脳神経外科ジャーナル
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特集 脳神経外科学の可能性
  • ―最近の変化と現状の問題点―
    中川 敦寛, 佐藤 千穂, 八木橋 真央, 高橋 千明, 冨永 悌二
    2020 年 29 巻 11 号 p. 760-767
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     近年, 優れた研究成果を社会に実装するために橋渡し研究 (translational research : TR) が世界各国でそれぞれの課題に即したかたちで進められてきた. 一般的にはTRモデルでは, 基礎研究から臨床研究に移行するT1バリアと臨床研究を社会実装, 改善につなげるT2バリアがあり, 拠点構築, 人材育成, 収支を含めた持続的運営, シーズ育成を含めたノウハウ蓄積の観点からそれぞれの取り組みが特徴づけられる. これまでの世界各国, 日本での取り組みをまとめ, その現状と問題点を整理する. 産業を適切なかたちで医療現場に取り入れ, バリアを超す可能性を高めるプロセス全体のデザインを含め東北大学病院の取り組みを紹介する.

  • 北中 千史
    2020 年 29 巻 11 号 p. 768-776
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     脳神経外科医にとって 「研究」 とは何か. 本稿では, 医学生時代には研究にまったく関心なく, 基礎研究者にだけはなりたくないとの思いをもって卒後臨床脳神経外科医となる道を選んだ筆者が, ついにはリサーチマインドあふれる基礎医学研究者となってしまうまでのキャリアパスを紹介し, その過程で筆者を研究へと駆り立てた要素を抽出することを通じてこの問いの答えを模索する. 筆者の事例は日々の脳神経外科臨床がとりもなおさず研究活動そのものであることを如実に示すとともに, 研究は芸術と同様に独創的な自己表現の機会を与えるものであり, 脳神経外科医にとって自己実現の1つの有力な方法論となり得ることを示唆している.

  • 川堀 真人, 七戸 秀夫, 黒田 敏, 寳金 清博
    2020 年 29 巻 11 号 p. 777-783
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     脳梗塞・頭部外傷・脊髄損傷・パーキンソン病など中枢神経疾患に対する細胞治療・再生医療が, 「基礎研究」 の段階から, 臨床応用に向けた 「治験」 さらには 「保険診療」 の段階に入ってきている. これらの成績は既存治療では成し得なかった中枢神経を再生ないし回復させる治療法として, 十分期待できるものである. 自家骨髄幹細胞の 「ステミラック注」 が脊髄損傷の亜急性期患者に対して期限つき条件つき承認で保険適応となり, 中枢神経疾患に対する初めての 「再生医療等製品」 となった. また, 脳梗塞においても複数の治験が進行中でその結果が待たれる. より効果の高い細胞の開発, 投与方法, 投与時期, 医療費削減, 効果が高い患者群の決定など残された課題も多いが, 基礎研究および臨床経験の蓄積など今後の発展に期待したい.

  • 花 大洵, 齊藤 延人
    2020 年 29 巻 11 号 p. 784-792
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     長期にわたる脳神経外科学各分野の研究動向を把握するため, Pubmedを用いて約70年分の論文データを収集し, 単語頻度解析を含む種々の解析を行った. 結果, 半世紀以上の歴史における外傷, 腫瘍, 脳血管障害, 機能・てんかん, 脊椎脊髄, 新興研究分野などの, さまざまな隆興を分析することができた. 各分野の拡大に影響を与えた要素には, 新規的デバイス, 術式の開発などのほかに, 医療を取り巻く社会情勢の変化もあった. またこの期間のうちに, 論文で使用される 「患者」 の呼称に変化が生まれたこともわかった. 公共検索ツールを用いて行う種々の解析は, アクセス容易な解析手段でありかつ, 脳神経外科学研究の動向を把握する有用な手段だと考えられる.

温故創新
原著
  • 相澤 有輝, 三木 一徳, 藤井 照子, 室田 祐大, 岩瀬 遼, 藤田 恭平, 唐鎌 淳, 前原 健寿, 根本 繁, 壽美田 一貴
    2020 年 29 巻 11 号 p. 795-804
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     頭蓋内外主幹動脈閉塞 (tandem lesion) に対する再開通療法は複雑であり確立されていない. 特に, 頭蓋内病変の治療を優先させる逆行性アプローチと頚部病変の治療を優先させる順行性アプローチのどちらが優れているか, また, 頭蓋外病変に対して初回治療時にバルーン拡張術に留めるべきかステント留置術も行うかに関しては議論の残る問題である. われわれは大口径の吸引カテーテルとステントリトリーバーを併用するcombined techniqueを用いて先に頭蓋内病変の再開通を目指す逆行性アプローチを第1選択としている. 当院における治療手順および治療成績を文献的考察と併せて報告する.

  • ―当院における7年間のアンケート調査から―
    坂倉 悠哉, 井上 雅人, 尾崎 祥多, 野田 龍一, 玉井 雄大, 栁澤 俊介, 原 徹男
    2020 年 29 巻 11 号 p. 805-810
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     卒後医師臨床研修制度が開始し15年が経過した. 制度は定着した一方で, 医療の発展や社会状況の変化から研修医のニーズは変化を続けている. 本研究では脳神経外科研修を終えた初期研修医にアンケートを7年間にわたって実施することでニーズの評価を行った. 結果は, 限られた労働時間の中で中枢神経系疾患の重症患者の周術期を含めた全身管理と手術加療を含めた急性期の診療を学ぶことを達成することが初期研修医の主要なニーズであることがわかった. また脳梗塞に対する超急性期の血栓回収術は初期研修医に大きな影響を与えていると考えられた. 指導する立場の医師もニーズに合わせて対応を変化させていく必要がある.

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