日本大腸肛門病学会雑誌
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44 巻 , 1 号
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  • 堀田 芳樹, 坂根 正芳, 黒田 勝哉, 奥本 聡, 山口 俊昌, 加藤 道男, 斉藤 洋一
    1991 年 44 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    60歳以上の大腸癌214例について60歳台,70歳台,80歳以上の各年齢層に群別し,80歳以上19例の特異性について検討した,主症状は80歳以上で腫瘤,イレウスが多く,病悩期間は80歳以上で12カ月以上の症例が有意多かった.大腸癌の家族歴は70歳以上に比べ60歳台で有意に多かった.大腸癌の切除率,治癒切除率は80歳以上で60,70歳台より若干高かった.臨床病理学的検討では各年齢層で明らかな特徴はなく,60歳以上の大腸癌において80歳以上の癌進展が必ずしも軽くないことが示された.術後遠隔成績も80歳以上と他年齢層の問に差はなかった.術前合併症は高齢になるほど多くなり,術後合併症も同様に80歳以上で最も多かった.とくに術後の精神状態異常は80歳以上で多かった,したがって80歳以上の症例であっても術前術後合併症に十分注意し,可能な限り治癒切除をめざすことが大腸癌治療の向上につながると考えられた.
  • 更科 広実, 井原 真都, 斉藤 典男, 布村 正夫, 中山 肇, 小田 奈芳紀, 白井 芳則, 奥井 勝二
    1991 年 44 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去4年間に,直腸癌Miles術後の局所再発と診断された17症例(切除群4例,非切除群13例)を臨床病理学的に検討した,原発癌が下部直腸で,腫瘍長径5cm以上,壁深達度a2以上,ew 2mm以下の症例に多く再発し,再発までの期間は平均32.9±24.2カ月であった.症状は会陰部痛が最も多く,診断にはCTとMRI診断が有用であった.治療別の比較では,切除群に2年以上の晩期再発が多く,再発巣が6cm以下と小さいもので,症状も軽くCEA値の低い時期に診断されていた.再発因子別では,ew因子によると思われる再発8症例中2例が切除群となっていたのに対し,n因子による4症例はすべて非切除群となっていた.非切除の局所要因としては,仙骨S1以上の上方浸潤が最も多く,ついで側方浸潤が多かった.切除群には多くの術後合併症を認めたが,その予後は比較的良好であり,非切除群では大部分が2年未満に死亡し,quality of lifeも不良な症例が多かった.
  • 横山 幸生, 望月 英隆, 長谷 和生, 山本 眞二, 岡田 晋吾, 栗原 浩幸, 小池 聖彦, 玉熊 正悦
    1991 年 44 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    絞扼型大腸癌の数量的定義化を試みるとともにその特徴ならびに治療上の留意点を明らかにするために臨床病理学的検討を行った.絞扼型大腸癌の定義は癌の環周度が4/5周以上で,かつ癌の横径が肛門側正常腸管横径の50%以下のものとした.1978年から1986年までに経験した大腸癌初回手術例446例中,絞扼型大腸癌は25例5.6%であった.臨床的特徴としてはイレウスを呈し緊急手術となったものが過半数を占めた.病理学的特徴としては壁深達度高度,静脈侵襲高度のもの,腫瘍割面の肉眼分類で浸潤型が多く,間質反応では線維化は強いものの炎症性細胞浸潤は軽度であった.治癒切除を行い得ても再発率は43%と高率で,5年生存率も38%と予後不良の傾向にあった.治療としては十分なリンパ節郭清を含む広範な術式はもとより,術後の化学療法・免疫療法等の集学的治療の必要性が示唆された.
