教室における単発大腸癌切除例159例を対象として,大腸癌取扱い規約に基づいて,結腸癌と直腸癌の予後と,これに及ぼす諸因子を比較検討した。
その結果,結腸癌の5年生存率は65.7%,直腸癌のそれは47.1%(治癒切除例のみについては,それぞれ66.6%,53.4%)で,結腸癌の予後が良好であった。また,結腸癌ではリンパ節転移より壁深達度が,その予後に大きく関与するのに対し,直腸癌ではリンパ節転移,壁深達度ともに大きく予後に関与している結果が得られた。さらに,結腸癌では右結腸癌に比し,左結腸癌の予後が良好であった。他方,非切除,非手術となった要因をみると,結腸癌では腹膜転移,肝転移によるものが多く,直腸癌では周囲臓器への浸潤によるものが多かった。
すなわち,結腸癌と直腸癌では,それぞれ予後,癌の進展に部位的特徴がみられた。
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