脳神経外科ジャーナル
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特集 第34回日本微小脳神経外科解剖研究会合同セッション 未開拓の知:脳局所解剖ジオメトリー
  • 藤井 正純, Mudathir Bakhit
    2021 年 30 巻 9 号 p. 632-638
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     矢状層とは, fiber dissection studyを行うと側脳室三角部外側で認められる, 前後の方向に走る線維群で, さまざまな線維束が矢状方向に層をなして走行することからその名がある. 視放線・視床放線・前交連後枝・下前頭後頭束・下縦束・中縦束などの線維からなる. 矢状層は, 複数の重要な連合線維・交連線維群が集中する領域であり, 視覚情報・意味処理・音声言語および文字言語処理などさまざまな機能に関連すると推定される. 古くから知られる本解剖構造について, 最新の白質構造解析手法であるGQIトラクトグラフィーを用いて, その解剖を概観する.

  • 佐藤 慎祐, 新見 康成, 久司 一貴, 島 彰吾, 劉 美憬, 井上 龍也, 岡田 芳和
    2021 年 30 巻 9 号 p. 639-645
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     脳脊髄血管疾患の画像診断において, 微細な血管構造の把握は, 正確な診断のみならず, 外科治療・血管内治療・保存的加療を含めた治療方針の決定や術中の合併症リスクを低減させることにおいて重要である. 近年の高解像度血管撮影装置の進歩はめざましく, cone beam CT, さらにこれらの画像同士, またはMRIとのfusion画像を用いることにより, 脳動脈瘤においては, 術前に瘤周辺の穿通枝の正確な分岐位置の把握, 評価が可能である. また脊髄動静脈シャント疾患では, 脊髄, 神経根, 硬膜, 骨などとシャント部位の正確な位置関係が把握でき, 診断と病変の理解, 治療方針の決定にも有用である.

  • 金 太一, 柿澤 幸成, 清藤 哲史, 中冨 浩文, 齊藤 延人
    2021 年 30 巻 9 号 p. 646-654
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     脳幹部海綿状血管奇形では, 神経症状のリスク, 病変を全摘出できる視野の確保, およびsafe entry zone (SEZ) などを考慮しつつ, 病変の最表層部を進入口としたアプローチを三次元空間的に検討する必要がある. そのためには, 脳幹内の神経線維や神経核などの解剖知識が必須となる. 本稿では脳幹の解剖を三次元的に理解することを目的として, 脳幹三次元コンピュータ・グラフィックスの無料アプリ 「脳観」 を活用しながら, SEZを中心とした脳幹部の解剖について概説する.

  • 丹治 正大, 舟木 健史, 宮本 享
    2021 年 30 巻 9 号 p. 655-664
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     内視鏡の性能が向上し, フルハイビジョン内視鏡や4K内視鏡を用いて経鼻内視鏡頭蓋底手術を行う機会が増えてきた. 本稿では経鼻内視鏡手術に最低限必要なトルコ鞍近傍解剖を, 特に頭蓋内構造物を意識したかたちでカダバー写真なども用いながら整理し, さらに実際の経鼻内視鏡手術症例を提示する. 内側視神経内頚動脈陥凹 (medial optico-carotid recess : OCR), 外側視神経内頚動脈陥凹 (lateral OCR) は経鼻側と頭蓋内の解剖理解を促進するkey anatomical pointとなる. また翼突管は破裂孔近辺のICAの露出に役立つ. カタバー実習などをとおして, 頭蓋底解剖を開頭側および経鼻内視鏡側で対比させながら理解することがより安全で効果的な手術をするために必要である.

  • 堀口 崇
    2021 年 30 巻 9 号 p. 665-672
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     より複雑かつ高度な頭蓋底外科手術を安全に行うための, 現代のcadaver surgical trainingの実際について述べた. 脳除去後の通常ホルマリン固定の献体は, 詳細な解剖の学習や組織学的研究に有用であった. フェノール, エタノール, メタノールを加えた新しい固定法は手術シミュレーションに適していた. 医師が行う解剖を外科手技の発展に活用するためには, 学内の組織構築が必須である.

温故創新
短報
  • 君和田 友美, 北見 昌広, 林 俊哲, 島貫 義久, 白根 礼造, 冨永 悌二
    2021 年 30 巻 9 号 p. 675-679
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
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     近年, CT検査による放射線被曝によりさまざまながん発生リスクが上昇するという報告がなされ, 小児CT検査の正当化と最適化が求められている. 当科では小児水頭症術後の画像評価として無鎮静での高速T2強調画像 (HASTE : Half fourier Acquision Single shot Turbo spin Echo) による評価を開始した. 水頭症の画像評価は, 主として脳室の大きさを評価することを主眼としているため, 評価に十分耐えられる画像を取得できた. 放射線被曝を回避し鎮静によるリスクをなくすことができるため, 小児水頭症診療においては有用であると考える.

症例報告
  • 森嶋 亮, 加藤 貴之, 秋 達樹, 石黒 光紀, 白紙 伸一, 今井 秀
    2021 年 30 巻 9 号 p. 680-686
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

     81歳男性, 左大腿部の脱分化性脂肪肉腫に対し手術, 化学療法を行った既往がある. 突然の頭痛, 嘔吐, 左半身麻痺にて受診された. CT/MRIで右前頭頭頂葉に皮質下出血を認め, 血腫内には腫瘍性病変を認めた. また左小脳半球に腫瘍性病変も認められた. 右前頭頭頂葉の皮質下出血に対する開頭血腫除去術および開頭腫瘍摘出術を施行した. 血腫・腫瘍は全摘出とした. 病理結果を踏まえ, 脱分化性脂肪肉腫の脳転移と診断した. 悪性腫瘍である軟部組織肉腫は集学的治療が必要であり, 新規薬剤の開発が進められている. 有効な治療法が確立されることで生存期間が延長し, 脳腫瘍の転移が増加する可能性があるため, 慎重な経過観察が必要である.

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