日本大腸肛門病学会雑誌
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37 巻, 1 号
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  • 住友 健三, 長崎 彰, 林田 裕, 池田 恵一
    1984 年 37 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    直腸肛門内圧において, 薬物による影響を検討した報告は少ない.
    今回, 雑種成犬を用いてopentip法にて直腸肛門内圧を測定し, atropine, gastrin, prostaglandin F2αを投与して, 直腸肛門内圧に与える影響を検討した.
    その結果, 直腸圧はgastrhl, prostaglandin F2αにより上昇し, atropineでは変化がなかった.肛門管圧はprostaglandin F2αにより上昇し, atropineにより低下し, gastrinでは変化なく, また肛門管収縮波はいずれの薬物にても影響をうけなかった.直腸肛門反射はprostaglandin F2αにより明瞭となりatropineにより不明瞭となりgastrinでは変化はみられなかった.以上のことより, prostaglandin F2αは鎖肛術後の肛門管圧の低い失禁例に使用し肛門管を収縮させ, あるいはHirschsprung病術後などの不明瞭な直腸肛門反射を明瞭にしたり, またatropineは, 慢性便秘で肛門管圧の高い例に使用し治療に応用できる可能性がある.
  • 吉田 隆亮, 原口 靖昭, 坂田 純一郎, 中村 茂, 大橋 剛, 神戸 光, 岩下 徹, 田仲 謙次郎, 谷川 尚, 香月 武人
    1984 年 37 巻 1 号 p. 8-17
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎手術例4例 (難治性2例, 重篤合併症発現2例) の入院後手術に到るまでの病態の推移を, 既報の活動度評価法により比較検討した.6評価法中3方法は病態の推移をほぼ忠実に表現したが, 他の3方法はいずれも病態を部分的, また全体的に過小評価する傾向がみられた.正当に病態を評価した3方法はMyrenら, UCAI, Talstadらによるものであった、この中で, Myrenらによるものは質的判定法であるが, UCAI, Talstadらの方法は量的判定法である.臨床的には, 先ず病態把握のためMyrenの方法を用いる.経過追求, 薬剤の効果判定等には後者が有用である.難治性, 全大腸炎型を示す潰瘍性大腸炎では, 上記評価法を用いて病態を判定し, 評価の改善が認められない場合には躊躇することなく外科的手段を講ずべきであると考える.
  • 西山 眞一, 八田 昌樹, 康 謙三, 泉本 源太郎, 松田 泰次, 福原 毅, 安富 正幸
    1984 年 37 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    結腸癌手術の後には, 一過性の機能障害を除けばほとんど術後機能障害は起こらないと考えられてきた. ところが, 最近S状結腸癌では, 下腸間膜動脈根から上直腸動脈領域のリンパ節郭清が必要なことが明らかにされ, この領域の郭清がroutine手術として行われることになった.この広汎リンパ節郭清では, 大動脈前面を下行する下腹神経の損傷を来すことが推測される.そこで, 教室におけるS状結腸癌術後の排尿および性機能について検討した.
    R3の手術では性機能障害, とくに射精障害が46%に認められたが, R2以下の手術では性機能障害は10%にすぎなかった. また, 排尿障害はS状結腸癌全体で21.6%に認められたが, これらはすべて軽度なもので, R3, 2手術でも高度の障害はなかった.
    以上より, S状結腸癌に対しR3あるいはR2の郭清を行う場合には, 神経温存の配慮が必要であることが判明した.併せて, 術中神経温存の方策についても述べた.
  • 内圧曲線からみた解析
    多田 正大, 橋本 京三, 渡辺 能行, 川井 啓市
    1984 年 37 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の病態生理の一面を知る日的で, ラジオカプセル法 (NationalTPH-101型) を用いて本症患者13名の各病期の直腸内圧を測定し, 直腸の運動量を内圧面積 (内圧曲線と基線で囲まれた面積) で表わした.その結果, 活動期において内圧面積は健常者よりも統計学的に有意の差で低下していた.特にpatient yearが4年以上と長くなり, 病変範囲も全大腸型の重症例ほど内圧面積は小さくなり, 緩解期でも健常者よりも低下していた.ネオスチグミンによる刺戟後の運動量の変化 (S/R) をみると, patient year4年以上, 全大腸型の活動期では健常者よりも高値を呈し, これらの症例では刺戟に対して過敏に反応すると考えられた.
