Intestinal Behçet症候群における腸管変化の肉眼的特徴は,固有筋層に達する深い潰瘍で,著明な"下堀れ"現象を示している.そのため,潰瘍辺縁上皮の再生と相俟って,潰瘍辺縁上皮の潰瘍底への"垂れ下がり"所見としてみとめられる.
組織学的には,多くの潰瘍には,亀裂(Fissuring)の形成がみとめられる.この亀裂には2通りあって,その1つは,潰瘍底から直角に漿膜に向うものと,他の1つは,粘膜組織にそって横走するものである.前者の変化は,Intestinal Behçet病の特徴である穿孔の原因となるし,また,後者の変化は,内瘻形成の原因となることが判った.
Intestinal Behçet病における基本的変化は,細小静脈炎で,中静脈へと拡がり,obliterated phlebitisを起し,その2次的循環障害が潰瘍形成,亀裂形成の原因となっていると考えられる.
以上の事柄は,Intestinal Behçet病の特徴,組織発生を考える上に示唆にとむ所見と考えられる.
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