被殻部脳内出血にて入院した骨Paget病の1症例に対し,開頭血腫除去術を施行した.頭蓋骨,特に頭蓋底部は骨肥厚が著明であり,頭蓋底陥入症を合併していた.頭蓋骨病変の顕著な骨Paget病患者に対して脳神経外科的手術が必要となった場合,頭蓋X線撮影,CT,血清ALP,尿中hydroxyprolineなどの検査を行って,病変の払がりや病期,病勢,頭蓋底陥入症の合併の有無などを可能なかぎり把握したうえで,病変骨からの出血や骨の性状の変化に伴う合併症に対し,十分な輸血の準備,術前の外頸動脈撮影,calcitoninやdiphosphonateの投与,Swan-Ganzカテーテルなどによる術中モニタリング,また水頭症手術では圧可変式valveの使用を検討するなど,慎重な姿勢で手術に臨むことが必要である.
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