日本大腸肛門病学会雑誌
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30 巻, 5 号
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  • 荒川 廣太郎
    1977 年 30 巻 5 号 p. 391-395,467
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛を臨床像,形態学的所見,生理学的観察および文献的考察にもとずいて7型に分類し,その各々について成因と病理を述べた.
    裂肛発生の成因は単純なものではなく,便通の異常,肛門上皮の損傷,解剖学的素因,感染,括約筋の緊張亢進,局所の衛生など,様々の因子が複雑に絡み合って裂肛を生ずると考えられる.
    今後の問題として,裂肛の成因を一層明らかにし,より適切な治療法を確立するために,形態学的研究と共に,病態生理学的検索の積み重ねが更に必要であると思われる.この点で,裂肛の研究は日常の肛門疾患でありながら,まだ未解決な問題の多い興味深い疾患の1つであることを認識した.
  • 鳴海 裕行
    1977 年 30 巻 5 号 p. 396-400,467
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門疾患のうちで極めて一般的な疾患である裂肛は,新鮮なものから陳旧性のものまで病型が多様である.従ってその時期に相当した治療方法をとることが大切で,それが適切でなければ難治性の経過をたどることになる.
    著者は自験例の1,953例を中心に裂肛の治療方法について検討し,合せて諸家らの方法について述べる.
  • 高野 正博, 長尾 和治, 藤好 建史
    1977 年 30 巻 5 号 p. 401-404,467
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛は排便時に受ける外傷によってはじまるが,肛門に内在し,それを難治化する因子があるため困定化するものである.裂肛を発生機序の因子別に1.狭窄型,2.脱出型,3.混合型,4,脆弱型,5.症候型の5型に分類し,過去7年間臨床的に応用しているが,これによって正確な病像が把握され,適切な治療が行なえ,処置,手術に伴う合併症が防がれているのでここに発表する.
    狭窄型は疼痛,内括約筋のspasm,狭窄(内括約筋の硬化)が悪循環を形成したもので,後方正中に深く,感染を起こしたcryptを伴うことが多い,
    治療は肛門の用手拡張,内括約筋側方切開,Cryosugery,内括約筋切開sliding skin graft等,内括約筋の硬化を解消する手段が選ばれる.
    脱出型は痔核等の脱出によりその脇が裂けて裂肛となりその反復により固定化する.狭窄を伴わないのが特徴である.
    治療は硬化療法あるいはMcGivny式結紮による脱出物の縮小,除去,結紮切除法など脱出の解消に向けられる.決して拡張術を施行してはならない.
    混合型は前二者の合併したもので,従って治療法も二者に対するものを併せ行う.
    脆弱型は肛門上皮が脆く裂けやすい状態になっている場合で,湿疹,皮膚炎に由来する場合が多く,保存的に治療する.まれに生来肛門上皮の脆弱な例があり,強度のものはsliding skin graft法を応用する.術後瘢痕部の脆弱による例は最近少なくなった.
    症候型は潰瘍性大腸炎,クローン氏病,結核などの肛門部病変として現われるもので,多発性のことが多い.下痢,粘液便のため増悪する.
    治療は主病変に向けられるべきであるが,裂肛部に対する保存,処置,手術の効果は十分得られる.
    諸家の発表による諸種肛門拡張術後のかなり高率なガス,便の洩れ,下着の汚れなどは,脱出型を狭窄型と誤まって処置を行ったことに由来していると推測され,このことも,裂肛の病態を病因別に正確に診断,治療することの重要性を示している.
  • 淵之上 弘道
    1977 年 30 巻 5 号 p. 405-409,468
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛は乳幼児から成人に至るまで各年齢層に及び,その頻度は決して少いものではない.軽卒に扱うならば患者の若痛は大変なものである.治療にあたっては保存的療法をまず第一義に試みるべきものと考え,乳幼児に対しては殊更である.また治療法の選択にあたっては意外に臨床医を悩ませることがある.この様な意味においてあらゆる裂肛に対して無難に,簡単に施行出来るものとして凍結法を試み,一応の好成績を得ているので紹介したい.
  • 住江 正治, 石田 裕, 坂田 寛人, 岡田 光生, 隅越 幸男
    1977 年 30 巻 5 号 p. 410-414,469
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛は慢性化するにしたがい,炎症性変化が進行し,種々の合併病変を生じるもので合併病変を確実に診断し,治療法を選択すべきである.現在まで,手術法も多数報告され,各術式に対する評価も定まってきたように思われるが,側方内括約筋切開術のように,まだ検討の余地ある術式もある.大部分の症例は,内括約筋のspasmを除くconservativeな術式でSR癒するもので,画一的に特定の術式のみに,こだわる必要はないと考えているが,進行した症例には,裂肛切除(内括約筋切開)+皮膚弁移動術が, radical plastic operationとして最良といえるであろう.
  • 松浦 喜美夫, 村上 哲之, 横山 義弘, 原田 正夫, 松田 恵司, 稲本 純三, 今 充, 金沢 武道, 棟方 昭博
    1977 年 30 巻 5 号 p. 415-420,469
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    最近われわれは難治性肛門部瘻孔患者に大腸疾患の併存を疑い,種々なる検索により大腸Crohn病と診断し手術により治癒せしめた症例を経験したので報告する.
    症例は29歳の女性で17歳頃より肛門出血を主訴とし,肛門痛と泥状下痢便が続いていた.さらに27歳頃からは肛門周囲膿瘍と瘻孔を形成,貧血,体重減少も加わり,ときには皮膚・眼症状を呈することもあり,種々内科的治療を試みるも軽快の徴候認められず当科に紹介された.肛門部所見は全周にわたり炎症が強く,膿瘍と瘻孔開口部がみられ,括約筋緊張の低下,肛門管全周の硬結,圧痛および出血が認められた.種々なる検索の結果大腸Crohn病と診断した.