  • 富田 秀司, 武藤 良弘, 高江州 裕, 出口 宝, 戸田 隆義
    1991 年 44 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    同一腫瘍内癌細胞の部位別特性の異同の有無をDNA ploidyと免疫組織化学を用いて大腸癌において検討した.症例は18例で腫瘍内の異なる4部位と正常粘膜より組織を採取,顕微螢光測光法によるDNA ploidyとPAP法によるc-myc産物,NCC-ST-439,CEAの染色程度を比較検討した.その結果(1)DNA indexは6例が部位による差が大であった。DNA ploidy patternは7例に異なるpatternが存在し,これらの症例は同一pattern群に比して進行程度が高度例に多い傾向にあった.(2)c-myc産物,NCC-ST-439, CEAは部位による染色程度に差を認め,とくにc-myc産物の陽性率は腫瘍中央部表層と最深達部に高い傾向にあった.(3)c-myc産物とNCC-ST-439の陽性率は6C以上の細胞が10%以上を占める癌に高い傾向にあった.以上の結果より,大腸癌の同一腫瘍内における生物学的多様性が示唆され,そのような特性は腫瘍の進行度が高度な例に多く認められる傾向にあった.
  • 井原 真都, 更科 広美, 斉藤 典男, 布村 正夫, 横山 正之, 井上 育夫, 中山 肇, 小田 奈芳紀, 白井 芳則, 滝口 伸浩, ...
    1991 年 44 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1982年より1989年までの直腸癌治癒切除160例に対し,組織学的進行度を参考にしてfollow upプロトコールを作製し,理学的所見や腫瘍マーカーの測定の他に種々の画像診断を加えて局所再発の早期発見に努めた,follow upしえた症例のうち25例に局所再発が認められた.群別再発率はA群(lowrisk)が0%,B群(intermedeate risk)が11.3%,C群(high risk)が23.2%とC群の再発率が高率であった.局所再発の初回診断法は括約筋温存群ではEUS,内視鏡検査によるものが多く,確定診断は内視鏡下生検によって行われたものが14例中10例と最も多かった.直腸切断群では初回診断はMRI,CTによって行われたものが多く,組織学的確診は11例中8例がCT下生検によって行われた。各種画像診断の特徴では,とくにMRI緩和時間により局所再発巣と術後瘢痕組織の鑑別の可能性が示唆された.これらの検討より,直腸癌術後症例に対してはCT,USなどの画像診断を加えた定期的スクリーニングを行い,疑診例にはMRIによる精査を行ったのちにCT下生検による確定診断を行うのが最も良い方法と考えられた.
  • 上野 雅資, 太田 博俊, 堀 雅晴, 関 誠, 畦倉 薫, 塩田 吉宣, 高木 国夫, 西 満正, 梶谷 鐶, 高橋 孝
    1991 年 44 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移の根治的切除71例を対象として,これらの治療成績を検討した.全体の5年生存率は18%で,肝切除後8年以上の長期生存を4例に認めた.直死は2例(3%)であった.肝切除後の予後因子の検討では,原発巣の所見では,直腸原発は結腸原発より,リンパ節転移陽性は陰性より生存率が低かった.肝転移巣の所見では,同時性の肝転移は異時性より生存率が低かったが,転移個数,大きさ,部位などでは差は認めなかった.肝切除術式では,拡大切除と小範囲切除での治療成績の差はなかったが,癌腫からの安全域が1cm以下のものは1cmを越えるものより予後不良であった.
    再発は,残肝再発が大部分を占めたが,直腸原発では結腸原発よりも肝臓以外の再発が多く,予後不良の原因と考えられた.以上,充分な安全域を取れば,小範囲切除でも肝転移を根治し得るとの結果を得た.しかし,同時性の肝転移例や原発巣のリンパ節転移高度例および直腸原発例では,残肝や全身性の再発に対する補助療法が必要と思われた.
  • 田中 和廣, 藤盛 孝博, 平山 大介, 藤田 昌幸, 徳田 好勇, 寺本 忠久, 北沢 荘平, 堀尾 光三, 前田 盛, 屋代 庫人, 長 ...
