日本大腸肛門病学会雑誌
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45 巻 , 1 号
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  • 杉森 清孝
    1992 年 45 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    消化管悪性腫瘍,炎症性腸疾患などの消化管疾患では腸管内への慢性出血や蛋白漏出が認められる.そこで,各種消化管疾患を対象にenzyme immunoassay法により糞便中のhemoglobin,albumin,transferrin,α1-antitrypsinを同時測定し,定量的評価および糞便中蛋白のパターン分析からこれらの病態を検討した.蛋白測定方法は,96穴マイクロプレートに4種類の蛋白に対する各抗体を固定させ固相プレートを調製した後,各Wellに検体を分注し一次反応を行った.ついでalkaline-phosphatase標識抗体による二次反応後,Kind-King法に準じ発色させ比色定量した.4種類の糞便中蛋白の4℃,25℃,37℃における経時的変化をみるとα1-antitrypsinが最も良好な安定性を示した,各疾患についてこれら4種類の糞便中蛋白のパターンを分析するためにレーダーチャートを応用したグラフで図式化すると,小腸病変を主体とするクローン病などではα1-antitrypsinが特に高値を示し偏りのあるパターン図が得られ,潰瘍性大腸炎のように広範な病変を,あるいは大腸癌のように局所的であっても高度の病変を大腸にみるものでは4種類の蛋白がともに高値を示すパターンが認められ,小腸病変と大腸病変の部位鑑別に有用と思われた.さらに,全例についてα1-antitrypsin消化管クリアランスを算出すると血清albuminと負の相関性(r=-0.5756,P=0.0001)が認められ,とくにクローン病での病勢把握に有用であった.一方,潰瘍性大腸炎では糞便中蛋白の4種類ともに病勢の指標になりうると思われた.
  • 寺邊 政宏
    1992 年 45 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌症例56例からえられた癌組織58検体について免疫組織化学染色によりKi-67scoreを算出した.正常大腸粘膜腺管底部のKi-67scoreは28.9±6.6%であったのに対して,大腸癌のそれは38.5±10.3%と有意に高かった.大腸癌におけるKi-67scoreは,粘膜癌に比して,粘膜下層を越えて浸潤しているもので有意に高く,またリンパ管侵襲陽性のものではこれが陰性のものに比して有意に高かった.しかし,血清CEA値を含めて,これ以外の臨床病理学的因子とKi-67scoreとの問には関連を認めなかった.
  • 渡辺 聡明, 沢田 俊夫, 久保田 芳郎, 洲之内 広紀, 尾野 雅哉, George J. Tsioulias, 武藤 徹一郎
    1992 年 45 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    家族歴陽性の大腸癌患者について臨床病理学的に検討した.対象と方法:大腸癌手術例のうち,患者自身も含め第一度近親者に2例以上の大腸癌患者を認めた症例をCCFH群,それ以外をcontrol群として,臨床病理学的因子,癌原発巣の核DNA ploidy pattern,癌先進部炎症性細胞浸潤様式について検討した.結果:CCFH群は51例,control群は801例であった.平均発症年齢はCCFH群55.6歳control群59.2歳(p<0.05),右側結腸癌の頻度はCCFH群32.8%,control群23.1%であった.大腸多発癌,他臓器重複癌の頻度はともにCCFH群の方が頻度が高かった(p<0.05).核DNAploidy patternは差がなく,癌先進部の炎症性細胞浸潤は,CCFH群の方が著明であった.まとめ:CCFH群は(1)若年発症例が多い.(2)右側結腸癌が多く,特に直腸癌の頻度が低い,(3)多発,:重複癌の頻度が高い.(4)癌先進部の炎症性細胞浸潤が著明で,癌周囲の局所免疫応答が強く働いている可能性が示唆された.
  • 椎木 滋雄, 淵本 定儀, 岩垣 博巳, 浜田 史洋, 日伝 昌夫, 折田 薫三
    1992 年 45 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1978年から1990年までの13年間に教室で経験した大腸癌手術症例は372例で,そのうち非治癒切除88症例(23.7%)を対象に臨床病理学的検討を行った.非治癒因子についてみると,結腸癌ではH因子は76.5%で最も多く,ついでP因子19.6%,N因子17.6%の順であった.直腸~肛門管癌ではH因子56.8%,P因子27.0%,N因子21.6%の順であった.肉眼型では2型および3型が多く,組織型では直腸癌で中分化腺癌の占める割合が高かった.壁深達度ではss(a1)以上が大部分を占め,n(+),ly(+)/v(+)例が多かった.術後生存率は,結腸癌では1生率55%,2生率29%,3生率19%で,直腸癌では,1生率47%,2生率25%,3生率15%であった.非治癒因子別では,結腸癌,直腸癌ともH因子,N因子で比較的長い生存期間であった.
