脳神経外科ジャーナル
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特集 てんかん・機能性疾患
  • 赤松 直樹
    2023 年 32 巻 7 号 p. 410-416
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

     てんかん焦点診断の3基軸は, 症候, 脳波, 脳画像である. てんかん発作症候学を焦点診断に応用する際には, 症候発現領域の概念が重要である. 症候発現領域は, 発作起始領域自体である場合と発作起始領域の近傍である場合がある. 症候としては, 陽性徴候と陰性徴候がある. 発作症候から推定されるてんかん原性領域を, 脳波および画像検査と総合して焦点診断を行うclinical-electrical-anatomical diagnosisが重要である. てんかん症候学をマスターすることは, 実臨床では非てんかん発作の診断にも重要である. 本稿では失神とてんかん発作の鑑別について述べた. 短い意識減損をきたすてんかん発作には, 欠神発作と焦点意識減損発作があり, 焦点意識減損発作は側頭葉起始および前頭葉起始が多い. これらの鑑別についても示した. 前頭葉起始発作の症候は, 外側, 内側, 底面に大きく分類するとわかりやすい. 島起始発作の特徴についても述べた.

  • 菊池 隆幸, 山尾 幸広, 吉田 和道, 池田 昭夫, 宮本 享
    2023 年 32 巻 7 号 p. 417-424
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

     難治性てんかん患者に対して根治的手術を行うには, てんかん原性領域の同定が必要である. てんかん原性領域を高精度で推定できる単一の検査は存在せず, 多面的な検査を統合しててんかん原性領域を推定する. さまざまなてんかん原性領域検索検査の中で空間的・時間的に最も精度が高いのが頭蓋内電極による検査である. 頭蓋内電極には, 硬膜下電極と深部電極があり, 近年国内に導入された定位頭蓋内電極は複数の深部電極を用い, 硬膜下電極とは電極配置, 手技, 結果の解釈および切除術の戦略が異なるため注意を要する. 手術, 検査ともに低侵襲性と信頼性が求められており, 特徴を踏まえた電極選択と適切な活用が必要である.

  • 阿部 圭市, 堀 大樹, 掛川 徹, 堀 智勝, 平 孝臣
    2023 年 32 巻 7 号 p. 425-431
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

     経頭蓋集束超音波治療の登場により, 高周波による視床定位凝固療法, 深部刺激療法, 集束超音波による視床定位凝固療法の三大機能的脳神経外科治療の時代を迎えた.

     しかし, 高周波凝固療法と深部刺激療法が解剖学的知識の必要性は同様であるが, 治療特性が異なるのと同様に, 高周波凝固療法と超音波凝固療法は凝固という意味では同様でも原理は大きく異なった治療である. 超音波治療は超音波についていかに適切に集束を調整するかが重要である. 超音波が拡散する危険性を理解し, 集束と適切な凝固を作成することによって有効性と安全性を高めることが必要である. 集束超音波治療の原理と形状の特徴を紹介し, 現在の課題を考察する.

温故創新
原著
  • ―臨床的意義と手術手技―
    上里 弥波, 西田 南海子, 吉本 修也, 箸方 宏州, 佐々木 庸, 戸田 弘紀, 岩崎 孝一
    2023 年 32 巻 7 号 p. 435-442
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

     Suprameatal tubercle (SMT) は, 三叉神経痛 (TN) に対する微小血管減圧術 (MVD) において, 顕微鏡視野を妨げる障害物の1つである. 肥大化したSMTが, 責任血管を確認するために必要な視野を妨げるときは, その削除が必要になることがある. 7年間のTNに対するMVD 200例の中で, 20例にSMTの削除を要した. これらの症例の臨床的特徴, SMTのサイズ, 手術所見などを解析し文献的考察を加え報告した. TNに対するMVDでは小さな障害物でさえ手術が各段に困難になるため, SMTの解剖学的特徴やそのvariationを理解することは安全で確実なMVDを施行するうえで重要と考えられる.

症例報告
  • 櫻田 冴響, 渡辺 ちひろ, 黒羽 真砂恵, 山下 麻美, 河野 まや, 井原 哲
    2023 年 32 巻 7 号 p. 443-447
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

     血友病Aは, 第Ⅷ凝固因子の欠乏を成因とし, 先天性出血性疾患の中で最も頻度の高い疾患である. 家族歴から児の血友病が疑われる場合, 分娩損傷による出血性合併症を防ぐために器械分娩は避けるべきである. 今回, 家族歴がないために器械分娩となり, 分娩損傷による頭蓋内出血を合併し, 開頭血腫除去術を要した血友病Aの新生児例を経験した. APTTの延長は血友病の診断の鍵となるが, 新生児ではAPTTが生理的に延長しているため, それを考慮した解釈が必要である. また血友病Aに対してFFP投与だけでは止血効果は不十分となるために手術の際は注意を要する.

  • 牧園 剛大, 内門 久明, 大久保 卓, 渡邉 竜馬, 中村 普彦, 河野 隆幸, 大倉 章生, 森岡 基浩
    2023 年 32 巻 7 号 p. 448-453
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

     頚椎症性神経根症の外科的除圧には前方法と後方法が一般的である. しかし, 椎間孔外狭窄病変へは, 前方では椎骨動脈が, 後方では椎間関節切除に限界がある. 特に中位頚椎 (C5) 椎間孔外狭窄では前外側到達が困難であるために最も苦慮する.

     症例は74歳男性で有痛性C5麻痺に対して後方除圧固定術を行ったが, C5麻痺が残存した. 原因は椎間孔外狭窄と判断し, 後外側到達による除圧固定術を追加した. 術後症状は完全回復した.

     頚椎症性神経根症, 特にC5麻痺に対して後頚三角から後外側除圧 (固定) 術は第3のアプローチとなり得る. 頚筋群, 椎間関節およびC5神経根 (麻痺) の解剖学的考察を加えて報告する.

脳神経外科診療とIT
  • ―Telestroke―
    石原 秀行, 岡 史朗, 貞廣 浩和, 河野 亜希子, 杉本 至健, 藤山 雄一, 藤井 奈津美, 森 尚昌, 野村 貞宏
    2023 年 32 巻 7 号 p. 454-457
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

     ITの発達は, 脳梗塞急性期治療における時間短縮, 新型コロナウイルス感染リスクの低減, 医師の働き方改革推進に大きく貢献している. 脳梗塞急性期治療においては, 脳卒中専門医による早期の診断と治療判断が転帰に大きく影響するため, ITを利用したTelestrokeが大きな役割を果たす. 遠隔画像診断によるrt-PA静注療法の有効性や血栓回収療法のスクリーニングの有効性などがこれまで示されている. CT装置, MR装置の普及率の高い本邦においては, 遠隔画像診断システムをネットワーク化するHub and Spokeモデルがより広い範囲への脳卒中診療提供を可能とする. しかし運用にあたっては, 生死に関わる診療の一部であるため, 正確な診断のために使用する器材は医療機器として認証された機器を使用すること, 責任の所在, 個人情報保護の遵守など配慮したプロトコールを作成する必要があると考えられる.

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