内科的に経過を追求し得た全大腸炎型,左側大腸炎型などの広範囲罹患型の潰瘍性大腸炎54症例を対象として,その治療内容(主として薬物療法)について検討を加えた.
治療対策を老える場合,背景因子として本症の発症の時期にはhyperimmunityの状態にあること,sali-cylazosulphapyridine(SASP)が免疫抑制作用をもつこと,血液凝固能が重症度を反映していることなどを考慮すべきである.したがって,活動期のものでは罹患部位に関係なく,また,軽,中等症のみならず重症の一部においてもSASP(6.0~8.0g)の投与を第一義的に考える.もし,胃腸障害,血液障害がみられれば経口投与量の一部を坐薬に切り換える.その結果,54例のうち,SASP単独投与で緩解に導入せしめ得たのは全大腸炎型では57%,左側大腸炎型では85%であり,緩解に導入し得ていないが効果があったものも含めると,広範囲罹患型の80%がSASP単独で良好な成績を得たことになる.
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