  • 瀬上 秀雄, 佐々木 巌, 舟山 裕士, 内藤 広郎, 神山 泰彦, 高橋 道長, 福島 浩平, 松野 正紀
    1992 年 45 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Crohn病7例の狭窄性小腸病変に対する,strictureplasty(SXPL)の手術成績を検討した.症例は男4例,女3例,SXPL施行時の平均年齢は32.7歳であった,術後平均経過期間は17.1カ月(3~34カ月)であり,初回手術時の病型は,小腸大腸型5例,小腸型2例で,4例は同時に腸切除を行った.施行したSXPLの内容はHeineke-Mikulicz型22カ所,Finney型5カ所,Jaboulay型3カ所の計30カ所であった.術後,重篤な合併症はなく,全例症状とIOIBD scoreの改善を認め,良好な経過を示した.SXPLは安全な術式であり,積極的に施行すべき術式であると考えられた.
  • 舟山 裕士, 佐々木 巖, 内藤 広郎, 神山 泰彦, 高橋 道長, 福島 浩平, 瀬上 秀雄, 松野 正紀
    1992 年 45 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    重症潰瘍性大腸炎の手術例42例を対象に,術前強力静注療法と回腸肛門吻合を行うにあたっての残存直腸炎の管理について検討した.その結果,強力静注療法を始めた1975年以降(後期)はそれ以前(前期)に比べ,術前5日間のステロイド剤の使用量はプレドニン換算で10.5mg/目から42.4mg/日へと増加したのに対し,手術死亡は20%から5%へと減少し手術成績は向上した.しかし,術前平均輸血量は後期でも2836mlと大量の輸血が行われており,輸血量も手術時期を決定する因子として考慮すべきと考えられた.また強力静注療法の継続期間は1980年以降平均12.8日より15.7日へと延長傾向がみられ,重症例に対する治療が安全になった反面,手術時期が遅くなる傾向がみられた.重症例に対して回腸肛門吻合術を行う場合には直腸炎の管理は重要であり,われわれが行っている上直腸動脈からのステロイド剤動注療法は有用と考えられた.
  • 高野 正博
    1992 年 45 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    痔瘻の根治術に際して,最近は括約筋温存術式が我が国でも重要視されている.しかしこの括約筋温存術式の欠点として,瘻管のすべてが確認あるいは切除されていないということに加え,正常組織とりわけ括約筋との関連性が十分把握されないことがある.したがって機能温存という点では優れているとしても,痔瘻の根治という点では従来の瘻管開放あるいは切除術式に比していささか後退した感がある,この両者を完全に満足させるために,私は痔瘻の全長にわたって周囲組織とりわけ括約筋との関係をすべて確認し,正常組織を傷つけることなく瘻管をすべて切除し,総修復するやり方を行い,これを「解剖学的痔瘻根治術」と称している,現在までかなりの症例に行っているが,その成績は従来の術式に比して非常に優れており,さらには以上に述べた長所に加えて教育学的意義,痔瘻の発生の解明と治療の向上といった研究面でも大いに寄与するところがあると考える.
  • 塩田 吉宣, 堀 雅晴, 太田 博俊, 上野 雅資, 関 誠, 西 満正, 梶谷 鐶, 柳沢 昭夫, 加藤 洋
    1992 年 45 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    magnetic resonance imaging(MRI)を35例の直腸癌患者に施行し,リンパ節転移に関する術前診断を行うと同時に,郭清されたすべてのリンパ節のプレパラート上での直径と転移との関係を検索しMRI画像の診断能を評価した.上方向リンパ節では,accuracy 76.6%,sensitivity 69.2%,specifisity 81.0%で,側方向リンパ節ではaccuracy 84.0%,sensitivity 80.0%,specificity 85,0%であった.上方向でも側方向でも,転移の有無にかかわらず長径1.0cm以上のリンパ節を有する症例では,転移陽性率は有意に高かった(上方向:p<0.005,側方向:p<0.001),転移陽性リンパ節でも1対1の対応は困難な場合が多かったが,側方の転移陽性リンパ節では7例中5例で1対1の対応が可能であり,その解剖学的位置関係を立体的に把握する上でMRIは,きわめて有用であった.
