日本大腸肛門病学会雑誌
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45 巻, 6 号
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  • 腫瘍のX線縮小率と組織学的効果との関連性について
    滝口 伸浩, 更科 広実, 斉藤 典男, 布村 正夫, 中山 肇, 三枝 奈芳紀, 大森 敏生, 幸田 圭史, 中島 伸之
    1992 年 45 巻 6 号 p. 805-811
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌術前照射療法における臨床的効果判定の一方法である注腸X線像の腫瘍縮小率が,組織学的効果となどの様関係にあるかを検討した.対象は化学療法を併用した術前照射41症例(42.6Gy)で,X線縮小率の平均値は18.7%であった.組織学的効果別にみたX線縮小率は非有効群(19例)15.6%,有効群(22例)21.4%で両群間に有意差(p<0.05)を認めた.組織中の残存癌腺管率はX線縮小率と有意な相関を認めた(p<0.01)が,線維化率とは相関を認めなかった.癌巣内粘液変性の有無による比較では,有効群の非粘液変性群が,最も大きな縮小率(21.7%)を認めた,また残存癌腺管の分布パターンの比較では腫瘍中心部や周堤部に限局化している症例でX線縮小率が有意に大きかった.以上より,注腸X線像による縮小率の測定は組織学的効果と相関が認められ,臨床的効果判定として有用な指標であることが示された.
  • 伊佐 勉, 玉城 哲, 野原 正史, 富田 秀司, 野村 謙, 照屋 剛, 出口 宝, 武藤 良弘
    1992 年 45 巻 6 号 p. 812-817
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌における腫瘍内DNAheterogeneityの臨床的意義を知る目的で,DNAheterogeneityの有無と臨床病理学的所見,予後との関連について比較検討した.大腸癌31例の特定の4部位より組織を採取し,おのおの顕微螢光測光法にて測定した.同一腫瘍内でdiploidとaneuploidが混在する場合,またはDNAindexが10%以上異なる複数のaneuploidを有する場合をheterogeneity症例とした.その結果,17例(54。8%)にheterogeneityを認めた.heterogeneity症例はhomogeneity症例と比較し,壁深達度はより深達し,肝転移陽性例が多く,進行度もより進行した症例が多4・傾向があった.またheterogeneity症例はhomogeneity症例と比較し,生存率が低い傾向を認め,とくにstageIII~V症例でその傾向が強かった.以上より,大腸癌における腫瘍内DNAheterogeneityの存在は,肝転移や予後を推定する指標となりうる可能性が示唆された.
  • 高橋 誠, 高井 満, 遠藤 文夫, 大野 一英, 増田 益功, 小幡 五郎
    1992 年 45 巻 6 号 p. 818-822
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    Dukes'C,下部(Rb)直腸癌で治癒切除施行例に対する術中骨盤腔温熱化学療法(以下,温熱法)の局所再発予防効果を検討した.対象は温熱法施行群15例,非施行群16例の計31例で,壁深達度,リンパ節転移に差はみられていない.温熱法の実際は,直腸切断(切除)術施行後,骨盤腔をMitomycin C 40μg/mlを含む加温生理食塩水で満たし,試作したヒーターを用いて45℃,90分間加温するものである.観察期間の平均は温熱群30カ月,非施行群40カ月で,温熱群がやや短いが,局所再発は温熱群が2例(2/15:13.3%),非施行群に7例(7/16:43.8%)にみられた.一方,血行性転移はともに4例ずつであった.温熱法は局所再発予防効果が期待でき,直腸癌根治手術の補助療法として有用であると思われた.
  • 山口 茂樹, 大木 繁男, 城 俊明, 今井 信介, 松尾 恵五, 浜畑 幸弘, 深野 雅彦, 時任 敏基, 舛井 秀宜, 長谷川 信吾, ...
    1992 年 45 巻 6 号 p. 823-828
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    右側結腸癌におけるリンパ節転移,切除郭清範囲と5年生存率,および再発症例について検討した.対象は盲腸から横行結腸までの右側結腸癌根治手術116例である.リンパ節転移は49例(42.2%)にみられ,n1 36例,n2 10例,n3 3例で,癌腫より5cm以上離れた結腸壁在および旁結腸リンパ節(n2,n3)への転移はなかった。累積5年生存率はDukes A 81.8%, Dukes B84.3%,Dukes C74.9%だった.絶対治癒切除症例の5年生存率は81.6%,相対治癒切除では72.8%で有意差はなかったが,絶対治癒がやや良好であった(P=0.06).しかし腸管切離不足による相対非治癒切除でも75.0%の5年生存率であり,治癒切除に劣らなかった.再発症例はリンパ節転移陽性,深達度s以上,中・低分化腺癌に多い傾向があった。右側結腸癌手術における腸管切離は癌腫から5cmで十分なものが多いと思われた.
