 4例は遠隔からの再発が確認された. レーザー照射部位の画像上の変化は表面から約10mmまでに及び, 照射後約2カ月間で消失していることが観察された. これらの結果より本療法は腫瘍摘出術後残存部分に対する局所制御効果に寄与する治療であり, 照射領域へのダメージは少なく選択的に抗腫瘍効果をもたらす可能性が示唆された. 本療法の治療成績, 臨床上の注意点について本稿では解説を行う.

  • 山本 哲哉, 上月 暎浩, 鶴淵 隆夫, 松田 真秀, 阿久津 博義, 石川 栄一, 高野 晋吾, 松村 明
    2016 年 25 巻 11 号 p. 905-911
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    ジャーナル フリー

     光線力学的療法 (photodynamic therapy : PDT) は, 光増感剤の腫瘍集積性と励起用レーザー照射後の光化学反応を利用し, 腫瘍細胞選択的な効果を得ようとする手法である. PDTではレーザー光が直接腫瘍組織に作用するのではなく, 光エネルギーを吸収して励起状態 (一重項状態) に遷移した光増感剤が基底状態に戻る際のエネルギー転換により一重項酸素 (活性酸素の一種) が発生し, その強力な酸化作用が腫瘍組織内の光増感剤周囲のごく限られた範囲に短時間作用することで腫瘍組織選択的効果が得られる. この稿では, 原発性悪性脳腫瘍に対するPDTに使用する光増感剤タラポルフィンナトリウム, 励起用レーザーに焦点をあて, 概説した.

  • 三宅 啓介, 田宮 隆
    2016 年 25 巻 11 号 p. 912-921
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    ジャーナル フリー

     悪性神経膠腫に対しての標準治療法に加え, 血管新生阻害剤であるベバシズマブ (bevacizumab : Bev) が新たな治療法の1つとして期待が高まっている. 今回, われわれは画像所見よりBev治療による効果判定および予後予測について紹介し, 現状と課題について概説した.

     MRI画像による有用な評価として, ①凝固壊死による石灰化および血管の硝子化変性を示すDWIの早期高信号, ②腫瘍内異常血管の正常化を示すperfusion MRIのCBV低下.

     PET画像による評価として, ①FETおよびFDOPAはBev治療非反応群をMRI検査より早期に診断可能, ②血管透過性と関連があるFLTは, 集積低下の評価に注意が必要, ③VEGF発現と関連するFMISOの集積低下は治療効果判断に期待.

     以上, Bev治療効果の判断には, これまでのMRI画像評価に代謝と関連したMRI検査やPET検査を加えることで総合的に比較検討することが大切である.

  • 橋本 直哉
    2016 年 25 巻 11 号 p. 922-927
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    ジャーナル フリー

     グリオーマの治療成績は悲観的で, 代表的なグリオーマである膠芽腫の全生存期間は14.6カ月とされる. このことは標準治療とされている手術・放射線・化学療法に加え得る何らかの治療法が必要であることを示している. 本総説では, まず 「標準治療とは何か」 について考え, WHO新分類の意義と実際を念頭に置きながら, 2016年初頭におけるグリオーマの世界標準および国内標準の治療について述べた. 特に光線力学的診断を駆使した蛍光誘導手術とその成績, テモゾロミド以外に国内で使用できる薬物や治療について, その適応と問題点を明らかにした. また, 試験治療の例として次世代の標準治療として期待される免疫療法についても概説した.

温故創新
原著
  • 小野 功朗, 花北 順哉, 高橋 敏行, 渡邊 水樹, 河岡 大悟, 大竹 安史
    2016 年 25 巻 11 号 p. 931-937
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    ジャーナル フリー

     Cloward法での頚椎前方固定の長期的な放射線学的評価および臨床経過を検討した.

     術後1年以上が経過した状態での臨床症状 (JOA scoreおよび採骨部痛) についてアンケート調査を実施した. 術後1年以上が経過した状態での全頚椎配列, 頚椎罹患分節間配列, 罹患部位椎体高について放射線学的評価をretrospectiveに行った.

     JOA scoreは有意な改善を認めた (p<0.001). 採骨部痛は1.3%で痛みが継続した. 全頚椎配列は術前後で平均+0.44度, 頚椎罹患分節間配列は術前後で−1.90度, 罹患部位椎体高は平均−1.59mm変化していた.

     長期経過した症例においても術前と比較して有意な臨床症状の改善を認めた. 臨床症状の経過と今回用いた放射線学的指標に相関性は認めなかった.

治療戦略と戦術を中心とした症例報告
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