  • 深野 雅彦
    1992 年 45 巻 1 号 p. 54-65
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌患者に対して術前に60Gyの大量放射線照射を行い,その摘出標本の組織学的変化と局所再発防止効果について検討した.対象は下部直腸癌(腺癌)36例で,対照として非照射群39例を用いた.放射線療法は全骨盤腔に40Gy照射し,さらに原発巣に20Gy追加照射した.放射線療法完了後平均23日で手術を行った.原発巣の組織学的変化を残存した癌胞巣の変化をもとに分類すると,軽度5.9%,中等度41.2%,高度55%であった.組織学的変化は原発巣の表層よりも深部で顕著であり,その結果外科的剥離面から癌最深部までの距離を長く確保するのに有効と思われるものがあった.また照射により脈管侵襲陽性例は有意に減少し,リンパ節転移に対しても原発巣と同様の組織学的効果が認められ,局所再発率は非照射群23.1%に対し照射群では6.5%に低下した.以上のように直腸癌に対する大量(60Gy)の術前照射により各種の組織学的効果,局所再発の防止効果が認められた.
  • 高橋 利通, 久保 章, 竹内 信道
    1992 年 45 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    虫垂肉芽腫による盲腸腫瘤はまれな疾患である.われわれは3年前の虫垂切除術後に発生した右下腹部痛を主訴とした盲腸腫瘤の一切除例を経験したので報告する.症例は23歳,女性,1987年2月4日急性虫垂炎で虫垂切除術を行った.病理組織学的所見ではappendicitis phlegmonosaであった.1990年9月,右下腹部痛が出現し,注腸造影,腹部超音波検査で盲腸の腫瘤を指摘され,1990年11月26日,回盲部切除術を行った.盲腸に3×2cmの山田II型の腫瘤があり,病理学的検査で絹糸による異物肉芽腫がみられ,盲腸腫瘤は虫垂肉芽腫と診断した.術後経過は良好で術後2週間で退院となり,術後5カ月の現在,右下腹部痛は消失している.
  • 坂下 武, 舛井 秀宣, 金 正文, 山本 俊郎, 城 俊明, 大木 繁男, 福島 恒男, 土屋 周二
    1992 年 45 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    最近われわれは酸素吸入療法で治癒した腸管嚢胞様気腫の1症例を経験したので報告する.症例は75歳の女性,主訴は粘血便と泡沫状粘液の排泄であった.腹部単純X線写真で左上腹部に多数の小円形透亮像を認め,注腸造影でS状結腸に多数の円形隆起性病変を認め,内視鏡検査でS状結腸に多数の半球状隆起性病変を認めた.腸管嚢胞様気腫と診断し,51/分×5時間/日の酸素吸入療法を施行した.酸素投与後2週間で注腸X線検査上および内視鏡検査上隆起性病変の数は減少し,4週間後には消失した.本邦における過去12年間の報告例を集計すると自験例を含め126例あり,男女比は54:62,平均年齢51.1歳部位は小腸19例に対し大腸83例であった.主訴は腹部膨満感が最も多かった.外科的切除は32例に行われた.酸素吸入療法は42例に行われ,治癒までの平均期間は3.1週であった.他の32例は自然治癒症例で,治癒までの平均期間は17.1週であった.
  • 小倉 修, 前田 昭三郎, 山田 一隆, 石沢 隆, 島津 久明, 永井 志郎
    1992 年 45 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸内視鏡検査で虫体を確認し,これを内視鏡下に除去しえた大腸アニサキス症の1例を経験した.症例は37歳の女性で,鯖寿司を摂食し,1日後に心窩部痛が出現した.その後,右下腹部痛,嘔気,下痢がみられるようになり,当院を受診した.問診,超音波断層所見,経口腸X線造影などより大腸アニサキス症が疑われ,前処置後大腸内視鏡検査を施行した.盲腸部に4匹の虫体が認められ,これらを内視鏡的に除去した.併せて20例の本邦報告例に関ずる文献的考察を行った.
