脳神経外科ジャーナル
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25 巻, 3 号
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特集 神経外傷・救急
  • 末廣 栄一, 小泉 博靖, 井上 貴雄, 藤山 雄一, 篠山 瑞也, 出口 誠, 米田 浩, 石原 秀行, 野村 貞宏, 鈴木 倫保
    2016 年 25 巻 3 号 p. 214-219
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/25
    ジャーナル フリー
     重症頭部外傷の集中治療において頭蓋内圧モニターの使用頻度は年々減少している. しかし, 若年者や脳腫脹の強い症例には積極的に使用されている. 経過中の頭蓋内圧の最高値が, 20mmHg以下であれば転帰良好率は有意に高く, 40mmHgを超えると死亡率が有意に上昇していた. 一般的には脳室カテーテルからの頭蓋内圧測定が推奨されているが, 日本では脳実質内での測定が多い. 頭蓋内圧亢進時には, 薬物治療から減圧開頭術までさまざまな治療法がある. 頭蓋内圧モニターを施行している患者群では, このような治療が積極的に行われており, 死亡率は有意に減少しているが, 転帰良好率の改善には至っていない. 今後, 脳神経外科医や神経集中治療医によるチーム医療が治療成績改善に寄与すると期待する.
  • 横堀 將司, 山口 昌紘, 五十嵐 豊, 亦野 文宏, 廣中 浩平, 恩田 秀賢, 桒本 健太郎, 荒木 尚, 布施 明, 森田 明夫, 横 ...
    2016 年 25 巻 3 号 p. 220-228
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/25
    ジャーナル フリー
     頭部外傷や脳卒中, 心停止後症候群 (post cardiac arrest syndrome : PCAS) など, 神経救急疾患において脳保護・脳蘇生を指向したモニタリングの重要性が強調されている. また, 依然challengingではあるが, 各種モニタリングを治療方針決定に生かす試みも始まっている. 新しいモニタリングとしてPCAS患者でのaEEG・rSO2による予後予測, 神経外傷モデルによるバイオマーカー (UCH-L1, GFAP) 測定などが挙げられる. これらモニタリングと治療の往復がさらなるエビデンス構築に寄与すると期待される.
     本稿は神経救急分野におけるモニタリングの重要性と, それらを加味した治療戦略確立の重要性を提示する. 救急脳外科疾患における “判断と行動” の一助になれば幸いである.
  • 貴島 晴彦, 押野 悟, 吉峰 俊樹
    2016 年 25 巻 3 号 p. 229-235
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/25
    ジャーナル フリー
     非痙攣性てんかん重責 (NCSE) は, 高齢者人口の増加に伴いその発病頻度が増加していると考えられている. NCSEは治療予後が良好でないケースも多く, また致死率も高い. しかし, その症状や脳波所見は多彩であり, また原因となる疾患も神経疾患や代謝性疾患もあり幅広い. 臨床症状と脳波所見が診断の中心となるが, その定義やガイドラインは確立されていない. 本稿では, NCSEの理解を深めるため, その疫学, 原因疾患, 診断, 治療を概説するとともに, 日常診療で遭遇した1例を提示する.
原著
  • —分類と手術適応の検討, ならびにその手術手技—
    谷野 慎, 宮原 宏輔, 市川 輝夫, 藤津 和彦, 岡田 富, 瓜生 康浩, 畑岡 峻介, 田中 悠介, 鈴木 幸二
    2016 年 25 巻 3 号 p. 236-245
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/25
    ジャーナル フリー
     Paraclinoid aneurysms (PCAs) の治療は, 動脈瘤頚部の正確な位置を理解することがきわめて重要と考える. 過去さまざまな同部位の動脈瘤の分類はされてきたが, われわれは新たにPCAsを術中所見から大きく3つのtype, 8つのsubtypeに分類, 分析した (眼動脈瘤, 内頚動脈前壁動脈瘤を除く). これをもとに術前評価, 手術適応や手術戦略を再検討する. またPCAsの手術は局所解剖の理解とともに, 高度な技術が必要とされる. 手術における注意点や工夫についても論じる.
症例報告
  • 藤森 健司, 河内 正光, 藏本 智士, 勝間田 篤, 小野 恭裕, 合田 雄二
    2016 年 25 巻 3 号 p. 246-251
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/25
    ジャーナル フリー
     症例は38歳女性. 数年前より右三叉神経第2, 3枝領域の疼痛を自覚し, 近医にて三叉神経痛との診断のもと, 内服による加療を受けていたが, 十分な改善は得られなかった. MRIやCT angiographyで脳幹内に内在するvenous angiomaが認められ, その主たるdrainerであるtranspontine veinが太く拡張し, 三叉神経に接触していた. 右後頭下開頭で微小血管減圧術を施行した. Transpontine veinは三叉神経を中央部で貫通した後に腹側に神経を圧排し, petrosal veinへ導出していた. 責任静脈を温存しながら, 神経との癒着を剝離し, 静脈と神経の間を遊離した. その後, 静脈と神経の間にprosthesisを留置し神経減圧を行った. 術後は特に合併症なく, 右三叉神経領域の痛みは消失し, 術後1年間の経過では再発はみられていない.
  • 木下 景太, 安積 麻衣, 平井 聡, 松下 展久, 戸井 宏行, 松原 俊二, 宇野 昌明
    2016 年 25 巻 3 号 p. 252-257
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/25
    ジャーナル フリー
     脳室内出血にて発症したレンズ核線条体動脈末梢部動脈瘤に対して経過観察にて良好な結果を得た1例を報告する.
     本疾患の報告はまれであるが, 原因不明の脳室内出血の原因として本疾患も鑑別に挙げる必要がある. 自己免疫疾患やもやもや病に合併した例が報告されているが, 感染性動脈瘤の報告はない. 治療に関して, クリッピングやコイル塞栓術が施行された例もあるが, 本例と同様に経過観察で消失した報告も散見されるため, 保存的治療も選択肢の1つとして考慮すべきである.
治療戦略と戦術を中心とした症例報告
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