  • 特に癌家族歴と腺腫併存の関係について
    小鍛冶 明照, 池 秀之, 高橋 孝, 太田 博俊, 加藤 洋
    1984 年 37 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    1980年12月までに当科で経験した大腸多発癌98例 (同時性多発大腸癌66例, 異時性多発大腸癌32例) を1253例の単発癌根治手術症例と比較検討した.発生頻度は同時性多発大腸癌4.0%, 異時性多発大腸癌2.0%であった.異時性多発大腸癌は他の2グループに比らべ若年者に発生し, 右側結腸領域の癌の占める頻度及び大腸癌の家族歴を有する頻度が有意に高く, その発生には遺伝因子の関与が強く推察された.腺腫の併存は同時性多発大腸癌で有意に高いが, 腺腫の併存と癌家族歴の間には3グループとも関連性を認めなかった.
    異時性多発大腸癌は第一癌が盲腸又は上行結腸に発生する型と直腸またはS状結腸に発生する型に分けられ, 両者の臨床像には明確な相違点を認めた.
  • 核DNA量測定を中心として
    万木 英一, 木村 修, 西土井 英昭, 貝原 信明, 古賀 成昌
    1984 年 37 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    直腸平滑筋肉腫は比較的稀な疾患であり, 本邦の集計では71例を数えるにすぎない.最近2例の直腸平滑筋肉腫を経験した.症例1は61歳男性で肛門部痛, 下血を主訴とし, 直腸下部に手挙大の腫瘤が認められ, 平滑筋肉腫の診断のもとに直腸切断術が施行された.症例2は62歳女性で主訴は便秘, 排尿障害であり, 術前には平滑筋腫と診断されたが, 術後の検索により平滑筋肉腫と診断された,
    平滑筋性腫瘍の悪性度の判定, とくに分化型平滑筋肉腫の診断は困難であり, 組織学的所見のほかに, さらに客観的な所見を加味することが必要と思われる.このため, われわれは腫瘍細胞の核DNA量を測定した.症例1はover 4C 61.7%, over 3c 90.0%で平滑筋肉腫と診断され, 症例2はover 4c 28.6%, over 3c 46.7%と分化型の悪性度の低い平滑筋肉腫と診断された.従って, 核DNA量測定は平滑筋性腫瘍の悪性度の判定に有用な指標となると考える.
  • 加藤 知行, 中里 博昭, 加藤 王千
    1984 年 37 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    下部直腸癌手術に際し, 直腸前壁ではewをどの程度切除し得るかを知る目的で, 女子7例と男子8例の剖検例を対象として, 正常例の直腸前壁における隣接臓器との間隙の厚さを計測した.
    女子の直腸膣間隙の長さは平均47.5mmでその厚さは肛門側になる程薄くなり, 厚い部分でも2.5mmであり標本を作成する間の組織の縮少率を考慮して手術時に得られる厚さに換算すると3.8mmとなった.
    男子の直腸前立腺間隙の長さは平均50.6mm, 間隙の最も厚い部分の厚さは3.5mmで縮少率を考慮すると5.5mmだった.
    癌腫が外膜を穿破した直腸癌症例では局所再発防止のために手術に際して充分な長さのewをとらなくてはならないが, 前壁では結合織間隙の厚さは正常例でも5mm以上は望めない.
  • 大腸癌の化学療法 (免疫化学療法を含む)
    1984 年 37 巻 1 号 p. 47-83
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 37 巻 1 号 p. 84-95
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 外来でおこなえる直腸肛門疾患の治療
    1984 年 37 巻 1 号 p. 96-108
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
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