脳神経外科ジャーナル
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25 巻 , 7 号
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特集 グリオーマ
  • 杉山 一彦
    2016 年 25 巻 7 号 p. 542-547
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
     WHO2007までの脳腫瘍分類はHarvey W. Cushing, Lucien J. Rubinsteinといった著名な研究者が中心となって, 形態学に基づいた分類を行ってきた. しかし, 近年脳腫瘍に関する分子情報が膨大に蓄積され, これに基づく脳腫瘍分類の必要性が高まってきた. これらに対応するかたちでWHO2016が策定されようとしている.
     WHO2016はintegrated diagnosisを標榜しており, 組織形態学 (histopathology), WHO grading, 分子情報 (molecular information) を総合して脳腫瘍診断を試みている. 神経膠腫分野ではoligoastrocytomaの概念が削除され, IDH遺伝子変異, ATRX遺伝子変異, 1p/19q共欠失の3点の有無に基づき, astrocytoma系腫瘍とoligodendroglioma系腫瘍に分類することが要点となっている.
  • 隈部 俊宏
    2016 年 25 巻 7 号 p. 548-554
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
     神経膠腫に対する手術療法の意義を, 時代の変遷に従って, ①神経膠腫に対する手術療法の黎明期 : magnetic resonance imaging導入期まで, ②神経膠腫手術療法における “maximize tumor resection & minimize surgical morbidity” 概念の導入, ③直近20年の神経膠腫手術療法の変遷, ④神経膠腫手術療法と脳機能領域, ⑤現時点での無症候性神経膠腫に対する手術療法と将来 : 機能的摘出境界の意義, の5項目に分類してまとめる.
  • 村垣 善浩, 伊関 洋, 丸山 隆志, 新田 雅之, 齋藤 太一, 田村 学, 都築 俊介, 安田 崇之, 岡田 芳和, 川俣 貴一
    2016 年 25 巻 7 号 p. 555-565
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
     手術において外科医の不断の技術改善や術式開発は持続的innovationとしてstep by stepでの成績向上に寄与している. 一方でdistruptive innovation (“破壊的” イノベーション) といわれる非連続的な変化は, 新規医療機器でもたらされることが多い. CTやMRI, ガンマナイフやコイル等の診断治療機器, そして手術用顕微鏡やナビゲーション等の手術支援機器である. 今回, 手術支援機器による情報をどのように術中判断し行動に移すべきかを解説した.
     新規手術支援機器の本質的な目的は, 生体情報の可視化である. 可視化された新規画像自体で術中判断に貢献するが, 多くは定性的であり判断に経験が必要である. 第2段階として, 画像解析による定量化や画像抽出 (segmentation) によって意味付けされたデジタルデータへ変換できればより客観的なデータとなる. 第3段階としてデジタル “データ” を意思決定に有用な “情報” に変換する (インフォ化 : 情報化) が必要となる. インフォ化の具体例として, 解剖学的情報は摘出閾値, 機能的情報は刺激強度閾値, 組織学的情報は術中flowcytometryを提示する.
     インフォ化された情報は, 意思決定と行動に直結するため, 条件や統計そして環境を理解したうえで使用すべきである. インフォ化の元になる閾値は絶対的なものでなくあくまで指標であり, 施設方針や患者希望で変え得る. 多施設でのフィードバックにより, より成功確率の高い手術支援機器による情報のインフォ化を目指すべきと考える.
  • 成田 善孝, 渋井 壮一郎, 嘉山 孝正, 佐藤 慎哉, 若林 俊彦, 村垣 善浩, 永根 基雄, 西川 亮
    2016 年 25 巻 7 号 p. 566-578
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
     日本臨床腫瘍研究グループ (Japan Clinical Oncology Group : JCOG) は, 国立がん研究センター研究支援センターにより臨床研究の直接支援を受ける研究班からなる国内最大の多施設共同がん臨床研究グループである.
     JCOGの目的は, 多施設共同臨床試験を行い, 標準治療 (最も効果的な治療) を確立し, その研究成果を国内外に発信し, がん患者の診療の質と治療成績の向上を図ることである. JCOG脳腫瘍グループは35の登録施設と11の定位放射線治療施設からなり, これまでに7つの試験を開始した. 膠芽腫や転移性脳腫瘍に対する3つの試験を完遂し, これらの臨床試験によって国内の悪性脳腫瘍に対する臨床試験の方法や実践法が確立し, その後の新規治療薬の開発のための治験等の遂行にも大きな影響を与えた.
温故創新
手術手技・周術期管理
  • 青木 信彦, 岡田 隆晴
    2016 年 25 巻 7 号 p. 581-584
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
     著者らは低侵襲で高齢者に優しい治療として経皮的硬膜下穿刺を開発し報告してきた. その究極的な応用として, 血腫の完全な除去を目的に, 生理食塩水での洗浄によるのではなく, 酸素による置換を考案し多数の症例を治療してきた. しかし, この治療法の限界として隔壁を形成した多房性の慢性硬膜下血腫の場合が指摘されている. ここでは, 多房性血腫における酸素の追加注入の具体的な手技について解説するとともに, そのメカニズムについて推論を加えた.
  • 羽柴 哲夫, 木下 喬公, 山上 敬太郎, 本郷 卓, 高崎 盛生, 宮原 永治, 山田 圭一, 藤本 康裕
    2016 年 25 巻 7 号 p. 586-590
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
     頭蓋骨腫瘍摘出術は通常手術難易度は高くない. しかし, 硬膜との癒着を伴う場合は, 操作は煩雑となり, 悪性腫瘍が疑われる場合は腫瘍細胞を飛散させない努力も必要である. われわれが採用しているドーナツ型開頭による一塊切除法を紹介する. 皮膚切開後, 病変を含んだ頭蓋骨面を露出させ, 正常骨上で腫瘍を取り囲むように数カ所の穿頭孔を設ける. 骨切除は各穿頭孔間の内縁と外縁をそれぞれつなぐように行い, ドーナツ型に硬膜面を露出させる. 露出された正常硬膜を円状に切開することで, 病変に対する硬膜まで含めた一塊切除が可能となる. 本法は正常組織領域の最低限の切除操作のみで, 癒着硬膜と主病変を一塊に摘出することができるため, 手技の簡便性, 根治性, 侵襲性の点で優れた方法といえる.
症例報告
  • 平井 希, 林 盛人, 齋藤 紀彦, 平元 侑, 藤田 聡, 中山 晴雄, 木村 仁, 青木 和哉, 岩渕 聡
    2016 年 25 巻 7 号 p. 592-597
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
     NOAC内服中の脳主幹動脈閉塞患者に対する急性期再開通療法の明確な指針は現時点で示されていない. 今回dabigatran内服後早期に発症した脳梗塞の治療経験を報告する. 症例は58歳男性, 右片麻痺, 失語を主訴に発症後35分で救急搬送された. 心房細動, 心原性塞栓症の既往がありdabigatran内服中であった. 脳梗塞の診断となるも最終服薬後4時間であり, rt-PA静注療法は施行せずステント型血栓回収デバイスによる血栓回収術を施行し, 合併症なく完全再開通を得た. Dabigatran内服中にrt-PA静注療法を行う際は最終投与から7時間以上が1つの目安とされており, 内服後経過時間の短い症例では, 血管内治療による血栓回収療法が考慮される.
治療戦略と戦術を中心とした症例報告
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