  • stage分類との対比を中心に
    橋爪 正, 福眞 秀美, 盛岡 元一郎, 高橋 賢一, 三上 勝也, 盛田 真伸, 小館 昭示, 西沢 諒一
    1992 年 45 巻 6 号 p. 829-836
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    結腸癌のリンパ節転移個数別の遠隔成績を算出し,現行の進行度(stage)分類と比較しつつ検討した.対象は過去10年間の結腸癌初回手術例のうち癌腫が完全に切除され十分な郭清の行われた201例である.転移陽性例は81例(40.3%),転移個数は1個のみ陽性が33例(16.4%)と最多で以下,転移個数の増加に反比例し例数は漸減した.転移個数別の累積5年生存率は転移なし群94.2%,1~2個の転移陽性群89.3%,3~5個の陽性群47%,5個を越える群16%であり転移陽性3群間にかなり明瞭な予後の差を認めた.取り扱い規約による転移範囲との関係では少数個(1~2個)の転移例の予後は転移範囲によらず良好であるが,多数個(5個~)の転移例は第1群リンパ節のみの転移でも明らかに予後不良だった.以上よりリンパ節転移個数は結腸癌の予後に極めて大きな影響を与えること,転移個数による亜分類を組合せると従来区別し得なかった病期分類上の予後の差が明らかになることが示唆された.
  • 金川 泰一朗, 岡島 邦雄, 水谷 均, 豊田 昌夫, 丸川 治, 西野 弘志, 李 喬遠
    1992 年 45 巻 6 号 p. 837-842
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    教室で過去11年間に経験した大腸癌手術症例は491例で,粘液癌は27例(5.5%)であった.この粘液癌の臨床病理学的因子,核DNAプロイディパターンについて,粘液癌をのぞいた他の464例を対照とし比較検討した.粘液癌は占居部位は他に比較して右側結腸に多く(48.1%),腫瘍径は大きく(平均8.3cm),肉眼型は1型(22.1%)が多い傾向があった.リンパ節転移,壁深達度,肝転移,stage分類は対照と有意な差はなかったが,腹膜播種性転移は高率(15%)であった.粘液癌切除例の累積5年生存率は70%で対照(56%)と有意な差はなかったが,治癒切除例の5年生存率は92%,10年生存率は81%で対照の68%,62%に比べ有意に良好であった.粘液癌の核DNAプロイディパターンはdiploid型が57.1%で対照の41.2%に比較してdiploid型が多い傾向であった.以上の結果から,大腸粘液癌に対しては積極的な治癒手術を行うことにより良好な予後が期待されると考えられた.
  • 進展様式による分類とその臨床病理学的特徴
    鵜飼 克行, 太田 博俊, 上野 雅資, 関 誠, 柳澤 昭夫, 加藤 洋
    1992 年 45 巻 6 号 p. 843-850
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    びまん浸潤型(以下び浸型)大腸癌13例を対象に,臨床病理学的検討を行った.び浸型大腸癌の進展様式は,癌巣の最先進部の浸潤形態から,間質のみに癌細胞を認める型(間質型)とリンパ管内のみに癌細胞を認める型(リンパ管型)の2型に分類され,前者は間質浸潤により,後者はリンパ管侵襲により癌巣が拡大進展していくと推察された.間質型とリンパ管型を比較すると,間質型は若年(平均39歳)女性,組織型は粘液細胞型腺癌が多く,リンパ管型は中高年(平均57歳)男性,組織型は低分化腺癌,粘液結節型腺癌が多かった.肉眼所見では,間質型は強いshrinkageと著しい壁肥厚を特徴とし,リンパ管型は問質型と比較しshrinkageが弱く,癌巣の縦径が長い特徴があった.またリンパ管型はリンパ節転移が著明で,予後もより悪い傾向があった.このように,び浸型大腸癌の2亜型には臨床病理学的特徴が認められ,分類法として有用であると思われた.
