テスト効果とは学習項目をテストすることが学習項目を繰り返し学習することよりも長期的な保持をもたらす現象である.この現象は学習時の処理文脈を再現しながら初期テストに取り組むことによって生じると考えられている.本研究では学習項目と妨害項目の音韻的,形態的類似性を操作することによって,初期テストにおいて学習時の処理文脈を再現することがテスト効果に及ぼす影響を検討した.はじめに実験参加者は学習項目を学習し,続いて学習項目の再学習もしくは初期テストに取り組んだ.最後に直後,もしくは1週間後に最終テストを行った.その結果,妨害項目と類似した学習項目にテスト効果が生じた.さらに処理文脈の再現の指標として測定した妨害項目の記憶成績にも学習項目と同様に類似性の影響が認められた.これらの結果はエピソード文脈説を支持するものであり,初期テストにおいて学習時の処理文脈を再現することがテスト効果の生起にとって重要な役割を果たしていることを示唆している.
2018年2月1日,2日の2日間,韓国の成均館大学校(Sungkyunkwan University)において,韓国認知生物心理学会(The Korean Society for Cognitive and Biological Psychology;以下KSCBP)の第55回年次大会が開催され,日本認知心理学会では2017年度もKSCBPとの交流活動の一環として,若手研究者を対象とした派遣事業(発表参加支援)を行った.今年度は,3名の若手研究者がソウルでの大会に参加し,発表を行った.以下に発表報告を掲載する.