日本大腸肛門病学会雑誌
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41 巻, 3 号
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  • 奥田 誠, 松本 重喜, 中井 勝彦, 有森 正樹, 近藤 正, 辨野 義己
    1988 年 41 巻 3 号 p. 227-235
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸手術前腸管前処置にかんしては従来から低残渣食を主体とする機械的前処置とカナマイシン内服の化学的前処置の併用が広く行なわれてきた.今回従来の方法(I群)と比較するかたちで低残渣食のかわりに半消化態栄養剤クリニミール使用の場合(II群)さらにこれに嫌気性菌を対象にメトロニダゾールを併用(III群)した3群間で腸内細菌叢の変化を検討した.総菌数では3群いずれも減少したがI群がもっとも減少し次いでIII群であった.I群,IIは嫌気性菌,好気性菌ともに減少したがIII群では嫌気性菌は検出限界以下に激減したが好気性菌は前処置にもかかわらず不変であった.手術3日前から前処置を開始しその経日的変化をみるとI群,IIを術前日から当日にかけて嫌気性菌,好気性菌ともさらなる減少をきたすが,III群では前々日から前目にかけて嫌気性菌が十分に減少した.投与カロリーではII,III群は2,000Ca1/dayでI群の4倍であった.
  • 二階 亮
    1988 年 41 巻 3 号 p. 236-245
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    目的:潰瘍性大腸炎(UC)およびCrohn病(CD)患者の免疫調節機構について,末梢血単核球(PBMC)のIL-2産生能・反応性およびIL-2 receptor発現能などから検討した.方法:PBMCをPHA刺激で15時間培養し上清のIL-2活性をIL-2依存性細胞株を用いて測定した.また,PHA刺激後のPBMCのIL-2 receptor (IL-2R)発現率を抗IL-2R抗体を用い測定し,recombinant IL-2添加後の3H-TdRの取り込みからIL-2反応性をみた.成績:IL-2産生能(U/ml,M±SD)はUC (n=30):4.52.±3.58, CD(n=17):3.06±2.98で健常対照(n=26):11.0±6.47に比しいずれも有意に低下していた,病期による差は認められなかった.IL-2反応性とIL-2R発現能はUC・CDとも健常対照と差がなかった.健常人PBMCのIL-2産生能・反応性・IL-2R発現能はsulfasalazine 3g 7日間投与の影響を受けなかった.結論:IBD患者PBMCでは,IL-2産生能の選択的障害またはIL-2阻害物質の産生があると考えられた.
  • 堀江 泰夫, 千葉 満郎, 五十嵐 潔, 飯塚 政弘, 児玉 光, 荒川 弘道, 正宗 研
    1988 年 41 巻 3 号 p. 246-251
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当科外来の最近5年間の注腸検査例1212例について大腸憩室を検討した.その結果,1)大腸憩室頻度は11.1%,男性13.4%,女性9.0%,男女比は1.49:1であった.2)大腸憩室は30歳台8.1%,40歳台8.2%,50歳台15.5%,60歳台14.7%,70歳以上11.5%で,加齢に伴い増加した.3)大腸憩室は右側結腸型74.1%,両側結腸型12,6%,左側結腸型13.3%で右側結腸型が多かったが,加齢に伴い左側結腸型の頻度が増加した.4)大腸憩室のうち散発例が62.2%と最も多く,次いで単発例28.1%,群発例9.6%の順であった,なお,右側結腸型では単発例33.0%,散発例63.0%,群発例4.0%,左側結腸型では単発例27.8%,散発例55.6%,群発例16.7%であり,前者では単発例,後者では群発例が多い傾向がみられた,5)東北,関東地区の食物繊維摂取量を算出した結果,両地区とも最近繊維摂取量は減少していたが,とくに東北地区で顕著であった.
