認知心理学研究
Online ISSN : 2185-0321
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早期公開論文
早期公開論文の5件中1~5を表示しています
  • 佐々木 真吾
    論文ID: 2507
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/05/19
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,褒めるか叱るか曖昧な場面における親からの褒めと叱りが,批判的思考および認知的熟慮性とどのように関連するかを検討した.大学生103名を対象に,質問紙調査を行った結果,曖昧場面で褒められる経験は,批判的思考態度の探究心と客観性および衝動的な認知スタイルと関連することが示された.これに対して,叱られる経験は批判的思考態度の客観性と負の相関があった.以上の結果から,ネガティブ,ポジティブ両方の側面を持つ曖昧場面では,ポジティブな側面をまず受け止めて理解するといった関わりが,批判的思考態度と関連することが示唆された.親や親しい人から褒められ,理解される経験は,批判的思考の基盤を形成する可能性が示唆される.

  • 山本 知果, 布井 雅人, 北神 慎司
    論文ID: 2514
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/04/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究は,事件や事故現場に存在する血という情動喚起刺激が,文脈との一致性に応じて,周辺情報の記憶に与える影響を検討した.実験1では,まな板上に魚(文脈一致)またはメガネ(文脈不一致)とともに血がある,あるいは血がない条件のいずれかの動画を視聴させ,周辺情報の再認課題を行った.その結果,違和感の評価は文脈不一致条件で高かったが,情動喚起性に違いは見られず,記憶成績に有意差は見られなかった.実験2では,動画の画面サイズを変更し,再認成績への影響を再検討した.その結果,情動喚起性,違和感の評価は文脈不一致条件のほうが文脈一致条件よりも高かった.しかし,記憶成績には影響を及ぼさなかった.これらの結果より,文脈との一致性が違和感や情動喚起性に影響を及ぼす一方で,それらが周辺情報の記憶成績に影響するためには強い情動が喚起される必要があることが示唆された.

  • 張 沁晶, 光藤 宏行
    論文ID: 2513
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開

    看板や広告などで幅広く用いられる漢字は,東アジア文化圏において重要な役割を果たす.漢字は象形起源であり構造的な複雑性を持つ表意文字として発展した.さらに,漢字は書道を通じて,芸術作品として鑑賞することができる.本稿の主目標は,実験美学から発展した処理流暢性理論との関連を中心に,一般的な物体判断において美しいとされる性質が漢字にも認められるかということを議論することである.そこでまず漢字の歴史,芸術としての書道などを紹介する.そして実験美学,芸術学,流暢性理論などのアプローチによる美と芸術の理論を概観する.その後,知覚的・経験的要因が非文字刺激(幾何学図形や顔など)および漢字に対する美的評価に寄与するかを検討した数多くの心理学実験を概観する.これらの知見に基づいて,流暢性理論が漢字の美しさをどの程度説明できるかを考察する.

  • 佐藤 あかり, 高橋 達二, 中村 紘子
    論文ID: 2510
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,陰謀論信念と疑似科学信念に影響を与える認知的要因を日本人参加者で検討した.反証的証拠に対するバイアス(BADE)課題を用いた2つの調査を通じて,認識論的に疑わしい信念(ESB)と信念更新プロセス,認知的熟慮性,被害妄想傾向,科学的推論能力の関連を調べた.スウェーデン人参加者を対象とした先行研究(Acar et al., 2022)と異なり,信念更新の困難さ(EI)と陰謀論信念の関連は日本人参加者では認められなかった.こうした結果は,文脈を重視して情報を統合する全体論的思考スタイルなどの,文化的な認知処理傾向を反映している可能性が考えられる.初期情報の過信(PRB)は文脈依存的な関連を示し,中立的文脈では陰謀論信念と,感情的文脈では疑似科学信念と関連した.一方で,科学的推論能力は両タイプのESBを一貫して抑制し,普遍的な保護要因として機能した.被害妄想傾向は陰謀論信念とのみ選択的に関連したのに対し,疑似科学信念とは関連せず,異なるESBタイプには異なる認知メカニズムが存在することが示唆された.分析的思考(CRT)は主に科学的推論能力の向上を介して間接的にESBに影響した.これらの知見は,ESBの形成・維持が文化的認知スタイル,文脈要因,認知能力の複雑な相互作用に依存することを実証的に示している.

  • 浅井 優子, 吉崎 一人, 加藤 公子
    論文ID: 2517
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    左または右視野に視線刺激または矢印刺激を呈示する空間ストループ課題では,矢印刺激では一致条件のほうが不一致条件よりも成績が高い(空間適合性効果)のに対し,視線刺激では逆の効果が報告されている(Marotta et al., 2018).Tanaka et al. (2024, 2025)は,ターゲット刺激の背景からの分離と,その後の位置情報の抑制という二つの段階から成る「2段階仮説」により,この逆空間適合性効果を説明できると提案している.本研究ではこの仮説の一般性を検証するため,写真による視線刺激と矢印刺激を用い,ターゲット呈示位置を3段階で操作した.結果として,刺激の種類にかかわらず,反応時間の延長に伴い空間適合性効果は減少,消失し,さらに逆空間適合性効果が出現する線形的変化を示した.さらに,反応時間がより長くなると逆空間適合性効果は減少し,非線形的なパターンが確認された.これらの結果は,2段階仮説が刺激の社会的・生物学的特性に依存せずに空間適合性効果を説明し得ることを示し,その一般性と理論的妥当性を支持するものであった.

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