  • 鈴木 宏志, 松本 好市, 山本 純二, 寺辺 政宏, 北川 達士, 杉平 宣仁, 野地 みどり, 多田 豊治, 小出 章
    1992 年 45 巻 6 号 p. 851-854
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌症例56例を対象とし,腫瘍組織の免疫組織学的染色を行って,Ki-67標識率(LI)を算出し,予後との関連を検討した.腫瘍組織のKi-67標識率は15.7~63.6%,平均38,2%であった.正常大腸粘膜のKi-67標識率のmean+2SDである42%をcut off値として,高LI群21例と低LI群35例にわけ,臨床病期,術後再発率,術後累積生存率を比較した.両群の間で,大腸癌取り扱い規約による臨床病期には有意な差を認めず,治療切除例の術後再発率にも有意な差を認めなかった.術後累積生存率は,全症例についてみても,治療切除例のみを抽出して比較しても両群間に有意な差を認めなかった.本研究の結果から,大腸癌組織のKi-67標識率は大腸癌の進行度,予後と有意な相関を認めず,予後規定因子としての意味は少ないことが示された。
  • 白水 和雄, 磯本 浩晴, 諸富 立寿, 荒木 靖三, 笹富 輝男, 赤木 由人, 掛川 暉夫, Y. Ogata
    1992 年 45 巻 6 号 p. 855-862
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌の組織学的診断はその量的優位性にもとついて,高分化腺癌と診断されることが多い.しかし,高分化腺癌像以外にも量的には劣性ではあるが,中分化腺癌や低分化腺癌,粘液癌の組織所見を混在することが少なくない.そこで高分化大腸癌640例を対象に,組織形態学的多様性の意義について病理学的,臨床的に検討し,以下の結果を得た.(1)多様性の頻度は32%(203例)で,癌の進行度(深達度,リンパ節転移,stage),脈管侵襲(リンパ管侵襲,静脈侵襲,神経周囲侵襲),局所浸潤増殖様式等に関連性が認められた.(2)多様性は予後(再発率や生存率)に影響を及ぼす因子と考えられた.(3)高分化腺癌に混在した分化度の低い癌細胞や粘液癌細胞は量的に劣性でも転移をきたすことが証明された.(4)多様性を混在した高分化腺癌は,多様性のない高分化腺癌とは区別して取り扱われるべきものと思われた.
  • 安永 昭, 唐原 和秀, 久保 宣博, 柴田 興彦, 葉玉 哲生, 内田 雄三
    1992 年 45 巻 6 号 p. 863-867
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    最近では,日本住血吸虫卵(日虫卵)が介在した大腸癌症例の報告はほとんど見られない.われわれはS状結腸癌手術後7年目に発見された上行結腸のIIa+IIc異時性多発早期大腸癌で日虫卵が介在した極めて稀な1例を経験したので報告する.症例は76歳,男性.初回S状結腸癌に対しS状結腸切除術を施行.今回,術後定期内視鏡検査で上行結腸にIIa+IIc早期癌を認め回盲部切除を行った.深達度はsmで癌巣粘膜下層に目虫卵の介在を見た.初回摘出標本の病理所見では虫卵の指摘はなく,再度標本を検討したところ漿膜層まで浸潤した癌巣には虫卵を認めず非癌部のみに虫卵を認めた.われわれが検索し得た範囲では,本症例のごとき異時性でかつ早期癌に介在せる報告は認めなかった.虫卵が癌巣内にないことで発癌を否定する意見もあるが,早期癌での虫卵介在をみると,癌の進行に伴い虫卵が壊死物とともに消失した可能性も推測された.
  • 佐藤 知行, 小西 文雄, 金澤 暁太郎, 田中 昌宏, 鴨志田 敏郎
    1992 年 45 巻 6 号 p. 868-878
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    発症より18年経過した潰瘍性大腸炎に直腸癌を合併した1例を経験した.症例は35歳男性.17歳時粘血便にて発症した,再燃緩解型全大腸炎型潰瘍性大腸炎であった.体重減少と排便回数の増加にて上部直腸に3型の癌が認められた.姑息的に結腸全摘回腸直腸吻合術を施行したが,8カ月後に全身の骨転移を伴い死亡した,組織学的には印環細胞癌ないし低分化腺癌であり,大腸粘膜の炎症はほぼ寛解の状態にあった.大腸の切除標本を全割して検索したところS状結腸に癌の部位と離れてdysplasiaを示す領域が2カ所見られた.dysplasiaのHID-AB染色ではシアロムチンを示す青色が認められ,HID-AB染色は生検標本におけるdysplasia検出において有用ではないかと考えられた.また,本邦における報告例(104例)を集計し,その結果も合わせて検討した.