    1991 年 44 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸腺腫,腺腫内癌,sm癌,進行癌,平坦陥凹型癌,計51例における癌遣伝子産物(ras, c-myc, erbB-2),および増殖因子(EGF, TGF-β)の発現をパラフィン包埋材料の連続切片を用いて免疫組織化学染色により検討した,rasを除く遺伝子産物は腺腫群では低値を示し,浸潤傾向とともに高値を示した.進行癌周囲正常粘膜ではras, erbB-2が高値を示した.癌周囲異型粘膜の染色濃度には癌の病理学的形態による特異的な所見はなかった.sm浸潤部では進行癌が他群に比較して高値を示した.腫瘍性病変の各群とも癌遺伝子産物は重複して陽性を示した.またいずれの群においても浸潤を伴うものではこの部で非浸潤部と比較して重複陽性例が多かった.以上より大腸癌における発癌には複数の癌遺伝子の活性化が関与していることが示唆された.
  • 長崎 彰, 川名 隆司, 住友 健三, 窪田 正幸, 生野 猛
    1991 年 44 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸内に生理食塩水を注入しつつ,直腸肛門内圧を測定した.13例の正常児では生理食塩水注入後肛門内圧は下降し,直腸と同じ波形を示すことが多かった.88%において便意が発現し,31%で生理食塩水500mlを保持できた.30例の特発性便秘症では生理食塩水注入に対して肛門内圧が下降したのは2例で,肛門の波形は多くは大きな弛緩を繰り返し,一部収縮を示した.24%において便意の訴えがあり,75%は生理食塩水500mlを保持できた.10例のヒルシュスプルング病では生理食塩水注入後肛門内圧が下降したのは1例のみで,肛の波形は大半が生理食塩水注入前と変化なく,一部の例で収縮波が認められた.この群は低年齢のため便意発現はわからないが,67%の例で生理食塩水500mlを保持できた.
  • 嶋田 満, 森瀬 公友, 稲垣 貴史
    1991 年 44 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    大腸癌患者20症例の所属リンパ節84個を用いて免疫組織化学的検討を行った.癌転移陰性リンパ節の傍濾胞域におけるCD8+細胞数は,stageIII患者では正常対照リンパ節に比べ有意に増加していた.またstageIII患者においてCD8+細胞は,転移陽性リンパ節では転移陰性リンパ節に比べ有意に増加し,かつ転移巣近位部では遠位部に比べ有意に増加していた.さらに,癌転移巣内のリンパ球浸潤の主体はCD8+細胞であり,その大部分はCD8+CDIIb-のcytotoxic T-cellと確認された.転移陽性リンパ節の癌転移巣内や傍濾胞域で,interleukin-2 receptor+(IL-2R+)の樹状細胞が集簇してみられ,その大部分はS100蛋白陽性のinterdigitating cell(IDC)で,またHLA-DR抗原陽性であり,活性化された抗原呈示細胞であることが推測された.以上より,大腸癌所属リンパ節では,cytotoxic T-cellやIL-2R+のIDCを介した癌と関連する宿主の免疫応答の存在が推定された.
  • 加納 宣康, 山田 直樹, 吉村 能章, 二村 直樹, 和田 英一, 稲田 潔, 松波 英一, 伊東 久男, 五島 英一, 斉藤 雅之, 木 ...
    1991 年 44 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Ogilvie症候群の本邦での報告例は未だ少なく,1984年に著者らが本邦第1例を報告して以来未だ6例のみである.今回われわれは新たに経験した本症の1例を報告する.患者は62歳女性.主訴は腹痛と嘔吐.既往歴として30歳代にイレウスとして3度の手術と56歳時に根治的乳房切断術を受けている.約2カ月前より便秘傾向であったが,3日前より腹痛と嘔吐が加わったため当科へ入院した.腹部単純X線攝影で上行結腸から下行結腸にかけて著明な結腸の拡張を認めたが,直腸内には軟便はあるも糞塊はなく,小腸の拡張もなかった.Ogilvie症候群を疑い保存的治療を施行し軽快した.その後の注腸造影では結腸の器質的な閉塞性病変はないため本症と確診された.本症に対する認識が高まれば本邦でも本症の報告例が増えるものと考えられる.