  • 岡村 孝, 水口 博之, 鳥屋 城男, 大久保 雅彦, 有馬 正明, 末岡 均, 石原 通臣, 渡辺 正道
    1992 年 45 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    diversion colitis and proctitisは1981年Glotzerが提唱した病態で,人工肛門の造設で腸内容が通過しなくなったため空置大腸に発生する腸炎である.最近一疾患単位として認められつつあるが本邦での報告例はない.われわれはその1例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.Borrmann III型の横行結腸癌にて横行結腸部分切除,上行結腸人工肛門造設,横行結腸粘液凄造設術を行った。1年5カ月後肛門と粘液瘻より血性分泌物の排泄を訴えた.空置大腸(粘液瘻と肛門の間の大腸)の注腸X線検査で微小な陥凹性病変を,内視鏡検査で易出血性,びらんを認めた,生検で上皮の変性・萎縮,線維化,crypt abscessを示した.人工肛門より口側の大腸と回腸末端部に異常所見はなかった.以上よりGlotzerの本症の診断基準を満たすと判断した.本症は興味ある病態であるが原因は不明でさらに研究が必要であり,人工肛門の造設で空置大腸を生じた患者の診察にあたって念頭におくべき疾患と老えられる.
  • 鬼束 惇義, 山田 直樹, 荒川 博徳, 安田 博之, 永島 寿彦, 嘉村 正徳, 今井 龍幸, 池田 庸子, 下川 邦泰
    1992 年 45 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    結腸癌に伴う閉塞性大腸炎の手術に際しては,結腸癌の根治手術のみならず閉塞性大腸炎の病変部を完全に切除することが重要である.閉塞性大腸炎は術前診断のついたものが少ないこともあり,血管造影像について検討した報告はない.われわれは術前に血管造影を施行し,閉塞性大腸炎の範囲を判定するうえで有用であった症例を経験したので報告する.症例は68歳の女性で左下腹部痛,嘔吐,下痢を主訴とし来院した.注腸造影にてapple coreとその口側の母指圧痕像,鋸歯状の壁を認めたため,S状結腸癌とそれに伴う閉塞性大腸炎と診断した.下腸間膜動脈造影にて,結腸脾轡曲部以下の下行結腸に,腸壁の濃染像,vasa rectaのtaperingの消失,transit timeの短縮が認められた.これらの所見は腫瘍と閉塞性大腸炎の問の僅かな部分には認められなかった.動脈造影より術前に結腸の切除範囲を脾轡曲部と定め,病変部を完全に切除することができた.
  • 山崎 震一, 山崎 健二, 宮崎 高明, 松岡 健司, 甲斐崎 祥一, 小林 清二, 成瀬 勝俊, 大槻 俊夫, 春日井 政博, 深井 健一 ...
    1992 年 45 巻 1 号 p. 89-100
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    注腸X線検査100例の腸管をトレースし,S状結腸,S状結腸下行結腸接合部(以下SDJと略),下行結腸,左結腸曲,横行結腸,右結腸曲,盲腸の位置に従って分類し,さらにS状結腸を大棒らの分類に従って1~V型に分け,直腸S状結腸接合部(以下RSJと略)2点,S状結腸I~V型3点,SDJ高度屈曲3点,下行結腸固定不良2点,左結腸曲ループ形成3点,横行結腸下垂または形態変化2点,高度下垂+1点,右結腸曲ループ形成または横行結腸が腸骨稜の高さから直線的に上行し鋭角的に上行結腸に移行するもの3点,盲腸が中腸骨窩より低位1点,合計20点となるよう配点した.その結果は,1型55%・(9.16±3.04),II型13%(10.39±3.18),III型17%(8.29-3.06),IV型5%(10.00±3.67),V型10%(13.70±2.71)であった,()内は難易度で,100例の平均は9.67±3.34であった.
  • 小牧 隆夫, 木元 正利, 牟禮 勉, 岩本 末治, 今井 博之, 笠井 裕, 忠岡 好之, 吉田 和弘, 藤森 恭孝, 山本 康久, 佐野 ...
