著者らは,人間ドックの注腸造影検査79例を検討した結果,以下のような結論を得た,
1)検査前夜の下剤投与,直前の浣腸といった簡単な前処置でも,有用な注腸造影検査が行える.とくに大腸癌の好発部位である直腸S状結腸での有用性はきわめて高い.全大腸の造影を目的とする場合は,さらに前日夕のみの低残渣食を付加すべきである.
2)注入したバリウムは,下剤投与により,翌日までにほとんどが排泄され,翌日施行の胃X線検査への障害はまったくない.
3)専門の医師でなくとも十分行えるため,検診部門が独立していない医療機関では,人間ドックにおける大腸癌のスクリーニングにぜひとも取り入れるべき方法である.
4)今後の検討課題として,コスト,人手,検査時間などを軽減させるため,装置や撮影の仕方をさらに工夫すべきことが上げられる.
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