  • 星野 洋, 市川 正章, 鬼塚 俊夫, 市川 和男, 高原 理, 鈴木 正康, 秋山 裕人
    1991 年 44 巻 1 号 p. 73-80
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,男性,発熱,右上腹部痛を主訴に近医受診,転移性肝腫瘍を疑われ当科紹介,入院となった.画像診断にて肝全域に多発する腫瘍を認め,また下部直腸に4.5cm大のBorrmann 1型腫瘍を認めた.肝および直腸腫瘍の生検標本の病理学的検討により肝転移合併直腸カルチノイドと診断した.Grimelius染色陽性,Fontana-Masson染色陰性であった。5-HIAA,セロトニンは正常値,ブラジキニンは高値を示したが,カルチノイド症候群を疑う症状は認めなかった.直腸腫瘍に対して姑息的直腸切除術,肝転移に対してIFN-α-2a動注,TAEを施行した,IFN動注の奏功度はNC,TAEの奏功度はPRであった.1990年3月までに本邦で報告された肝転移合併直腸カルチノイド51例についてみると,TAEを施行した4症例は生存期間が非施行例と比較して著明に延長していた.自験例の経験も考え合わせ,TAEは直腸カルチノイド肝転移例,とくに多発例に対して積極的に施行すべきと考えられた.
  • 豊田 悟, 又井 一雄, 片山 隆市, 石田 秀世, 穴沢 貞夫, 桜井 健司, 大村 裕子
    1991 年 44 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    S状結腸エンドストーマに合併したmucosal implantationの1例を報告した.症例は55歳男性.1985年9月に,直腸癌,膀胱浸潤に対し,骨盤内臓器全摘術,回腸導管,S状結腸エンドストーマ造設術を施行した,その後徐々に結腸ストーマ周囲にmucosal implantationを生じ,その増大とともに装具との接触による出血や疼痛をおぼえるようになったために,CO2レーザーを用いた治療を行った.今回治療経過を報告するとともに,mucosal implantationの成因について述べたが,正しいストーマー造設法を行うことにより予防できることを強調したい.
  • 木島 三夫
    1991 年 44 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    成人の仙骨前腫瘤は稀である.症例は42歳の女性.痔瘻を合併している.直腸指診,CTにて直腸後壁左側に3個の嚢胞を認め,経仙骨的に全摘した.3つ葉のクローバ状に接合した3個の嚢胞は3種3様の内容で,1つはきれいな漿液,1つは淡黄色泥状,1つは赤褐色の膿汁様内容であった.嚢胞壁は多列線毛上皮,粘液産生円柱上皮,重層扁平上皮,移行上皮で多様に被覆され,壁内に平滑筋線維が存在,tailgut cystsの病理像に矛盾しない組織所見であった.
  • 高橋 誠, 大野 一英, 遠藤 文夫, 升田 吉雄, 増田 益功, 小林 信之, 田中 治実, 小幡 五朗, 高井 満
    1991 年 44 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門部疼痛,発赤,腫脹および発熱のいわゆる肛門周囲膿瘍症状を主訴とした直腸癌症例4例を経験したので報告する.これは同時期下部直腸癌症例81例の4.9%にあたる.4例ともにMiles手術が施行され,組織学的進行度はstage I:1, II:1, III:1, IV:1名であったが,4例中3例に1年以内の局所再発が起こり死亡している.生存は1例のみで,Miles手術に加えて術中骨盤腔内温熱化学療法を行った症例で,術後1年6カ月を経て,健在である.肛門周囲膿瘍症状は下部直腸癌の周囲軟部組織への浸潤,穿孔ともいえ,それだけ進行癌と思われ,広範切除でも腫瘍細胞の残存が起こり,局所再発の危険が非常に高いと思われた.そのため,そのような症例には,より広範な手術に加えて,温熱化学療法等の補助療法が必要であると思われた.
