脳神経外科ジャーナル
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28 巻, 5 号
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特集 脊髄・脊椎疾患
  • 高山 柄哲
    2019 年 28 巻 5 号 p. 252-259
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/25
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     頚椎固定術は, 除圧対象となる病変によって前方固定, 後方固定, 前後方同時固定術などが採用される. 術者は, 患者選択や正しい適応に基づいて固定術を行い良好な結果を出すのみならず, 術式の各段階で起こり得る合併症に対して熟知し, それらを回避または治療する術も持ち合わせないとならない. 本稿では, 頚椎固定術に関して, 合併症とその回避につき文献レヴューを行う.

  • 上田 茂雄, 藤田 智昭, 福田 美雪, 佐々木 伸洋, 黒田 昌之, 眞鍋 博明, 寳子丸 稔
    2019 年 28 巻 5 号 p. 260-270
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/25
    ジャーナル フリー

     脊椎変性疾患の有病者は, 近年の高齢化社会の到来とともに急増している. 本疾患に伴う諸症状は, 高齢者のADLを低下させるだけでなく社会参加を阻み, QOLの低下とさらには精神的障害をも招き, 介護予防の大きな課題となっている.

     介護予防, 健康寿命の延伸の観点からも, 本症への対応が大きな課題であるが, 本症の治療には, 短期的効果や疼痛緩和の対症療法と, 手術による狭窄部位の除圧など, エビデンスに支持される治療法の選択肢は非常に限られているのが現況である.

     近年, これら脊椎変性疾患に対する手術件数は増加傾向にあるが, 手術支援機器の発達と並行して外科的治療を低侵襲に施行可能となったことも一因である. 従来法では手術を回避していた高齢患者においても, 低侵襲化された脊椎手術においては適応される範囲が増加しており, より慎重な症例選択が必要とされる.

     脊椎変性疾患の特徴は静的要因 (黄色靱帯, 椎間板, 椎間関節, 椎体) と動的要因 (姿勢, 動作, 脊椎不安定性, 脊椎バランス障害) が関与することにある. また加齢に伴う退行変性によって脊椎, 黄色靱帯や椎間板などが解剖学的に変化する点も頭蓋内疾患と大きく異なり, われわれ脳神経外科医が脊椎疾患を診断する際に留意すべき事項である.

     本稿においては, これら脊椎変性疾患における病態生理について概説し, 手術適応や具体的術式 (除圧術や固定術) について文献的考察を加えて報告する.

  • ―術中画像誘導の重要性―
    内藤 堅太郎, 髙見 俊宏, 山縣 徹, 大畑 建治
    2019 年 28 巻 5 号 p. 271-277
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/25
    ジャーナル フリー

     脊椎固定術は一般的に普及してきており, 脊椎外科医にとっては必須の手術手技となっている. その有益性を最大限とするためには, 脊椎固定術における低侵襲性と安全性を担保しなければならない. そのためには, インプラント設置の正確性が重要課題の1つである. 近年, 脊椎手術における術中画像支援装置の発展はめざましく, 放射線画像装置とナビゲーションシステムが融合され, 手術安全性に貢献してきた. しかし, 一方の問題点として, 患者のみならず医療従事者への術中放射線被曝量の増大が懸念される. 本稿では, 脊椎固定術における術中画像誘導について, その有益性と注意点, さらには今後の課題について報告する.

  • ―診断のピットフォールと手術戦略―
    伊東 清志, 中村 卓也, 宮岡 嘉就, 窪田 雄樹, 堀内 哲吉, 本郷 一博
    2019 年 28 巻 5 号 p. 278-285
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/25
    ジャーナル フリー

     脳疾患に対する, MRI, PETなどを用いた術前診断や, 術中MRI, ICG, 5-ALAなどを用いた外科的治療の進歩は著しいのに対して, 脊髄腫瘍の診断および治療については, 個人あるいは施設レベルでの診療実績の蓄積が容易ではないため, 診断および治療に難渋することが少なくない. 自験例を後方視的に解析し, 的確な脊髄腫瘍の術前診断および手術方針について検討した. まず術前診断の基本は, 脊髄腫瘍の疫学的な特徴および臨床症状を踏まえて診察にあたることである. また脊髄は, どの部位もeloquent areaであるため, 腫瘍の存在部位を念頭に置いて, 術後神経脱落症状が出ないような適切な外科治療を心がけなければならないことを強調したい.

温故創新
症例報告
イラストであらわす手術記録
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