日本大腸肛門病学会雑誌
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44 巻 , 8 号
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  • 岩垂 純一
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1125-1126
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門疾患の中には,その診断,治療に難渋するものがある.つまり肛門疾患の容易な,定型的な状態でなく,各肛門疾患の重症例,再発例,合併例などの特殊状態や,定型的な肛門疾患に類似した他疾患や,定型的肛門疾患でも全身合併症を有するものなどがある.そのような診断,治療に苦労する難治性肛門疾患について痔核,裂肛,痔瘻,およびその他の疾患の項目に分けて特集を組んだ.
  • 家田 浩男
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1127-1133
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去3年間に2,442例の内痔核症例の手術を経験し,特に難治性内痔核症例についてその臨床成積を基に,その特徴と対応について検討した.難治性内痔核には,(1)内痔核の程度・状態により定型的手術ができないもの,(2)再発した症例,(3)他の肛門病変を合併した症例,(4)内痔核類似疾患としての肛門管脱出と直腸粘膜脱,(5)肛門以外に合併症があるもめ,があげられる.これら難治性内痔核に対しては,まずそれぞれの病態を充分把握することが重要であり,その上でそれぞれに対する手術方法の工夫,ならびに治療上の配慮が必要である.とくに手術方法については,術後の肛門機能を可及的に正常に保つことを目標とし,具体的には損傷のない肛門上皮・直腸粘膜をより多く残存させるよう心掛けることが肝要である.
  • 本郷 啓之
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1134-1139
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    約9年5カ月間に当院で入院して行われた痔核手術は,1,567例(痔瘻,裂肛併存例も含む)で,その中,全身合併疾患や特殊な合併疾患等(special situations)を有し術後,難治であった症例は3例に過ぎない.うち2例は炎症性腸疾患との合併例である.しかも主病変は低位筋間痔瘻であり,痔核例は手術適応とならない程の1~2度の痔核であった.術前には炎症性腸疾患を予測しておらず,術中の所見と術後の難治創から疑い,判明した症例である.全身合併疾患や特殊な合併疾患等は無配慮に手術すると術後,重篤になりやすく,炎症性腸疾患合併例においても,明らかに痔核治療時から始まったcomplicationsのため,rectal excisionを必要とした例もあるといわれ,痔核全体数から見ればごく少数ではあるがとくに注意を怠れない.経験した2症例を中心に,文献的考察を加えた.
  • 河野 通孝, 高野 正博, 藤好 建史, 高木 幸一, 藤吉 学, 橋本 正也, 辻 順行, 藤本 直幸, 佐々木 俊治, 前川 忠康, 吉 ...
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1140-1149
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    痔瘻難治化の原因を,(1)術前の全身的,(2)術前の局所的,(3)術中,(4)術後の4つの要因に分けた.本文では,その中でもとくに(2)の中の他肛門病変の合併,クローン病合併,蜂窩織炎を取り上げたい.(1)他肛門疾患との合併:1990年の当院手術例390症例で見ると,最も多いのは内痔核で,ついで裂肛,肛門狭窄の順になっている.合併率は,型が浅いほど高く,I型70.4%,IIL型28.2%,IIH型21.9%,III型12.9%,IV型16.7%であった.それぞれの型に応じ,合併病変を加味した術式の選択が必要である.(2)クローン病に合併する痔瘻:クローン病93例中72例(77.4%)に合併し,手術症例56例で見ると深部痔瘻の割合が15例(26.8%)と高く,難治性で再発しやすい.手術は全身状態の改善を待って行っている.浅いものでは開放術が主体であるが,深部痔瘻に対しては括約筋温存術式も行っている.術後成績は,56例中40例(71.4%)において1回の手術で病態の治癒・軽快が見られ,かなり優れた結果だといえる.(3)蜂窩織炎:当院で7例経験した.皮下疎性結合織に広範な感染が広がった状態で,まず肛囲膿瘍として起こり,これが会陰部から陰嚢・鼠径,さらには腹壁あるいは下肢へと急速に広がる.混合感染の場合が多く,毒性が非常に強い.治療としては,速やかに病変部を全開放し,広範囲スペクトルの抗生剤投与を行う.成績は7例すべて良好であった.
  • 松田 直樹
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1150-1154
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    普通の痔瘻は原則通り感染巣の切除を十分に行えば治癒するが,なかには同様の手術を行っても経過が悪く治癒が遷延するものや,一度の手術では治癒し難い,いわゆる難治性痔瘻と呼ばれるものがある.それらは一般に全痔瘻症例の約10%を占めるという.当院の過去2年間の痔瘻症例でも512例中,難治性のものが56例(10%)にみられた.また痔瘻の急性期症状の一つともいわれる肛門周囲膿瘍の症例148例中にも難治性のものが48例(32.4%)にみられた.これらの症例をしらべ難治性痔瘻の特徴を分析した.それによると難治性痔瘻の平均発症年齢は41.1歳,平均病悩日数は2年10カ月,高位痔瘻の占める割合は隅越分類のIIH型は24%,III型は40%で,平均治癒日数は54日,手術既往のある者の占める割合は76%であった.これらの数値は普通の痔瘻のものに比較して,全体に高めの値を示すことがわかった.従って,これらのことを念頭に入れ診察に臨めば普通の痔瘻と難治性痔瘻との判別や術式選択の目安になるものと思われる.
