日本大腸肛門病学会雑誌
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39 巻, 1 号
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  • 全瘻管くり抜き内方閉鎖術式
    高野 正博, 藤好 建史, 日高 久光, 内藤 寿則
    1986 年 39 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1965年,Parks,Goligher等を代表とする括約筋温存術式がわが国に導入され,当初はその模倣であったが,その後,同術式に内括約筋欠損という欠点があることから,改良を加えた種々の術式を試み,本誌にて発表を行ってきた.その概略を述べると,全瘻管くり抜き+内括約筋切除(Parks術式)→全瘻管くり抜き+原発口部sliding skin graft術式→内方・中間(primary abscess)・外方からの3分割くり抜き術式→全瘻管くり抜き+内方創の結紮切除半閉鎖法に準じた閉鎖,等の変遷を経た.ただし過去3年間にわたっては,
    1.外方および内方よりスタートし,primary abscessで合致する侵襲を最少限に留めた全瘻管くり抜き
    2.内方創に対する結紮切除法に準じたdrainage創形成
    3.その側方の副病変切除
    4.内方の内括約筋欠損に対する周囲への緊張を除いた後の縫合閉鎖,の4操作を加味した術式を行って
    いる.この術式の特徴は,全瘻管が切除されているということ,内口部および外口部のdrainage創がそれぞれ内・外に向かって効いているということ,瘻管くり抜き創の内方口が緊張なく閉鎖されているということであると思われる.その成績は過去3年間においてさしたる合併症もなく,平均治癒日数27日,再発98例中2例(2.0%)と,かなり良好な成績を得ている.この術式の欠点としては,操作がやや繁雑であるという点の他は,内方括約筋閉鎖に多少手がかかる位のものである.今後さらに諸家と切磋琢磨して,術式の改良に努めるべきであると思うが,種々行なわれている低位筋間痔瘻に対する括約筋温存術式の1つの完成された形としての価値はあると考え,ここに発表する.
  • 長野県A村における逐年検診の成績
    仲間 秀典, 白井 忠, 山口 孝太郎, 古田 精市
    1986 年 39 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    長野県松本市近郊A村の住民を対象とし,昭和57年より3年間継続して大腸集検を実施した.集検方式は問診と便潜血による一次スクリーニング後,二次スクリーニングとしてsigmoidoscopyを行う方法を採用した.参加者はのべ総数4,388人,3年間の平均が対象者(40歳以上)の67%1,463人で,このうち問診陽性者,便潜血陽性者,要内視鏡検査者はそれぞれ5.0%,8.1%,11.6%であった.癌7人,0.16%(早期癌3人,0.07%,進行癌4人,0.09%),ポリープ54人,123%が発見された.2年目,3年目に発見された進行癌の3症例は,いずれも前年度の便潜血は陰性であった.ポリープも3年間を通じ高率に発見された。なお内視鏡検査の脱落者のなかに他医により早期癌と診断された例もある.
    以上より問診便潜血によるスクリーニングでは,false negativeの欠点を補充するため,逐年検診が必須と考えられる,また精検過程での脱落者への対応も必要と思われる.
  • 桜井 厚二
    1986 年 39 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門括約不全に対する遊離横紋筋移植の効果をみる目的で,両性雑種成犬39頭を肛門括約筋の全切除群(S0,n=15),部分切除群(S1/2,n=12),温存群(S1,n=12)に分け,遊離薄筋自家移植をS0の9頭,S1/2の8頭,S1の12頭の計19頭に対して行い,うち14頭には移植2週間前に同筋の除神経を行った.処置前,術中,術直後,術後1カ月,3カ月,6カ月で行った直腸肛門内圧検査では,S0移植群の肛門管内圧は移植直後から低下し,その後回復をみなかったが,S1/2移植群ではS1/2対照群に比して移植後1カ月で肛門管内圧は有意に上昇し,S1移植群では処置前に比して移植後3カ月,6カ月で肛門管長の延長をみた.移植後6カ月時の筋電図検査では,移植筋の自発放電を28頭中20頭に認め,S1移植群の2頭では直腸伸展刺激に呼応する活動電位の増強を認めた.また28頭中5頭に40%以上の移植筋残存を認めたが,生着に対する除神経の効果はみられなかった.
  • 久保田 芳郎, 武藤 徹一郎, 沢田 俊夫, 小西 文雄, 阿川 千一郎, 森岡 恭彦, 糸山 進次
    1986 年 39 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎に直腸癌と肝内胆管癌を同時に合併した極めて稀な症例を報告した.68歳男性で黄疸,心窩部痛,悪心を主訴として来院した.27年来下痢が続いており,注腸,内視鏡検査で全大腸炎型,軽度活動期一の潰瘍性大腸炎の所見と,1.5×1.Ocm大の下部直腸の扁平隆起性病変が認められた.また経皮経肝胆道造影で右肝内胆管の嚢胞状拡張と陰影欠損が認められ,術中生検にて腺癌と診断されたため,肝右葉切除術と経肛門的直腸局所切除術が施行された.直腸切除標本の組織学的検索で,SMへ達し部分的に粘液結節状を呈する高分化型腺癌と間質の炎症性細胞浸潤,およびdysplasiaの所見があり,潰瘍性大腸炎から癌化したと考えられた.また肝右葉には右肝内胆管を瀰慢性に浸潤する乳頭管状腺癌とpericholangitisの所見がみられた.潰瘍性大腸炎の癌化の問題と本邦報告例の検討,および潰瘍性大腸炎に合併した胆道癌について文献的に考察した.
  • 小西 文雄, 武藤 徹一郎, 上谷 潤二郎, 森岡 恭彦, 原 宏介, 柳沼 征人
    1986 年 39 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸胆門部悪性黒魚腫の3例を報告した.3例中2例では,触診や内視鏡所見から本疾患を疑うことはできず,また生検を採取した2例中1例は印環細胞癌,他の1例は低分化腺癌と報告され,悪性黒色腫の術前診断は得られなかった,3例中2例では,直腸切断術およびOK432とDTIC,ACNU,Vincristine(DAV療法)による免疫化学療法が,他の1例では,直腸切断術とBCG療法が施行された.全例,血行性およびリンパ行性転移をきたして8~29カ月後に死亡した.1983年までの本邦報告例を分析し,自験例と合わせて本疾患の診断と治療における問題点を検討した.
  • 高屋 通子
    1986 年 39 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    結腸人工肛門を有する63例の人工肛門周囲の皮膚に,肛門部の薬用清浄剤として市販された肛門清浄剤(基剤:スクアラン,液状トリグリセライド,配合薬剤:グアイアズレン:商品名サニーナ,花王(株)製)を使用し,皮膚炎の有無,皮膚炎との関係,皮膚炎の発生予防,使用感,使用後の皮膚の状態,装具装着との関係などについて,質問状による調査を行った。
    その結果,・皮膚炎を有していた23例中15例は皮膚炎が改善し,3例は増悪した。増悪の原因は,肛門清浄剤のつけすぎが装具の装着関係を悪くし,装具のはがれを起した結果であった.
    使用感は,さっぱりすると回答したもの32例で,使用後皮膚がしっとりすると回答したものが36例あった.肛門清浄剤自体による副作用は認められず,一度に多量に用いなければ,人工肛門周囲皮膚の管理に,望ましいものであると考えられる。
  • 1986 年 39 巻 1 号 p. 49-62
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 39 巻 1 号 p. 63-102
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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