  • 北川 達士, 松本 好市, 山本 純二, 山村 剛司, 三浦 力, 石島 直人, 鈴木 宏志, 吉村 平
    1991 年 44 巻 1 号 p. 93-98
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎に対する結腸全切除,回腸直腸吻合術後19年を経た53歳女性にみられた直腸癌の1例を報告した,切除標本の病理組織学的検索では,直腸に2個の癌とそれを囲む異型粘膜がみられた.DNA flow cy-tometryでは癌組織と異型粘膜からDNA aneuploidyが見いだされたが,正常粘膜からはDNA diploidyのみが検出された.ここに報告した症例でみられた所見と文献的考察から,潰瘍性大腸炎に合併する大腸癌の早期発見,大腸癌合併の高リスク群の同定に内視鏡下のtarget biopsyが重要であることが示唆された.
  • 高野 正博, 藤好 建史, 高木 幸一, 藤吉 学, 河野 通孝, 橋本 正也, 辻 順行, 濱田 映, 藤本 直幸
    1991 年 44 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門小窩炎は肛門小窩に炎症を生じる疾患である.われわれは,最近経験した本症例100例の臨床症状,診断,治療についての分析を行った.男女差は少なく,年齢では40~50歳代にピークがあり,病悩期間は数日から6年間と広く分布していた.主症状は疼痛で,体動に関係が有るものと無いものがある,部位は左右に現れるものが最も多く,多くは複数の形をとり4個が最も多い.しばしば骨盤内,あるいは大腸のさほど器質的変化を伴わない疾患と合併している.逆に,近似した疾患であるとされている肛囲膿瘍・痔瘻や,隣接して合併するとされている肛門乳頭炎などとは相関関係はないと考えられる.治療は薬物療法・硬化療法・crypt切開術・crypt切除術・cryosurgeryなどを段階的に行い,治癒したもの41例,以前より改善したもの24例,再発したもの35例という結果を得ている.
  • 荒木 靖三, 磯本 浩晴, 諸富 立寿, 白水 和雄, 林 譲司, 掛川 暉夫
    1991 年 44 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸pm癌で,リンパ節転移に影響を及ぼす因子を明らかにするため,臨床病理学的に検討を行い,さらに細胞核DNA量について検討を加えた.過去14年間に,当教室で経験した直腸癌切除例に占めるpm癌の頻度は11.5%で,なかでもRb癌は56.5%を占めた.腫瘤型直腸pm癌はn1までに転移が止どまっていたが,潰瘍型はn2,n4転移を認めた.DNA aneuploid群は33.3%にリンパ節転移を呈し,組織型別では中分化型が33.3%に転移陽性であり,腫瘍局所の単核細胞浸潤軽度群は42.9%と高率に転移を認めた.治癒切除された直腸pm癌83例中8例(9.6%)に再発を認め,全例血行性転移を伴っていた.
  • 裹川 公章, 山口 俊昌, 中本 光春, 西田 禎宏, 川北 直人, 中江 史郎, 西尾 幸男, 川口 勝徳, 五百蔵 昭夫, 植松 清, ...
    1991 年 44 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1978年から1988年までに当科で切除した大腸低分化腺癌20例の臨床病理学的特徴について,高分化と中分化の分化型腺癌222例と比較検討した.低分化腺癌の頻度は7.7%で,占居部位はC+Aの右側結腸に多く認め(p<0.01),早期癌は1例もなく,腫瘍最大径は全例3.1cm以上であった.リンパ節転移陽性率は75%と高率で,壁深達度も全例がss(ai)以上で,組織学的進行度はstage II 3例(15%),stage III 7例(35%),stage IV 2例(10%),stage V 8例(40%)と高度に進行した癌が大部分であった.治癒切除を行えたのは9例のみで,このうち4例が5年以上の生存例であった.低分化腺癌はすでに進行癌の状態で手術される症例が大部分であるが,拡大手術を行うことにより長期生存例がえられるものと考える.
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