  • 石山 勇司, 佐々木 一晃
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1155-1160
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛も慢性の結過をとると難治性となり外科治療の対象となる.裂肛の手術法としては,用手肛門拡張法,凍結療法,種々の内括約筋切断法,裂肛切除・皮膚弁移動法などが行なわれている.これらのうちで用手肛門拡張法は,再発や術後の肛門機能不全等から術式として否定的な意見も存在する.しかし,われわれは,裂肛に対して原則として用手肛門拡張法を最近の10年間で3,142例に行ってきた.これらのうち817例は,肛門狭窄をきたして難治性となり,肥大乳頭(anal polyp),見張り疣(skin tag)を認める症例である.さらには瘻孔を形成しているような症例に対しても,本法を原則として入院することなく施行しており良好な結果を得ている.これらの症例の約5%に再発を認めるが,再度外来にて用手肛門拡張法を施行している.本法は注意深く行うことにより,soiling, incontinenceをきたす症例もなく,非常に有用な手技である.
  • 野口 一成
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1161-1166
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛は肛門病学においていつも痔核,痔瘻の後塵を拝し,いわば傍役に甘んじている.しかし裂肛類似の疾患も加えると裂肛は頗るバラエティーに富んでおり,生半可な知識では対処しきれない.そこで"定型的ではない裂肛"病変を難治性か,稀かにとらわれることなく広く取り上げ,都合39疾患または病態を病型別に分類して各肛門病変の診断と治療について論じた.難治性肛門潰瘍を論ずるとき,ほとんど必ず引き合いに出されるのがCrohn病,潰瘍性大腸炎,結核,梅毒,白血病,肛門癌などである.これらの疾患を"有名な"疾患とすれば,"無名の"疾患の中にも重要な疾患が多数あることが分る,すなわち,肛門科医が苦手とする皮膚科的疾患,診断が混乱し易い,あるいは稀な感染症,近年話題の多い性行為感染症,稀な悪性疾患,原因不明の難病,医原性の潰瘍などである.さらに肛門外科医としてその解決に最も意を致さねばならないのは原因不明の潰瘍と術後難治創の問題であろう.
  • 小杉 光世
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1167-1177
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    痔疾を除くと肛門単独に存在する難治性疾患は多くない.しかし,肛門周辺の皮膚,下部直腸,仙骨や骨盤,あるいは腸病変,全身疾患に関連する難治性病変は多種多様である.日常診療で注意し鑑別すべき病変は悪性疾患と特殊炎症性疾患であり,慢性難治疾患の治療上,悪性や特殊炎症性病変の存在を知っておくことは肝要である.ここでは肛門原性の複数痔疾混在症例に対する形成手術手技と痔疾症状を主訴とした類基底細胞肛門癌の2症例,肛門周辺病変として肛門〓痒症と関連皮膚疾患および杙創の1症例,下部直腸関連疾患として嵌屯直腸脱,粘膜脱症候群,Dieulafoy型直腸潰瘍と巨大な肛門周囲膿瘍形成直腸癌の1例,他臓器と全身疾患に関連する病変として結核性痔瘻,クローン病肛門狭窄,血友病患者の後出血,肛門症状を主訴とした整形外科疾患,初療の術式選択が難しい直腸平滑筋(肉)腫などの症例を呈示し私見を述べる.
  • 小野 力三郎
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1178-1183
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Fournier's syndrome,直腸S状結腸肛門部に発生したびまん性海綿状血管腫,直腸重複腸管の3疾患をあげその臨床像を呈示した.Fournier's syndromeの66歳男性の場合,坐骨直腸窩痔瘻に合併した肛門周囲膿瘍から会陰,陰嚢,大腿へと進展した蜂窩織炎であった.死亡率の高い疾患であるが,同様症例の経験を生かし,重篤な合併症もなく治癒せしめることができた.20歳,女性の直腸S状結腸肛門部のびまん性海綿状血管腫は,年齢を考慮して腹会陰式直腸切断術を避け,低位前方切除術を施行して肛門を温存した.残存直腸からの出血は軽減できたものの,肛門管における出血,疹痛が続き,膿瘍,痔瘻も合併し,治療に難渋した症例であった.直腸重複腸管は45歳の男性で,骨盤直腸窩痔瘻の手術で始まったが,臨床像が痔瘻癌に酷似していた.これを否定しきれず,腹会陰式直腸切断術を施行したところ,病理学的に直腸重複腸管と判明した症例であった.
  • 高野 正博
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1184
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 馬場 正三
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1185-1188
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Recent advancement of molecular biology is remarkable. It has been revealed that adenoma carcinoma sequence can be explained by the molecular biological changes, as Vogelstein advocated. The genes on 5q (21-22), 17p (13-1), 18q seem to play an important role for development of colorectal cancers.
    More recently, APC MCC gene was identified by our colleagues.
