クローン病の増加は著しく,その診断は比較的容易であるが,病因に立脚した治療方針はなく,日常診療に難渋している.本症に対する薬物療法はSH,SASPを2本柱とし,それにIVH,EDを付加した治療方法が行われているが,その療法はIBD全体に対する治療としての域を出ず,経験的な見地からの対処としての意味あいが強い.
今回,本症を病期,罹患部位を分析し,SASPとIVHの治療効果を検討した.
その結果,SASP単独投与により有効70%,無効30%である.しかし,SASPに初回反応した症例も経過中に増悪,再燃する例があり,SASPの適応症としては,若年者で早期診断例に有効である成績を得た.
他方,IVH療法により,栄養状態,自覚症状の改善,各種炎症所見,X線,さらに内視鏡的にも改善され好成績を得ている.とくに,本療法は栄養不良症例,小腸クローン病,小腸,大腸にわたる広範病巣例に有効であった.
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