日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
40 巻, 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • とくに脈管侵襲と簇出について
    林田 啓介, 磯本 浩晴, 白水 和雄, 諸富 立寿, 黒肱 敏彦, 〓 光男, 緒方 裕, 福永 淳治, 梶原 賢一郎, 小畠 敏生, 山 ...
    1987 年 40 巻 2 号 p. 119-126
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    sm癌の治療上,局所切除の適応は転移・再発の危険性がないことが条件とされるが,その決定はけっして容易でない.この治療方針決定の一助となるべく,脈管侵襲を中心に臨床病理学的に検討した.対象はsm癌30病変とし,さらに比較検討のために腺腫134病変,m癌18病変,pm癌50病変を加えた.形態別特徴としては有茎型にpm癌はなく,陥凹型に深達度sm以上であり,隆起型に各病変が混在した,sm癌の大きさは10~29mmに集中した.脈管侵襲は有茎型:sm癌40%,隆起型:sm癌47%,pm癌50%,陥凹型:sm癌100%,pm癌100%と,sm・pm癌とも陥凹型に高率であった.リンパ節転移と関係が深いlyと簇出(budd-ing)との関連性は,簇出(+)でly(+)は80%,簇出(-)でly(-)は85%と両者の関連性が示唆された.このことから簇出は判定が困難なlyを補足する上で有用な所見になり得ると考えられた.
  • 吉田 隆亮, 原口 靖昭, 比嘉 昭彦, 大門 佳弘, 水田 能久, 玉置 端枝, 坂本 英典, 神戸 光, 田仲 謙次郎, 谷口 正次, ...
    1987 年 40 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去8年間に臨床経過を追求できた潰瘍性大腸炎58例について,若年発症および高齢発症例の特徴を,予後関連因子の分析から検討した.発症時年齢より,若年発症(29歳以下),中間発症(30-59歳),高齢発症(60歳以上)の3群に分け,群間比較の結果,高齢発症群では死亡は高率であり,再発回数は最低頻度であった.
    中間発症群に比較すると,重症度はより重症,病変拡大も高率,また臨床経過型はより持続型,激症型をとるが,若年発症群との比較では明らかな差異は認められなかった.手術に関しては,中間発症群より有意に高率であったが,若年発症群との間には開きを認めなかった.罹患範囲,薬剤併用,全身合併症,入院回数については,3群間に有意の差異は証明できなかった.
  • 岩田 康
    1987 年 40 巻 2 号 p. 133-144
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌に対してリンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断を行った20症例(男11例,女9例)を対象として,術前および術後1,3カ月,術後6カ月以降の各時点でのべ63回の排尿機能検査を行った.対象とした20症例のうち臨床的に排尿障害をみとめたのは,術後37日まで導尿を要した女性1例と,術後日時を経てのちに下部尿路に器質的障害を生じた男性2例,尿失禁のつづいた女性2例である.術後は膀胱内圧検査で膀胱の収縮消失が認められ,また尿流量曲線が多くの例で多峰性となったが,尿道内圧,最大あるいは平均尿流量などには大きな変化は認められず,膀胱尿道造影で膀胱の後方偏位と膀胱底尿道角の開大が特徴的であった.すなわち,術後の排尿動態には骨盤神経傷害と膀胱後方偏位が大きく影響していると考えられた.興味あることに,術後6カ月以降の女性患者では9例中3例に骨盤神経傷害の回復が認められた.
  • 大方 高志, 渡辺 晃, 鵜浦 章, 佐藤 恒明, 遠藤 克博
    1987 年 40 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌のスクリーニングにおける便潜血反応の意義を明らかにするために,診断確定した外来患者を対象として無制限食下に,便潜血反応―ヘモカルトII法,ヘマテスト1回法,フェカツインS・EIA法―を施行し偽陰性例および偽陽性例がどの程度出現するかを検討した.ヘモカルトII法では大腸進行癌で93%が陽性で,消化管に出血源の認めない過敏腸症等では19.2%でありこの程度の偽陽性率の出現が推定された.ヘマテスト1回法では大腸進行癌では72%が陽性であったが,過敏腸症等でも44.6%であった.フェカEIA法では大腸進行癌6例中6例で陽性を示し,過敏腸症等では5%で陽性であった.しかし本法の第一段階であるツインS法では後者の群において37.3%の陽性率であった.感度,特異度,陽性反応適中度および価格,処理能力等を考慮すると,大腸癌のスクリーニングにあたっては現時点ではヘモカルトII法がもっとも有用と考えられる.
  • 巾 秀俊, 大桶 博美, 吉雄 敏文, 柳田 謙蔵, 亀谷 寿彦, 林 京子, 山崎 和子
    1987 年 40 巻 2 号 p. 154-162
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    われわれは最近2年間の直腸癌症例のうち,経直腸的超音波断層装置により得られた超音波像(50症例)と肉眼的形態分類および組織学的壁深達度別の形態とを比較し,腫瘍の超音波像を大きく4 typeに分けた.また壁深達度別の超音波像の特徴を腸壁の層構造に基づき解折した.壁深達度mは症例が少なく分類できなかった.pmにみられる超音波像をtype1とし,a1(SS),a2(s)においては超音波像上の腫瘍の最大径を示す線の位置により3 typeに分類した.深達度別の腫瘍の超音波像は底面echoに特徴があり,これを前述のtype分類に加味することで腫瘍の浸潤様式が超音波像を介して図示できたと思われる.