    How does a mutant suppressor gene lead to colon cancer? Following articles by leading researchers in this field might answer this question and solve the problems which we have to face presently.
  • 湯城 宏悦, 横田 淳, 武藤 徹一郎
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1189-1194
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    最近の分子生物学の進歩により,ヒト癌細胞の遺伝子異常を直接とらえることが可能となり,その結果,多くの癌において複数の遺伝子異常が起こっていることが明らかとなった.このことは,正常細胞が悪性化する過程で,形態・性状などが段階的に変化するという,多段階発癌の考え方を支持するものである.癌で異常を起こす遺伝子は,"活性化"されることが癌が起こる「癌遺伝子」と"不活化"されることで癌が起こる「癌抑制遺伝子」に大別される,癌遺伝子ではras遺伝子の点突然変異,myc遺伝子の増幅などによる活性化,癌抑制遺伝子ではRB,p53遺伝子の欠失,点突然変異などによる不活化が多くの癌で認められ,癌の発生・進展に関与する遺伝子異常と考えられている.これらの遺伝子異常と臨床病態との関連においても急速に研究が進んでおり,近い将来,診断・治療への応用が期待される.
  • 安藤 浩, 西庄 勇, 三好 康雄, 三木 義男, 堀井 明, 永瀬 浩喜, 中村 祐輔
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1195-1199
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    近年の分子生物学的知見より,大腸癌の発生には,数種の遺伝子変異が関与しているものと考えられている.癌組織で,癌遺伝子の一つであるK-ras遺伝子の点突然変異が高頻度でみとめられ,腺腫の段階で変異を有するものも多い.また腫瘍組織における染色体の欠失部の解析により,p53遺伝子が同定され,DCC遺伝子が単離された,これらの遺伝子のうち腫瘍組織に残存している側は高頻度に変異のあることが見いだされ,ともに癌抑制遺伝子であると考えられている,最近われわれは家族性大腸ポリポーシスの原因遺伝子の存在する第5番染色体長腕領域より,MCC遺伝子を単離した.大腸癌組織における遺伝子解析より,この遺伝子もまた,大腸癌の発生に関係した癌抑制遺伝子であるものと考えている,本稿では大腸腫瘍組織における癌遺伝子,癌抑制遺伝子の変異と発癌との関係を概説し,加えて最近われわれが単離同定したMCC遺伝子について詳述する.
  • 利谷 幸治, 柳川 右千夫, 笹月 健彦
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1200-1205
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    高発癌性遺伝子疾患である,家族性大腸ポリポーシス(FPC)は,大腸の発癌機構を知る上で良いモデルとなっている.ここでは,FPCならびに一般の大腸癌の分子生物学的研究から得られた,最近の知見と併せて,FPCの腫瘍発生過程における遺伝子レベルの変異について,われわれの得た知見を述べた.これらの解析から,FPCにおいても一般の大腸癌と同様に,腺腫から大腸癌に至るまでには,複数の遺伝子の変異が重要な役割を果たしていることが,示唆された.
  • 門田 卓士, 森元 秀起, 中西 弘幸, 福永 睦, 島野 高志, 森 武貞
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1206-1213
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌および大腸腺腫における癌抑制遺伝子産物p53の発現を免疫組織学的に調べた.組織の調整はマイクロウエーブ照射による迅速固定で行い,そのパラフィン切片に対して抗ヒトp53モノクローナル抗体(PAb1801)を1次抗体とするABC法を施行した.また,その隣接切片に対してp53との関連のあるheat shock protein(HSP72)およびproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の染色をあわせて行った.p53は大腸癌98例中62例(63,2%)で癌細胞の核に検出されたが,その陽性率は癌の組織型・最大径・深達度などの臨床病理学的因子には影響されなかった.一方,腺腫では44個中4個(9%)でのみ腺腫細胞の核にp53がfocalに検出されたが,これらはいずれも異型度の低い腺腫であった.HSPは,癌および腺腫の核周囲細胞質に検出され,p53と複合体を形成しているという直接的証左はえられなかった.PCNA標識率からみると,p53陽性癌細胞の増殖能がとくに高いとは考えられなかったが,p53陽性腺腫細胞のそれは陰性の腺腫細胞に較べ明らかに高い標識率をしめした.
  • 堀川 泉, 押村 光雄
    1991 年 44 巻 8 号 p. 1214-1219
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    正常細胞中には,癌細胞のもつ種々の形質を抑制する遺伝情報が存在する,このことが細胞雑種法を用いた実験により示されたのが,癌抑制遺伝子研究の発端であった.近年,単一染色体移入法により,正常細胞由来の1本の染色体を癌細胞に導入することが可能となり,この手法を用いて癌抑制遺伝子についての染色体レベルでの研究が進められている.これまでに大腸癌を含む種々の癌由来の細胞株を用いて得られた結果は,機能的に異なった数多くの癌抑制遺伝子が存在することを示し,細胞雑種法やRFLP解析による知見を裏付けた.
  • 1991 年 44 巻 8 号 p. 1220-1284
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 44 巻 8 号 p. 1285-1338
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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