日本大腸肛門病学会雑誌
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45 巻, 5 号
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  • 安富 正幸
    1992 年 45 巻 5 号 p. 535-535,715
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    欧米の先進国から大きく遅れていたわが国のストーマ・リハビリテーションは、最近10数年間に急速な発展と普及をとげた。この発展の中心はストーマ・リハビリテーション講習会であり、この講習会は本学会よりの助成により維持されたことを感謝する。
    下部消化管や下部尿路の外科における最も基本的な手術は腸あるいは尿瘻の造設術であって、これらの瘻孔をもった患者の社会復帰を取りあげるのがストーマ・リハビリテーション、(またはストーマ・ケア)である。
    わが国のストーマ・リハビリテーションは欧米と異なり、専門職であるsr(enterostomal therapist)中心としたものでなく、看護婦と医師の連携が中心である。全国各地から受講生を募集し、より多くの受講生に基礎教育を施し、これらの受講生が地域ごとの研究会を発展させた。このような急速な発展は腸疾患の増加、術後患者のQOLへの配慮、医療と看護の連携のモデル、装具の進歩などに支えられてきた。まず、合併症の予防のために手術法に改良が加えられた。例えば、ストーマ周囲の皮膚ビランは突出外反飛型、狡窄は一期的開放、腸管の脱出やストーマ周囲ヘルニアや腸閉塞には腹膜外経路をとることにより、著しく減少した。回腸瘻についても同様のことが言える。ストーマ造設の必要性についての説明と合意、腹壁での位置決定、装具の選択、術後指導などほとんどすべての病院で行なわれている。大腸全摘術ではKook-pouchが採用され、尿路管理の進歩は進行直腸癌に対する骨盤内蔵全摘術が普通に行なわれている。今後のストーマ・リハビリテーションの進む方向はストーマの管理のみでなくストーマをもつ患者の共通の問題としての排尿・性機能の問題、解決が進められている。炎症性腸疾患や手術の合併症によって発生した病的な瘻孔管理の進歩は患者の治療に大きく貢献しているし、創傷の治療へと発展しつつある。将来は、わが国でも炎症性腸疾患の増加、高齢者大腸疾患の増加の時代が来るであろう。単にストーマ管理だけでなくストーマに関係する諸問題の十分な理解なしには大腸肛門病の治療の進歩はありえない。
  • 中村 祐輔
    1992 年 45 巻 5 号 p. 536-536,715
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1980年代に入り癌遺伝子が次々と単離され、癌細胞における癌遺伝子の活性化機構が解明されるに及んで、癌化の分子生物学的メカニズムが完全に明かにされるのではと期待された。RAS遺伝子の点変異、MYC遺伝子に代表される染色体の転座あるいは遺伝子の増幅によるコピー数の増加など、・癌遺伝子の質的・量的変化が発癌の重要な一因であることは確実であるが、これら攻撃因子の活性化だけでなく、最近では癌化に対する防御因子である癌抑制遺伝子の活性消失が発癌の主要な因子として注目を浴びつつある。癌抑制遺伝子という概念は綱膜芽細胞腫やWilms腫瘍などの遺伝性の小児腫瘍の発生に関与する特別な遺伝子ではないかと、当初考えられていたがRFLPマーカーとよばれるDNAマーカーの数の増加に伴って 般癌における染色体の欠失が次々と同定されるようになり、大腸癌をはじめ、乳癌・肺癌・腎癌においても癌抑制遺伝子の欠失が癌化の過程で重要な要因であることが確認されるに至った。大腸癌は一般癌のうちで最も癌化に関する遺伝子異常の研究が進んでいる癌であり、癌遺伝子ではRAS遺伝子、癌抑制遺伝子としてAPC遺伝子・MCC遺伝子・p53遺伝子・DCC遺伝子の異常が発癌に深く関与することが明かにされている。このうち、APC遺伝子は常染色体性優性遺伝性疾患である家族性大腸ポリポーシス症の原因遺伝子であることもわれわれは証明した。さらに、それぞれの遺伝子が正常粘膜→腺腫→大腸癌のどのステップに重要な役割を果たしているかも明らかになってきている。まず、APC遺伝子の異常が起きると腺腫が生ずる。これにRAS遺伝子の点変異が加わると腺腫は大きくなり、しかも異型性を増す。さらに、p53遺伝子やMCC遺伝子の異常が起きると癌へ変化し、''DCC遺伝子などの異常が加わると転移しやすくなるものと推測される。このように、遺伝子の異常が蓄積されるに従って1段階ずつ悪性度を増していくものと考えられる。大腸癌のみならず、他の癌においても複数の癌遺伝子や癌抑制遺伝子が発癌過程に関与することも明らかになってきており、その点についても紹介したい。
  • 阿部 博子
    1992 年 45 巻 5 号 p. 536a-536a,715
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/03/03
    ジャーナル フリー
    近年の西洋医学の発展は,抗生物質や化学療法剤を生み,細菌など外因による感染症を完全といって良いほど克服した.そして現在,難病として治療学上の大きな問題となっているのは,腫瘍,動脈硬化,アレルギー疾患など生体を構成する細胞それ自体の変化や個人の体質的要素が関与している疾患である.従って,治療法も西洋医学的な外因やそれによる局所の反応を抑制する画一的な方法では不充分であり,個体差を重視し,その作用が細胞の性質の変換を介して生体の反応性を変えるような治療法が求められている.最近この意味で漢方医学あるいは漢方薬への関心が高まりっつあるように思われる.
    大腸疾患の治療領域においても潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群などの治療に西洋薬と漢方薬の併用が試みられており,また外科的治療後の肝障害や全身状態の改善などにも漢方薬が広く用いられつつある,
    漢方医学の西洋医学との最も大きな相違点は,病気治療において生体の反応性を重視している点であり,また漢方薬の西洋薬との違いは,作用の多彩性,即ち臓器特異性がないという点であろう。漢方薬は一つの処方であり,数種の生薬から構成されているので,その作用が多彩であることは不思議ではないとも考えられるが,漢方薬の構成生薬として極めて使用頻度の高い柴胡,人参,甘草の薬理作用をみると,それらの生薬から単離精製された単一の有効成分であっても,その作用は極めて多彩である.またその作用は局所の病変を抑制するといった作用より,細胞の性質や機能を変化させるという特徴を持っている,このような多彩な作用はこれらの生薬成分がいずれも細胞膜に対して極めて高い親和性を示すことと密接な関連性があり,各種臓器の細胞の機能変化はこの細胞膜に対する修飾作用を介してもたらされるものと推測される.様々な臓器の細胞の活性化や機能の変換は,結果として生体の反応性を変え,いわゆるBiological response modifireのような作用を示すことになるものと考えられる.このような西洋薬とは異なる特徴をもつ漢方薬を現代の医療に取り入れることによって,より有効な治療が可能となり,治療学の発展を促進するものと思われる.
    本講演では,腸疾患治療における西洋医学的治療法と漢方療法の併用の実際を紹介すると共に,漢方薬と西洋薬の相違点や特徴についての薬理学的解明を試みたい.
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 537-541,716
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 541-543,718
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 544-546,719
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 546-548,720
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 549-551,722
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 551-553,723
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 554-556,724
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 557-558,726
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 559-563,727
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 565-654,730
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. 655-713,775
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 5 号 p. A1-A20
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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