症例は自転車走行中に転落し受傷した36歳の男性である.歯突起骨折を認め, 環椎および歯突起は軸椎椎体に対し9mm後方, 6mm右側に転位していた.全麻下に完全整復位とし, 前方アプローチにて軸椎椎体-歯突起間スクリュー固定を施行した.術後8週間ハローによる外固定を継続し, 現在骨癒合は良好である.歯突起骨折のうち, タイプ2およびタイプ3でも転位の強いものや骨折線の浅いものは, 保存的治療では骨癒合が不良である.こうした症例に前方スクリュー固定は非常に有効であり, 本症例でも良好な結果が得られたが, 適応外となる症例もあり, 骨折のタイプ, 転位の程度, 方向, 年齢, 合併損傷などを考慮し, 個々の症例に応じて治療法の選択をすべきである.
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