昭和45年6月から,当病院外科に,大腸肛門部を設置し,腸外科臨床の症例集積と,それらの背景分析に努力している.過去6年の資料から,この自的の趣旨に合っているか否かを反省と共に老察した.この報告は,その結果である.憩室症,S字結腸過長症,回腸炎,腸間膜淋巴筋炎,潰瘍病変,術後癒着症,腸結核症,ポリープ,回腸淋巴濾胞増多症等が,今後,治療方針の対象となるものである.腸粘膜下淋巴組織の形態的変化が,腸臨床と,どのようなかかわり合いを有するのかに興味を持ち,特に,Poly-Surgeryに移行する時の1つの見方に,この淋巴組織を通した観方をしている.直腸癌の術後,人工肛門友の会に集まる患者側の意識の分析をしたことも合せ報告する.
今後の注目疾病,パイエル氏板と,外科臨床,人工肛門ケースワーク等日頃の臨床の問題点を問うてみた.また,粘膜下淋巴組織と,腸腺組織の関係を異種蛋白刺激(犬副腎エムルジョン刺激法)で感作し,パイエル氏板の観察を行った.腸臨床の背景にある浮腫症と,その反応について.私的な老察をしたものである.
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