    1992 年 45 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去17年間に教室で経験した大腸穿孔22例を,臨床病理学的に検討した.年齢は45歳から87歳平均65.2歳,男16例・女6例であった.単発穿孔19例と多発3例(計25穿孔)の部位は,S状結腸(48%)が最も多く,ついで横行結腸(24%),下行結腸(12%),直腸(8%),上行結腸ならびに盲腸(各4%)の順であった.医原性穿孔例に対しては,一期的縫合で治癒できたが,特発性や大腸憩室に起因する症例は,exteriorza-tionのみでも死亡例(22例中6例,27.3%)が多く,術後のARDS,MOF,エンドトキシンショックに対する積極的な治療が救命につながるものと思われた.
  • 林 隆正, 小松 重幸, 大家 宗彦, 野村 高二, 田野 伸雄, 山村 誠, 大野 忠嗣, 里見 匡迪, 下山 孝
    1992 年 45 巻 1 号 p. 106-111
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1985年から1989年までの5年間に育和会記念病院にて注腸X線検査を行った1,339例を対象として,日本人923例と在日韓国・朝鮮人416例の大腸憩室について検討した.憩室発見頻度は日本人21.2%(男性23.4%,女性17.1%),在日韓国・朝鮮人15.1%(男性19.6%,女性7.7%)であり,在日韓国・朝鮮人は日本人に比べ低い傾向にあった.特に女性では有意に低く,頻度に大きな差がみられた.しかし,Limらの報告にみられるソウル在住の韓国人の大腸憩室の発見頻度(2.64%)と比較すると,当院での在日韓国・朝鮮人における発見頻度は5倍以上も高いものであった.憩室発生部位は,右側優位で,目本人と在日韓国・朝鮮人と韓国人の間に差はなかった.以上の事実から,大腸憩室の発生に関しては,日本人と韓国人は同一の遣伝的素因を持つが,日本の環境は憩室の発生を促すように働く因子が大きいことが考えられた.
  • 三穂 乙實, 青木 哲, 朝山 功, 北原 慎太郎, 千葉井 基泰, 大西 健夫, 一志 公夫, 山本 学, 岡井 秀行
    1992 年 45 巻 1 号 p. 112-117
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    教室で手術を行ったクローン病患者8例のうち,2例は男性で,6例は女性であった.このうち妊娠,出産が問題となる既婚女性5例について,妊娠,出産とクローン病症状の消長について検討した.結婚前に発症し,手術をうけた2例はそれぞれ2回の妊娠,出産に問題なく,妊娠,出産によるクローン病の増悪もみられなかった,結婚前に発症したが保存的治療によって緩解していた1例は第1子分娩後に症状の増悪を認め,手術となった.手術後に第2子を儲けたが,このときは症状の増悪を認めていない.結婚後に発症した2例では,1例が妊娠5カ月で発症し,分娩後に手術をうけており,1例は発症後妊娠していない.少数例ではあるが,われわれの経験では,手術前の2症例における妊娠,分娩がクローン病症状の発現あるいは増悪になんらかの役割を果たした可能性が示唆されたが,クローン病に対する手術が妊娠,分娩に悪影響を与えないことが窺われた.
  • 林 勝知, 宮田 知幸, 渡辺 敬, 千賀 省始, 尾関 豊, 日野 晃紹, 飯田 辰美, 鬼束 惇義, 広瀬 一, 下川 邦泰
    1992 年 45 巻 1 号 p. 118-122
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    今回の検討は,イレウスを伴った大腸癌に対する外科的治療の問題点を明白にすることを目的とした.対象は当科で最近10年間に経験したイレウスを伴った大腸癌15例である.これを1群(イレウス症例)とし,同期間のイレウスを伴わなかった大腸癌288例をII(非イレウス症例)として,臨床病理学的特徴について,比較検討した,年齢,性比,リンパ節転移,stage,治癒切除率,手術直接死亡,累積5年生存率は両群間に有意差を認めなかった.占拠部位のSはI群66.7%,II群22.2%であり,I群ではSがIIに比し有意(P<0.01)に多かった.壁深達度のss,sあるいはa1,a2はI群93.3%,II群68.2%であり,1群ではss,sあるいはa1,a2がII群に比し有意(p<0.05)に多かった.術後合併症はI群53.3%,II28.8%と1群が有意(p<0.05)に多いが,I群8例の合併症のうち5例(62.5%)が創感染であった.したがって,イレウス症例では非イレウス症例に比し,術後合併症は多いものの,手術成績および予後には差がないものと思われた.
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