  • 押谷 伸英, 北野 厚生, 中村 志郎, 小畠 昭重, 橋村 秀親, 日置 正人, 松本 誉之, 大川 清孝, 小林 絢三
    1988 年 41 巻 3 号 p. 252-257
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    5年以上経過追求しえた潰瘍性大腸炎46例について臨床的検討を加えるとともに,当科にて術後経過追求しえた手術例8例についての残存直腸のmanagementを中心に検討した.長期経過例46例は全大炎型24例,左側大腸炎型15例,直腸炎型7例であり,重症例のうち77%が全大腸炎型である.これら46例について難治性および非難治性症例に分けて検討した.難治例は46例中21例,45.6%であり,男女比は難治例2:1,非難治例0.8:1である.長期経過例の内視鏡的経過についての検討では,難治例では経過にともない粘膜の萎縮像や炎症性ポリポーシスを呈する症例が多く認められた.また,難治例においては直腸が治療に反応するにもかかわらず,その口側大腸に活動性の潰瘍性あるいはびらん性病変が残存する傾向にあった.
    手術例8例は術前すべて全大腸炎型であり,慢性持続型3例,再燃緩解型5例であった.術後の内科的治療としては,salicylazosulphapyridine 3-4gを基本とし,残存直腸の活動性病変ならびに再燃病変にはbetamethasone座薬1-2mgの併用療法を行った.
  • 小林 一雄, 本田 亮一, 安士 達夫, 渡辺 正志, 桑原 利章, 永澤 康滋, 柳田 謙蔵, 吉雄 敏文
    1988 年 41 巻 3 号 p. 258-266
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    担癌患者の免疫能を示す非特異的な免疫パラメーターは種々の背景因子に影響されるため,単一で評価することは因難である.今回51例の大腸癌(結腸癌:16,直腸癌:35)の手術前後に免疫パラメーターを測定し,進行度別にそれぞれの推移を比較検討した・術前値の比較では進行度に準じて,OKT 8細胞比,OKT 4/0KT 8比,PHA・ConAリンパ球幼若化反応(S.I.値),PPD皮内反応に免疫能の低下を示す値が得られた.手術侵襲の影響は術後2週目にリンパ球数,PHA・ConAリンパ球幼若化反応,PPD皮内反応にみられ,進行度が進むほど低下を示し遷延した。そして治癒切除例では3カ月目に,担癌除去後の回復が得られた.非治癒手術例の主病巣摘出は一時的ながら免疫能の回復を示した.以上,非特異的な免疫能の推移を観察し,それぞれの状態に応じた免疫賦活の必要性を痛感した.少数例ではあるが,術後OK-432の免疫療法を施行し,免疫パラメーターの推移を観察した.
  • 宮島 伸宜, 小平 進, 寺本 龍生, 石井 忠弘, 高林 司, 阿部 令彦
    1988 年 41 巻 3 号 p. 267-272
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    術前に肛門疾患や排便機能異常のない直腸癌の患者8名の手術時に得られた外肛門括約筋を用いて組織学的および酸素組織化学的染色を行った.各筋線維タイプはタイプ1,85.85%,タイプ2A,6.15%,タイプ2B,7.95%とタイプ1線維が有意に多くtype 1 fiber predominanceを示した.筋線維の直径の平均は,タイプ128.4±8.96μm,タイプ2A40.2±9.21μm,タイプ2B 39.4±8.85μmとタイプ1線維の直径が有意に小さかった.またGTR染色で赤染し,NADH-TRおよびSDH染色で強い染色性を示すragged-redfiber(RRF)が45449本の筋線維中297本,0.65%に認められた.このRRFの一部では,cytochrome c oxidase (CCO)の欠損した線維がみられた.外肛門括約筋の性質上,type 1 fiber predominanceは合目的なものと考えられる.RRFの存在,CCOの部分欠損,type 1 fiberの直径が小さい機序や理由は不明であるが外肛門括約筋の筋持殊性と考えられ今後の検討を必要とする.
