日本大腸肛門病学会雑誌
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26 巻, 1 号
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  • 前編 各種肛門疾患における排便障害の特徴
    高野 正博, 隅越 幸男, 平塚 襄, 佐藤 昭二, 岡田 光生
    1973 年 26 巻 1 号 p. 1-11,113
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門疾患における排便障害を622名の患者から得たアンケートによって調べた.その結果,全症例の75%に排便障害があることが分った.しかし程度としては軽度または中等度のものがほとんどで,疼痛,出血,脱出,などの症状の方がむしろ苦痛であるとする者が72%となっている.すなはち肛門疾患における排便障害の多くは他症状に隠されて臨床医から見のがされることも多いが,多くの患者を悩ませている症状であると云える.
    排便障害の実体を分析してみると,1.排便感覚の異常としての残便感は高率(約70%)に出現し,2.排便動作の異常としての排便時間の延長(約70%),排便回数の異常(約60%)の率も高く,3.便の形態異常としての狭小(約40%),変形(約40%)もかなり多い.4.排便障害に対する手段としての下剤,浣腸の使用(約30%)例も少くない.排便障害が患者に与える苦しみや時間のロスは少くないことが分る.
    疾患別に排便障害の特徴を見ると,内痔核では狭窄を伴なわないのにかかわらず74%が排便障害を訴えている,程度としては中等度のものが多いが他症状の方が苦痛であると訴える場合が多い.排便時の痔核脱出,疼痛出血に対する恐れ,脱出痔核と便との判別困難などが排便障害の原因となっているようである.肥大乳頭,肛門ポリープおよび直腸粘膜脱の症例では肛門内の腫瘤形成という点で痔核と共通しており,排便障害の特徴も似かよっている.
    術後肛門狭窄では強度の排便障害があり,医原的な疾患だけに患者と医師の悩みも大きい.
    痔瘻における排便障害は全体としてみると強度のものではないが,痔瘻の深さによって分類してみると,括約筋を侵す程度によってそれぞれ特徴的な排便障害のパターンを示す.I型(皮下痔瘻)は裂肛から由来したものが大部分で肛門狭窄を伴い,排便障害も強い.II L型(低位筋間痔瘻)では外括約筋の一部が侵されているのみで,排便障害の程度は軽い.II H型(高位筋間痔瘻)では瘻管が直腸部に沿って上行し,排便障害は高度である.III U型(片側性坐骨直腸窩痔瘻)は病変部が片側に限られているため排便障害は軽度である.皿B型(両側性坐骨直腸窩痔瘻)では肛門挙筋が広範に侵されるため排便障害の程度は強い.III・II H合併型ではさらに強い排便障害が見られる。
    裂肛は2種類に分類される.狭窄を伴う狭窄性裂肛では痛み―スパスムス―狭窄の悪循環が形成されて排便障害の程度も強い.一方,内痔核などの腫瘤が脱出してそのわきが裂ける脱出性裂肛では排便障害は軽度である.
    以上,肛門疾患にみられる排便障害は各疾患で特徴あるパターンを示す.またさらに痔瘻,裂肛を細分化して検討してみるとそれぞれ異なった排便障害を示し,排便機構の解明にも示唆する点が多い.
  • 小平 進, 東泉 東一
    1973 年 26 巻 1 号 p. 12-20,114
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    消化管の平滑筋腫瘍は非常に稀な疾患とされており,消化管全腫瘍の約1%を占めるのみであると云われる.その内でも胃または小腸に発生したものは比較的多いものとされ,その報告も多くみられるが,結腸,直腸に発生するものは稀とされ,諸家の報告でも消化管平滑筋腫瘍の内,直腸には7%,結腸には3%しかみられない.現在迄にわれわれの集計し得た本邦報告例は,直腸では平滑筋腫30例,平滑筋肉腫23例,結腸では平滑筋腫5例,平滑筋肉腫7例をみるのみである。最近われわれはこのように稀である結腸平滑筋肉腫の1例と直腸平滑筋腫2例を経験した.結腸平滑筋肉腫例は42歳の男で上行結腸に腫瘍があり,結腸右半切除術を,また直腸平滑筋腫の2例は37歳の男と53歳の女で,何れも経腹的操作を併用して摘出術を行い,3例共治癒せしめた.以上3例を報告すると共に,本邦報告例について統計的観察を加えて報告する.
  • 回腸粘膜の形態学的変化について
    伊藤 八峯
    1973 年 26 巻 1 号 p. 21-36,115
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸切除犬における病態生理学研究の一部として,とくに術後残存小腸における大腸代償のための適応形態を検索するため,術前,術後1,4,12,48週の回腸粘膜を,光顕,走査電顕,電顕により観察した.光顕的には,絨毛の高さの増大と,絨毛上皮細胞数の増加をみた.これは回腸の吸収面積の増加をきたす一つの適応現象と考える.走査電顕では,Finger typeを主とする回腸絨毛が次第に伸長し扁平化してTongue typeへと移行するのをみた.絨毛の密度は変らなかった.電顕では,全経過を通じてMicrovilliには著変がなかったが,48週でenteric surface coatの肥厚をみた.
  • 1973 年 26 巻 1 号 p. 43-55,116
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 26 巻 1 号 p. 56-65,123
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 26 巻 1 号 p. 66-79,127
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 26 巻 1 号 p. 80-91,133
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 26 巻 1 号 p. 92-101,139
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 26 巻 1 号 p. 102-110
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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