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椋棒 豊
1987 年 40 巻 4 号 p.
361-368
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
大腸sm癌の治療方針に対して,ポリペクトミーか根治手術かの適応を設定するために,71例の摘除ポリープおよび腸管切除標本より,肉眼形態,大きさ,病理組織の違いによるリンパ節転移のrisk factorを検討した.肉眼形態では有茎型Ipは病理組織学的に悪性度が低く,陥凹を伴った病変,すなわち扁平隆起陥凹型IIa+IIcと陥凹型IIcは悪性度が高かった.大きさでは20mm以上よりリンパ節転移陽性例を認めた.組織型では分化度の低い腺癌はリンパ節転移のriskが高かった.以上より大腸sm癌のポリペクトミー適応例は,高分化型腺癌で,(a)Ip型,(b)20mm未満の無茎型Isと扁平隆起型IIa,手術適応例は,(a)分化度の低い腺癌,(b)20mm以上のIs型とIIa型,(c)IIa+IIc型とIIc型と結論し得た.
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鳥谷 裕, 有馬 純孝, 二見 喜太郎, 内田 博, 梅野 寿実, 志村 秀彦, 八尾 恒良
1987 年 40 巻 4 号 p.
369-379
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
Crohn病63例中,肛門病変合併例は51例・81%,肛門病変初発例は22例・35%で,大腸病変を有する症例ほど合併頻度は高く,とくに直腸病変を有する症例は全例肛門病変を合併しており,肛門病変の出現にはCrohn病に伴う直腸病変の存在が大きく関与していた.
肛門病変の種類別にみると,肛門周囲膿瘍・痔瘻が67%を占め,肛門潰瘍・裂肛・skin tagに比し高頻度で,本邦における特徴と思われた.また痔瘻症例のうち,陰部付近に二次口を有する症例が7%,複雑・多発痔瘻が35%に認められたことは通常の痔瘻と病像が異り,留意すべき点であった.
直腸生検による類上皮肉芽腫の検出率は29%であったが,直腸病変合併例,裂肛・肛門潰瘍合併例では各々60%・53%と高い検出率を示し,肛門病変の特徴的肉眼所見とともに考えるとCrohn病診断上きわめて重要な所見であろう.
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とくにその成因の解明について
高野 正博, 松田 保秀, 松田 正和
1987 年 40 巻 4 号 p.
380-385
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
消散性肛門直腸痛は,発作性に起こり,かつ消褪する痛みで,発作が治まるとまったくその痕跡を留めないとされ,この点で他の器質的疾患と大いに趣きを異にしている。その原因についてはさまざまの仮説があるが,いずれも推定の域を脱せず,現在まで原因不明の疾患とされている,われわれは過去32例の当疾患を経験したが,いずれの症例においても骨盤後面,特に仙骨,尾骨,肛門挙筋などに限局性の圧痛点が認められ,われわれはこれがいわゆる疼痛のtrigger pointであると判断した。この部分に診断と治療を兼ねたブロックを行うことによって,ほとんどの症例で症状は軽快,消褪した。以上のことより,当疾患の原因解明に大きなアプローチを得たと思われるので報告する。
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竹下 俊隆, 堀 聡彦, 堀口 潤, 白鳥 泰正, 木下 剛, 陳 培欽, 窪田 良彦, 勝亦 重弘, 堀向 文憲, 宮岡 正明, 松本 英 ...
1987 年 40 巻 4 号 p.
386-389
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
各種便潜血反応の経時的変化を見るために,溶血液を糞便中に混和し,反応の推移を検討した。検体をそのまま室温で保存した場合,化学法であるスライドA,B法は2日目より免疫法であるラテックス凝集法でも3日目より反応が弱くなった。検体を4℃で保存した場合,いずれの方法でも反応に変化はなかった。
スライドに検体を塗布して室温保存した場合,スライドA法は変化がなく,スライドB法では4日目からやや反応は弱くなったが陽性が持続した。ラテックス凝集法で,検体を緩衝液中に混和し室温で保存した場合,4日目から反応が弱くなった。さらに,ラテックス凝集法で糞便中ヘモグロビンを定量的に測定した結果,検体の室温保存で3日目に45%,8日目で40%まで低下したが,検体を緩衝液中で保存した場合は,室温保存でも3日目で100%,8日目でも90%と変化は少なかった。
以上の結果から,数日間の検体保存は冷所で行う必要があるが,スライド塗布か緩衝液中保存であれば,4-5日間の室温保存は可能と考えられた。
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貞広 荘太郎, 片桐 誠, 久保内 光一, 大村 敏郎, 山田 良成, 津村 整, 赤塚 誠哉, 小平 進
1987 年 40 巻 4 号 p.
