脳神経外科ジャーナル
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26 巻 , 3 号
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特集 神経外傷
  • 萩原 靖
    2016 年 26 巻 3 号 p. 168-177
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

     頭部外傷手術は最も古くから行われてきた脳神経外科手術であり, 今後の低侵襲化や技術革新の波の中でも最後までなくなることはない手技の1つである. 頭部外傷の世界では, 現代の脳神経外科医が忘れがちな, 冷静な判断力, 分野を超えた幅広い知識など, 予期せぬ事態に対処するさまざまな力が要求される.

     また一見伝統的な分野にみえて, 外傷性凝固障害に対する新しい対処法や複合外傷に対する治療パラダイムの改善など, 時代に即した進歩がみられる分野でもある. 本稿では減圧開頭の基本的手技と考え方, 治療の障害となる凝固障害への対処法とともに, これからの頭部外傷治療の方向性についても言及した.

  • 末廣 栄一, 藤山 雄一, 杉本 至健, 五島 久陽, 篠山 瑞也, 小泉 博靖, 石原 秀行, 野村 貞宏, 鈴木 倫保
    2016 年 26 巻 3 号 p. 178-184
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

     One Week Study 2012 (日本頭部外傷データバンク) によると, 軽症・中等症頭部外傷は入院を要する頭部外傷の86%を占め, 頻繁に遭遇する病態である. 中等症頭部外傷においては15%, 軽症頭部外傷においては7.6%の割合で重症化し, 外科的治療が必要となっており, 軽視せずに慎重な判断や対応が重要である. 入院後は, 重症化の危険因子を踏まえたうえで, 積極的な経過観察が重要となる. 頭蓋内病変の有無や重症化の予測ツールとしてS-100B proteinやD-dimerなどの血液biomarkerが注目を浴びており, 自験例も含めて紹介する. 軽症・中等症頭部外傷においては, “重症化” への対応と同様に, 高次脳機能障害や脳震盪後症候群などの社会的問題への対応も重要である. 今後, 脳神経外科医が真摯に取り組むべき分野である.

  • 河井 信行, 畠山 哲宗, 田宮 隆
    2016 年 26 巻 3 号 p. 185-194
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

     脳外傷後の身体障害が軽い患者では, 外見からは高次脳機能障害が時にわかりにくく, 「見えない障害, 隠れた障害」 などと称される. 外見上は良好に回復しているものの, 社会生活への適応が障害されており, 実際の生活や社会に帰って初めて問題が顕在化し, 結果的に元の学校や職場に戻ることができないこともしばしばある. 本稿では, 脳神経外科医が知っておくべき脳外傷後高次脳機能障害の特徴と診断として, ①急性期の意識障害の正確な記載と早期の画像診断の重要性, ②診断困難例における頭部SPECTやPETなどの機能的画像診断法の有用性, ③自動車運転再開における脳神経外科医の役割について概説する. 脳外傷後高次脳機能障害の病態を正しく理解し診断や治療方針を決めるとともに, 社会参加への適切な判断や指導における脳神経外科医の役割が今後さらに高まると思われる.

  • 荻野 雅宏, 川本 俊樹, 新郷 哲郎, 金 彪
    2016 年 26 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

     スポーツ頭部外傷の最大の特徴は繰り返し受傷がまれでないことであり, 急性脳腫脹や慢性外傷性脳症などの問題につながると考えられている. 現場での判断やその後の対応については, 国際スポーツ脳振盪会議の共同声明や, アメリカ神経学アカデミーによるガイドラインなどのコンセンサスが形成されつつある. わが国では 「スポーツ頭部外傷における脳神経外科医の対応」 (神経外傷36 : 119-128, 2013) がこれに相当し, すべての脳神経外科医が内容に精通する必要がある. 新たな知見や指針が専門家の間で共有されるだけでは不十分で, これらをいかに現場に還元し, プレーや指導に生かすかが重要である.

  • 鈴木 晋介, 井上 智夫, 村上 謙介, 江面 正幸, 上之原 広司
    2016 年 26 巻 3 号 p. 200-207
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

     脊髄損傷の急性期の管理の要点は, ADL自立に向けて早期離床させ, 早期にリハビリテーションを開始することにある. 責任圧迫病変や高度不安定病変に対しての急性期早期観血的治療を行い早期に離床させることはその意味で理にかなっているものと思われる. 脊椎インストゥルメンテーションの使用により術後臥床期間の短縮が可能である. 本邦では近年, 高齢者脊髄外傷症例の著明な増加傾向を認める. 何らかの対策が必要である. 頚椎外傷では椎骨動脈損傷に留意し, その評価が重要である. 移植治療は今後有望な治療方法であるが, まだ決定的なところまでは行っていない. 今後待たれるところが大きい. 脊髄外傷の病態を理解しイニシアチブのとれる脳神経外科医が増えることを切望する.

原著
  • 舟越 勇介, 山田 哲久, 名取 良弘, 今本 尚之, 井上 大輔, 森 恩
    2016 年 26 巻 3 号 p. 208-214
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

     当施設におけるacute subdural hematoma (ASDH) の手術症例から, 本地区におけるASDHの治療状況を検討した. 本地区におけるASDHの治療状況の特徴は, 高齢者が多く, 大部分の頭部外傷を当施設が受け入れていることである. 重症例や高齢者が多いため, 予後良好群は25.0%に留まり, 39.8%に周術期合併症を認めた. 本研究では意識レベルおよび瞳孔所見, 血腫の厚さ・midline shift・脳底部くも膜下腔の圧排・皮質の外傷性くも膜下出血といったCT所見が有意な予後因子であった. また, 周術期合併症は予後不良因子となる可能性が高く, 初期対応だけでなく術後管理も重要であることが示唆された.

症例報告
  • 秋 禎樹, 竹内 和人, 渡邊 督, 永田 雄一, 若林 俊彦
    2016 年 26 巻 3 号 p. 216-223
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

     脳幹部海綿状血管腫 (BSCM) は, 高い出血率を有する血管奇形の1つとして知られている. 出血や増大傾向を示すBSCMは神経学的予後に影響するため外科的治療が必要となるが, 脳幹部への外科的治療は少しの正常組織への侵襲も術後の神経予後を大きく悪化させる可能性がある. 今回筆者らは2例 (橋腹側1例, 中小脳脚1例) の症候性BSCMに対して内視鏡的に摘出を行った. どちらの症例もMR diffusion tensor image (DTI) を用いて病変部や錐体路の位置を把握した. 術中は内視鏡下にwet field methodを用いて摘出および摘出腔内の止血を行い, 術後, 神経学的な改善が得られた. これらの技術により, 今後, 脳幹部病変に対しての内視鏡を用いた治療が正確かつ安全に行われるようになると考える.

治療戦略と戦術を中心とした症例報告
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