脳神経外科ジャーナル
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28 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集 みらいを救う神経科学―リーダーたちの挑戦―その2
  • 貴島 晴彦
    2019 年 28 巻 2 号 p. 58-64
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

     定位脳手術, 脳破壊術, てんかん外科などを行う機能外科は, 工学的な技術の躍進を背景にした機器開発や脳機能の解明により, 新時代に入ったといえる. この10年間でも, 脊髄刺激や脳深部刺激のための植え込み型刺激装置や刺激電極が大きく進化した. まったく新しい手法として, MRIガイド下集束超音波による振戦の治療が開始された. その他にも, ITB療法や迷走神経刺激療法が可能となっている. このように機器の進歩や導入により, 治療効果の改善のみならず, その適応範囲も拡大している. また, 計算技術を用いた脳機能の解明が急速に進んでいる. 今後は, これまでの対象疾患だけでなく精神疾患から認知症などの幅広い患者に寄与することが予想される.

  • 坂本 博昭
    2019 年 28 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

     小児人口の減少に伴い脳神経外科医が小児脳神経外科疾患を経験する機会が減り, 施設間や地域間の診療水準の拡差が広がりつつある. この領域の診療水準の維持・向上のため, 日本小児神経外科学会では診療ガイドライン策定に取り組み, 小児神経外科認定医制度を設立した. 一方, より高度の医療を提供するため, 本学会は小児脳腫瘍の分子分類の研究や臨床試験の支援, 水頭症のシャント治療結果に関する学会主導の臨床研究, 活発な国際交流を行っている. これらと並行して小児病院とともに大学病院で, 小児神経外科認定医が脳神経外科の専攻医や若い専門医に小児脳神経外科の魅力を示し, 後継者の育成が進むように本学会として支援要望していく.

  • 鈴木 倫保, 末廣 栄一
    2019 年 28 巻 2 号 p. 72-81
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

     脳神経外傷の過去から現在までを検証し, 将来へつながる道程を検討した.

     ①高齢化による受傷様態の変化や抗血栓薬服用の影響から受傷後のtalk & deteriorateのリスクが明らかとなり, その対策を提案した. ②本邦のneurocritical careの問題点, 温度管理の新たな展開, 高次脳機能障害症例のこれからの管理を述べた. 先進国・超高齢国としてのわが国における本疾患の変化を認識し, その対策をグローバルに発信することが重要と考えるが, 多様化した本疾患に対してわれわれの柔軟な対応が求められる. また, 神経科学と技術革新の発展を追い風として, 脳神経外傷機序の理解と治療法に新たな局面を開拓する必要がある.

温故創新
症例報告
  • 竹村 光広, 津野 隆哉, 太田 剛史, 岡田 憲二, 福田 真紀, 政平 訓貴, 松岡 賢樹
    2019 年 28 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

     草刈機による頭蓋・顔面損傷に内視鏡を用いた再建術が有効だった1例を報告する. 60歳男性. 草刈機操作中に転倒, 刈刃が左顔面を直撃し搬送された. 左前額から眼球・頬部に至る切創あり, CTでは左前頭骨から眼窩・頬骨の骨損傷に, 左前頭葉挫傷・気脳症を合併した. 脳神経外科・眼科・形成外科で緊急手術を実施. 切創直下の骨欠損部の上端に穿頭し, 眼窩までの幅3cmを開頭した. 硬膜損傷部より硬性鏡を挿入, 左前頭葉の血腫・骨片の除去, 前頭蓋底の損傷硬膜の剝離・切除・縫縮, 前頭洞粘膜の剝離と有茎の骨膜組織の充塡を行った. 経過は良好で, 内視鏡での観察により, 元の切創を用いた小術野から深部の硬膜・頭蓋底の処置が可能であった.

  • 永田 清, 西村 文彦, 森本 尭之, 小谷 有希子, 出口 潤, 徳永 英守, 二階堂 雄次
    2019 年 28 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

     下垂体卒中は, 下垂体腺腫の出血性梗塞が主な原因であるが, まれに化学的髄膜炎を伴うことがある. その場合, 多核球優位の細菌性髄膜炎様の髄液所見を呈することが多い. われわれの症例は, 汎下垂体機能低下症で発症した49歳男性の下垂体卒中例で, 最初単核球優位の髄液所見を示し, ウイルス性髄膜炎として治療を受けた. その後, 眼症状が出現して, 病態が明らかとなった. 神経内視鏡下経鼻手術により血腫および下垂体腺腫を摘出して症状は改善した. 単核球優位の髄液所見を呈したとするごく少数の報告を検討すると, それらは出血の進行が比較的緩やかであり, 遅い時期の炎症を観察しているのではないかと推論した. ウイルス性髄膜炎と紛らわしい下垂体卒中があることに注意するべきである.

  • 森島 穣, 山口 秀, 茂木 洋晃, 小林 浩之, 寺坂 俊介, 岡田 宏美, 寳金 清博
    2019 年 28 巻 2 号 p. 98-103
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

     次第に悪化する短期記憶障害の進行および性格変化で発症した59歳女性. 前頭蓋底の囊胞性病変と脳室内・くも膜下腔に散在する脂肪滴を認め, 破裂した類皮囊胞と術前診断した. 開頭にて囊胞開窓と囊胞内容摘出を施行したところ, 囊胞内に充実性病変が確認され, 組織学的に外胚葉, 中胚葉, 内胚葉のすべての分化した成分から構成され, 成熟奇形腫と診断された.

     成熟奇形腫の破裂はきわめてまれとされ, 文献的考察も含め, その特徴について考察する.

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