390-394
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
直腸の悪性腫瘍患者8例を対象とし,CUSAを用いて大動脈前神経叢,上下腹神経叢および下腹神経を温存しながらリンパ節の郭清を行い,その後温存した神経組織を切除してこれらの組織中のリンパ節残存について検索し,CUSAを用いた神経温存手術はリンパ節郭清の面よりみて問題があるか否かについての基礎的検討を行った.
8例の温存した神経組織中には,リンパ節の残存が各々9個,6個,5個,4個,2個,0個,0個,0個みられ,これらのリンパ節の最大径は3.5mm-0.4mmであった.以上よりCUSAを用いて行ったリンパ節の郭清は完全とはいえないとの結論に達した.
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瀬川 謙一, 勝又 伴栄, 山本 佳正, 五十嵐 正広, 岡部 治弥, 中 英男
1987 年 40 巻 4 号 p.
395-400
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
症例は腹痛を主訴とした22歳の男性で,注腸X線検査,大腸鏡および生検でCrohn病と診断した.入院経過中に,早朝空腹時の心窩部痛があり,胃内視鏡を施行したところ,胃前庭部大彎に立ち上がり滑らかな隆起性病変と潰瘍形成を認め,胃X線検査で胃前庭部大彎の胃壁内に瘻孔形成がみられた。
salazosulfapyridineにステロイド剤の投与を追加したところ,大腸および胃病変の改善が認められた.治療を必要とするような,Crohn病による上部消化管病変は,本邦ではきわめて稀で,われわれが調べ得た限り8例のみである.
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自験例と本邦報告137例の検討
岡部 聡, 中島 和美, 金子 慶虎, 竹村 克二, 五関 謹秀, 遠藤 光夫, 大橋 健一, 神山 隆一, 春日 孟
1987 年 40 巻 4 号 p.
401-407
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
直腸肛門部原発悪性黒色腫の1例を経験したので本邦報告137例を加え,診断と治療上の問題点を中心に検討した.症例は47歳女性,肛門部腫瘤の擦過細胞診により悪性黒色腫と診断し,腹会陰式直腸切断術(以下,APRと略す)さらに免疫化学内分泌療法を施行したが術後22カ月目に脳転移により死亡した.報告例を加えて検討した結果,診断については,(1)肛門出血を訴えるものが最も多く病悩期間は平均11カ月であった.(2)好発年齢は男女とも60歳台であり,男女比は1:1.83と女性に多かった.(3)本症の半数以上が直腸肛門移行部から発生しており,多発病変がみられたのは全体の23%であった,また(1)腫瘍最大径が5cm以上(2)壁深達度がss(a1)以上(3)肉眼的には潰瘍形成を伴う2または3型が1型よりも予後不良であった.早期診断,両側鼠径リンパ節郭清を伴うAPRと適切な抗癌剤等の投与による補助療法を行うことが本症の治療成績を向上させる上で必要であろう.
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林 繁和, 中村 常哉, 土田 健史
1987 年 40 巻 4 号 p.
408-413
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
患者は22歳(初診時)男性で18歳時に他院で潰瘍性大腸炎として治療され緩解し,4年後に下痢体重減少にて当院受診した。大腸X線・内視鏡検査でS状結腸から横行結腸半ばまで潰瘍がびまん性にみられ潰瘍性大腸炎と診断した。disodium cromogrycate(DSCG)経口投与単独で2カ月後に症状緩解し,内視鏡検査で潰瘍は消失,粘膜橋,炎症性ポリープの形成がみられ,血沈やCRPも正常化した。その後治療を中断,1年2カ月後に発熱,粘血便性下痢にて再燃,入院した。X線・内視鏡所見は初診時と同様で,DSCG経口投与で症状はやや軽快したが微熱は続き,排便回数も多かったので注腸投与にかえ,2カ月後に症状の緩解をみた。その後経口投与にしたが症状の悪化はなく,内視鏡検査でも潰瘍は消失し退院した。近年本邦でも潰瘍性大腸炎の治療に抗アレルギー剤が用いられるようになったが,DSCGが有効であったという報告はなく,今後多くの施設での検討が期待される。
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諏訪 寛, 福島 恒男, 杉田 昭, 増沢 成幸, 山崎 安信, 久保 章, 川本 勝, 竹村 浩, 土屋 周二
1987 年 40 巻 4 号 p.
414-418
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
左側大腸炎型の潰瘍性大腸炎の緩解期に左大腿静脈血栓症を併発した1症例を経験した.本例は32歳の男性で左下肢腫脹が出現して,静脈造影で左大腿静脈部の陰影欠損,閉塞および血栓の存在が証明された。この際,血小板数は31.8万でやや多く,血小板粘着能の亢進,血小板凝集能の高値等がみられた。血液凝固能亢進状態が血栓形成の一因となっていることが示唆された。左下肢腫張は保存的治療で徐々に消失した。
潰瘍性大腸炎に伴った動静脈血栓,塞栓症はBargen(1936年)の報告が初めてとされている。本邦では北村(1978年)らの発表以来6例で,いずれも重症に伴う血栓症である。本例は緩解期に発生したもので,潰瘍性大腸炎にしばしばみられる血液凝固能の亢進がその発生と関連性があったと考えられる。
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柳生 俊夫, 吉川 宣輝, 遠藤 省三, 河原 勉
1987 年 40 巻 4 号 p.