    治療方針として病変が下行結腸から直腸肛門におよび横行結腸肝彎曲部付近にskip lesionもみられることから,年齢,社会復帰などの他患者の強い希望も入れ2期的肛門括約筋温存術式を計画した.すなわち1期手術として左半結腸切除,肛門部瘻孔切除術を施行し直腸空置により肛門病変の治癒を期待した.
    摘出標本では下行結腸より肛門側に多発性潰瘍,cobblestone像がみられ横行結腸にskip lesionが認められ,組織学的にもtransmural colitisの像を呈し特徴的な肉芽腫,裂孔形成,巨細胞が証明された.
    術後漸時全身状態の改善に伴い性格も明朗化したが空置せる直腸病変は改善されず,一旦軽快した瘻孔も再燃,極度に拒否し続けた人工肛門処置にも慣れ,早期治癒を望むようになり術後10か月残存直腸を経肛門に摘除,術後2週間,症状発現来13年目全治退院した.
    現在初回手術後3年余を経過,再発の徴候は認められない.
  • 岩砂 三平, 小林 世美, 春日井 達造, 加藤 王千
    1977 年 30 巻 5 号 p. 421-425,470
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    昭和40年から48年までに生検または,切除標本により組織学的検索がなされた174例,346個の大腸ポリーフ性病変を対象とした.174例中明らかな癌合併例は73例あり,非合併例中,腺腫のみであったものが44例であった.明らかな癌合併例と非合併例中腺腫の年齢的ピークに10年間の差を認めた.全大腸ポリープ性病変中悪性ポリープ腺腫は共に大部分が直腸,S字状結腸に存在し,その割合においても差異を認めなかった.また,明らかな癌合併例において明らかな癌と悪性ポリープ,または,腺腫との位置的関係を見ると,同区域近接区域に大部分が存在し,その割合においてもほぼ同様であった.明らかな癌合併例では,悪性ポリープ19%,非合併例では13.4%で,非合併例に比べ悪性ポリープを有する割合が高かった.型分類(山田の分類)可能であった243個のポリープ病変のうち,悪性ポリープは1型になく,II型に5個,皿型に14個,IV型に30個あり茎を有するほど癌の頻度が大であった.この検索からも腺腫と悪性ポリープの間には密接な関係があることが推察される.
  • 小田切 弘人, 柳田 謙蔵, 五戸 達雄, 鈴木 義雄, 大谷 忠久, 伊藤 三則, 大森 堯
    1977 年 30 巻 5 号 p. 422-447,472
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    多発性大腸ポリープ症の1部悪性変化を認めた症例に,術後腸間膜腫瘍(線維腫)を認めた2症例を経験した.これらの症例を不全型Gardner症候群と考え文献考察を加え報告した.
  • 特に壁内進展について
    小林 宣昭
    1977 年 30 巻 5 号 p. 426-436,470
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    本研究は直腸癌85例の摘出材料について病理学的検索を行ない直腸癌根治摘出術に際し摘出範囲決定に関する検討を行なった.1.直腸癌はその進展拡大に当り粘膜固有層では周囲を圧排しつつ増大し,粘膜筋板突破後,粘膜下層で著しい膨張性発育を示し,'粘膜筋板を外反させるものが多い,固有筋層は腫瘍発育に対し1つの障壁となり,壁外に迄進展しているものは固有筋層の肥厚断裂がみられ,粘膜筋板の外反がさらに著明となる.2.直腸癌は乳頭管状腺癌が大部分であるが,固有筋層より深部に発育した部分では管状のものが多い.3.壁内進展は粘膜下層で拡大の著しいものが多く腫瘍の先進部では膨張性乃至出芽状拡大を示すものが多い.4.逆行性壁内進展が:0.5cm以上のものは検索例の21.2%であり,1例を除き全て2.5cm以下である.壁内進展の程度は口側,肛門側の問に差はない.5.逆行性壁内進展の見られる腫瘍は肉眼的に中間型,浸潤型で組織学的に低分化腺癌が多く細胞,組織異型,脈管侵襲,リンパ節転移も高い.以上の検索結果より腫瘍下縁から切断部位迄の距離は3cmでほぼ充分であるが,直腸周囲組織に深達し,細胞ならびに組織異型が高度で低分化浸潤型を示すものは6cm以上腫瘍下縁から離れて切除すべきである.
  • 長廻 紘, 佐々木 宏晃, 三輪 洋子, 谷口 友章, 河野 秀親, 青木 暁, 浜野 恭一
    1977 年 30 巻 5 号 p. 437-441,471
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    炎症性ポリープ(以下IP)は大腸の炎症性疾患とくに潰瘍性大腸炎(UC)を特徴づける所見のひとつである.自験例のUC97例(手術例32例,保存的療法65例)についてIPの臨床的検討を主として多発性のものについて行なった.IPの頻度は検索方法によって相当異なるし,IPの定義によっても異なる.自験例では手術例の66%,非手術例における内視鏡所見では25%にIPを認めた.罹病範囲では全大腸型にIPが圧倒的に多く(64%)経過では再燃寛解型に多く(49%)部位ではS状結腸から横行結腸にかけて高頻度高密度であった.これらの結果は一般に強い炎症のみられる病型,病変部位に一致するものであり,IPが強い炎症性病変に伴う非特異的な組織変化であることを示唆する.
  • パネルVII:潰瘍性大腸炎病期における治療の工夫
    1977 年 30 巻 5 号 p. 448-452,472
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 30 巻 5 号 p. 452-457,478
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 30 巻 5 号 p. 458-463
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 隅越 幸男
    1977 年 30 巻 5 号 p. 464
    発行日: 1977年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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