  • 山下 和良, 樋渡 信夫, 三浦 正明, 中嶋 和幸, 山崎 日出雄, 熊谷 裕司, 鈴木 邦彦
    1988 年 41 巻 3 号 p. 273-277
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    クローン病の発症年齢分布は,20歳台に大きなピークを示すが,われわれは最近,高齢者に発症したクローン病の2症例を経験した.症例1は72歳男性,体重減少,下痢で発症し,回腸末端~下行結腸に敷石像,縦走潰瘍を認めた.症例2は61歳女性で,腹痛で発症し,初診時回盲部腫瘤を触知した.回腸に敷石像と縦走潰瘍,上行結腸に強い狭窄を伴った敷石像,縦走潰瘍を認めた.ともに病変部位より非乾酪性肉芽腫を証明でき,小腸大腸型クローン病と確診した.欧米では高齢発症は8~19%にみられ,遠位大腸炎型が多い,回腸型では初回手術後再発が少ない.確診まで長期間を要する,症状やX線所見には若年発症と差異がない,などの報告がある.自験例における頻度は93例中2例(2.2%)であり,その臨床像は発症年齢が高齢であること以外,若年発症と比較して,症状,臨床検査所見,X線,内視鏡所見,生検所見に差異は認められなかった.
  • 多田 正大, 清水 誠治, 尾川 美弥子, 川本 一祚, 川井 啓市
    1988 年 41 巻 3 号 p. 278-282
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸ポリープに対する内視鏡的治療法として高周波電流を用いた内視鏡的ポリペクトミーが広く臨床に普及しているが,最近,筆者らは新しい手技を応用して,その治療の可能性について検討を行った,すなわち上部消化管出血に対する非観血的・内視鏡的治療法として開発されたヒートプローブ法を用いて,大きさ7×7mmの直腸ポリープの焼灼を行った.その結果,300ジュールの熱量によって完全に,かつ安全にポリープを焼灼することができた.焼灼潰瘍の治癒日数は3週間であり,後日行った切除大腸の病理組織学的検索でもU1,IIの潰瘍瘢痕であり,筋層には焼灼による影響は認められなかった.本法は手技が容易であり,腸管に与える損傷も少ないことから,適応を選べば有効な大腸ポリープの治療法になるものと強調された。
  • 多田 正大, 清水 誠治, 尾川 美弥子, 川本 一祚, 川井 啓市
    1988 年 41 巻 3 号 p. 278a-282
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.12歳の時,虫垂切除術後イレウスにて横行結腸小腸側々吻合術を受けている.その後貧血,低アルブミン血症に対して保存的治療を繰り返していたが,41年後blind loop syndromeの診断にて,根治術を施行し,術中blind loopの小腸に癌腫が発見された.組織学的に原発性小腸癌と診断された.小腸癌の頻度は稀であるが,とくにblind loopに合併した小腸癌症例は,検索し得る限りでは未だ報告されていないとおもわれるので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 田井 陽, 佐々木 茂雄
    1988 年 41 巻 3 号 p. 287-294
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    内痔核に対する5% phonol almond oil(Paoscle)による硬化療法の遠隔成績を検討するために,1981年中にこの療法を施行した200例の内痔核患者にアンケート調査を行い,患者自身の総合的評価,効果持続期間,症状,対策,便通などに関する回答を求めた.回答率は低く45例22.5%であったが,このうち約半数の21例は5年7カ月~6年7カ月(平均6年2カ月)後の調査時点で尚経過よく無症状であった.効果が一時的であった他の23例の効果持続期間は1カ月~4年(平均1年6カ月)であった.このような効果の差は,日常生活上の痔核に影響を及ぼすと思われる要因との間に,ある程度の関係が有るらしいことが伺われ,内痔核の脱出の程度が進行したと推察される10例には,とくに便秘などの便通異常が略全例にみられた,また,本療法施行後14カ月,2年の2例の切除痔核の病理組織像に尚著明な効果の持続を認めた.
  • 1988 年 41 巻 3 号 p. 295-304
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 41 巻 3 号 p. 305-334
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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