419-422
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
症例は肛門出血を主訴とする43歳女性。肛門縁より6cmの部位に8×6mmの扁平隆起があり,生検によりカルチノイドと診断された。術前の直腸指診で傍直腸リンパ節を触診し転移を凝った。R
2の郭清を伴う低位前方切除術を施行し,1群リンパ節4個にカルチノイドの転移を認めた。2cm以下,壁深達度smで転移をきたした6例の直腸カルチノイド本邦報告例を検討し考察した。カルチノイドが小さくともリンパ節転移が凝われたり,脈管侵襲や中心陥凹がみられる場合は積極的な根治的肛門機能温存手術を考慮すべきと考えられた。
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古屋 平和, 長浜 徴, 勝浦 康光, 畑 真, 中嶋 孝司, 小川 泰之, 沖 真, 福島 文典, 渡部 洋三
1987 年 40 巻 4 号 p.
423-427
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
教室において大腸脂肪腫を5例経験した.男性1例と女性4例で部位は盲腸1例,上行結腸1例,横行結腸2例,S状結腸1例であった.大きさは1.0cm大から4.5cmまでであった.治療は3例が手術され,2例が内視鏡的にポリペクトミーされた.本邦における報告例154例を集計し,その特徴や取り扱い上の問題点について述べた.
索引用語1大腸脂肪腫,大腸粘膜下腫瘍,内視鏡的ポリペクトミー
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林 勝知, 鬼束 惇義, 千賀 省始, 味元 宏道, 日野 晃紹, 尾関 豊, 広瀬 光男, 加納 宣康, 後藤 明彦
1987 年 40 巻 4 号 p.
428-432
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
岐阜大学第1外科で最近1年間に経験した結腸・直腸癌38例中同時性肝転移のあった症例は12例(31.6%)であり,そのうちの7例(58.3%)に一期的肝合併切除を行った.大腸癌原発巣の手術術式は結腸癌3例に対し,右半結腸切除術1例,S状結腸切除術2例で,直腸癌4例に対し,低位前方切除術2例,腹会陰式直腸切断術2例であり,肝転移に対しては,右葉前区域部分切除3例,亜区域切除1例,右葉切除2例,右葉後区域部分切除1例を行った.術中出血量は830~2,300ml(平均1,767ml),手術時間は4時間15分~7時間20分(平均6時間14分)であり,出血量,手術時間とも忍容されうる範囲であった,術後の肝機能障害も軽度で,血清蛋白も第1病日に軽度低下しただけで,合併症も7例中イレウス1例(14,3%)のみであった.したがって,大腸癌の同時性肝転移の治療成績向上のために,条件の許す限り,積極的に一期的に肝合併切除を行うべきであると思われた.
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James C. Thompson
1987 年 40 巻 4 号 p.
433
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
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中山 沃
1987 年 40 巻 4 号 p.
434
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
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吉田 修
1987 年 40 巻 4 号 p.
434a-435
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
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戸部 隆吉, 前谷 俊三, 西川 俊邦, 飯島 庸介, 丸岡 康洋, 小野寺 久, 菅 典道, 森野 高晴
1987 年 40 巻 4 号 p.
435-441
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
大腸癌では,肝転移に対しては肝切除により,局所再発に対しては広範囲再切除により延命効果が得られる症例がある.
肝転移予知のパラメータとしてv因子は重要であり,肝転移の存在診断あるいは局所浸潤範囲の診断にNMRは有力である.
早期発見・早期手術による初回治療の成績向上と共に,積極的な再発・転移の診断・治療も重要であり,再発防止に対するBRM(biological response modifier)の経口投与,肝切除後のadjuvant adoptive immunotherapyは今後期待し得ると思われる.
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1987 年 40 巻 4 号 p.
441
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
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1987 年 40 巻 4 号 p.
441a-442
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
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1987 年 40 巻 4 号 p.
442-443
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
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1987 年 40 巻 4 号 p.
443-444
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
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1987 年 40 巻 4 号 p.
444
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
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1987 年 40 巻 4 号 p.
444a-445
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
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1987 年 40 巻 4 号 p.
445-446
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
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1987 年 40 巻 4 号 p.
446-471
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー
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1987 年 40 巻 4 号 p.
472-485
発行日: 1987年
公開日: 2009/06/05
ジャーナル
フリー