  • 佐野 正明
    1987 年 40 巻 2 号 p. 162-171
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸微小病変の発見および性状診断には拡大色素内視鏡が有用であるが,未だ基礎的研究が十分ではない.著者は拡大色素内視鏡検査の臨床応用への基礎研究として実体顕微鏡(DM)と走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて,MNNG誘発ラット実験腫瘍と臨床例大腸隆起性病変の表面微細構造と病理組織学的所見との関係を検討した.ラット大腸は屠殺,摘出後,臨床例は生検またはpolypectomy後,ただちに0,2%methylene blue塗布しDMにて観察した.その後2.5%glutaraldehyde固定にてSEM観察を行った,ラットとヒトでは大きさを除くと表面微細構造に殆ど差がなく,単純(C)型,管状(T)型,混合(M)型,溝紋(S)型,不整(I)型の5型に分類できた,C型を示す病変はhyperplastic changeであり,腺腫および癌はT型からI型に分類された.表面微細構造が単純な型から複雑な型へ移行するにつれ異型度の強い腺腫がみられた.以上より,表面微細構造の観察により異型度が推測できると考えられた.
  • 猶本 良夫, 淵本 定儀, 紙谷 晋吾, 松田 忠和, 合地 明, 折田 薫三
    1987 年 40 巻 2 号 p. 172-176
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    乳癌の転移と診断したエストロジェンレセプター陽性のびまん浸潤型大腸癌を経験した.症例は56歳女性で,7年前に乳癌根治術をうけていたが,左下腹部痛をきたし注腸造影にて直腸,下行結腸の狭窄を指摘された.同部の針生検にて,group Vの診断が得られ結腸左半切除合併直腸切断術および両側卵巣切除を施行された.切除標本の検索にて,直腸S状結腸下行結腸の3カ所に非連続の粘膜下病巣がみとめられ,組織学的に乳癌(lobular carcinoma)の転移と診断された.また,卵巣にも同様の転移病巣がみられた.大腸の癌病巣のエストロジェンレセプターは陽性であった.本例は極めて稀であるので文献的考察を加え報告した.
  • 豊沢 忠, 布村 正夫, 更科 広実, 斎藤 典男, 新井 竜夫, 谷山 新次, 横山 正之, 井上 育夫, 井原 真都, 奥井 勝二, 古 ...
    1987 年 40 巻 2 号 p. 177-181
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸早期癌において,近年注目されている扁平隆起を呈し,その治療方針,ならびに大腸早期癌の病理学的背景を考える上で,興味のある2例を経験したので,これを報告する.症例1は,60歳男性.主訴は右下腹部癖.注腸X線検査にて,バウヒン弁対側に無茎性小隆起性病変が認められた.大腸内視鏡検査では,病変部と健常粘膜との境界が不明瞭であったため,内視鏡的ポリペタトミーを断念し,'回盲部切除を施行しだ.病理組織学的には,腺管腺腫を背景とした粘膜内癌であった.症例2は,52歳男性.主訴は便秘と下腹部痛.注腸X線および内視鏡所見にて,下行結腸に結節状の凹凸不整のある無茎性隆起性病変が認められ,これもポリペクトミーによる根治的治療は不可能と判断し,左結腸部分切除術を施行した.組織標本では,腺腫成分を伴わない粘膜内癌で,de novo cancerと判断した.このような症例の集積により,扁平隆起型大腸早期癌の位置づけを,今後注目したい.
  • 教室例の検討も加えて
    大高 道郎, 千葉 満郎, 太田 弘昌, 村田 雅彦, 五十嵐 潔, 荒川 弘道, 正宗 研
    1987 年 40 巻 2 号 p. 182-185
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    70歳時に発症した潰瘍性大腸炎の1例を報告すると共に教室の潰瘍性大腸炎症例について若干の文献的考察を加え検討した.症例は73歳の男性.70歳時に潰瘍性大腸炎が発症し,その再燃のため当科入院.Trueloveの分類で中等症,全大腸炎型であった.プレドニン40mg/目,サラゾピリン4g/日の経口投与で症状は緩解した.
    欧米の報告では50歳以上で発症した潰瘍性大腸炎は重篤なものが多く死亡率も高いが,本邦のそれは病変範囲が狭く軽症のものが多く予後は良好といわれている.教室例46例を検討した結果,50歳以上での発症例は全体の21.7%を占めた.その内訳は直腸炎型50.0%,左側大腸炎型10.0%,全大腸炎型40.0%で若年者に比し病変範囲は狭かった.また重症10.0%,中等症70.0%,軽症20.0%で中等症が多く,内科的治療で全例緩解が得られた.
  • 井上 育夫, 更科 広実, 斎藤 典男, 新井 竜夫, 布村 正夫, 高橋 一昭, 谷山 新次, 横山 正之, 井原 真都, 中山 肇, 奥 ...
    1987 年 40 巻 2 号 p. 186-191
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    他臓器より孤立性に大腸に転移したいわゆる転移性大腸癌は比較的稀ではあるが,手術適応となる 場合も多く予後向上が期待できる疾患と思われる.またその転移形式としては直接浸潤・血行性・リンパ行性・播種性転移などが認められているが,著者らは各々血行性,リンパ行性,播種性転移と思われる3症例を経験した.このように転移形式を分類できることは補助化学療法を行なう上で薬剤の選択,全身投与か局所投与かの選択をする上で意義のあるものと考えられる.
  • 1987 年 40 巻 2 号 p. 192-201
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 40 巻 2 号 p. 202-227
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top