  • 豊田 悟, 太田 博俊, 上野 雅資, 関 誠, 木下 雅雄, 西 満正, 柳澤 昭夫, 加藤 洋, 鎌田 信悦
    1992 年 45 巻 6 号 p. 879-883
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    他臓器浸潤大腸癌は臨床において比較的遭遇しやすく,中でも盲腸癌の腹壁浸潤は頻度が高いと報告されている.われわれが経験した53歳女性では,盲腸癌の局所の増大,浸潤傾向が著しく腫瘍が腹壁に浸潤しているのみならず,虫垂切除後瘢痕を介して腹壁外へ露出しまた腫瘍も巨大であったため,腹壁合併切除に加え遊離広背筋皮弁移植を行い再建した.術後経過は良好であり,手術後1年を経て再発なく健在である.
  • 前田 耕太郎, 橋本 光正, 村山 良彦, 佐野 真, 片井 均, 酒井 章次, 洪 淳一, 山本 修美, 細田 洋一郎, 西野 るり子, ...
    1992 年 45 巻 6 号 p. 884-889
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門,外陰におよぶ会陰部に発生したボーエン癌の1例を報告し,治療について考察した.症例は,59歳の女性で,1年前よりの会陰部腫瘤を主訴にて受診した.会陰部には,肛門,外陰に及ぶ5.3×2.6cmの湿疹様病変と,肛門後方の3.7×3.4cmの湿疹様病変が不連続に認められ,肛門管には病変はみられなかった.広範囲局所切除と両鼠径リンパ節のサンプリングを行い,組織学的には,ボーエン病に伴う,最深3.5mmまで浸潤した分化型扁平上皮癌がみられ,リンパ節転移は認めなかった.これまで肛門癌,外陰癌の治療方針は,大きさ2cmを基準に機能温存手術が適応とされていたが,ボーエン癌の治療においては,広範囲局所切除術を基本とし,ボーエン癌を伴わない肛門癌や外陰癌の治療方針とは異なり,病変の大きさより,むしろ深達度や癌の分化度を考慮して術式の選択を行って良いのではないかと考察された.
  • 堅田 昌弘, 渡辺 祥, 竹腰 知治, 金田 成宗, 荒谷 睦, 佐治 重豊, 国枝 克行, 下川 邦泰
    1992 年 45 巻 6 号 p. 890-894
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    内視鏡的ポリペクトミーにて摘出し得た横行結腸平滑筋腫の1例を経験したので報告する.症例:62歳,男性.右下腹部痛を主訴とし1991年11月20日当院を受診した.注腸造影にて,横行結腸とS状結腸に隆起性病変を指摘された,大腸内視鏡検査にて,横行結腸に表面平滑で,周囲の健常粘膜と同様の外観を呈する球状の山田皿型ポリープと,S状結腸に山田IV型ポリープを認めたため,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.横行結腸ポリープは,8×8×5mm大の,正常粘膜で覆われた充実性腫瘍であり,病理組織学的検査にて,平滑筋腫と診断された.内視鏡的ポリペクトミーが施行された大腸平滑筋腫の本邦報告例は自験例を含め29例であり,これらについて文献的考案を加えた.
  • 碓井 芳樹, 岩垂 純一, 小野 力三郎, 黄田 正徳, 山本 清人, 東 光邦, 吉永 栄一, 奥田 哲也, 尾島 博, 塩谷 猛, 隅越 ...
    1992 年 45 巻 6 号 p. 895-898
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.大腸内視鏡検査で盲腸に約0.8cm大のやや,不整な粘膜下腫瘍を認めた.8,10カ月前にも大腸内視鏡検査を施行,増大傾向と形態が,さらに不整となったため内視鏡的ポリクトミーを施行した.切除された標本は0.8×0.4cm大の境界明瞭な粘膜下腫瘍で,完全に切除されていた.組織学的にはAntoni A型の神経鞘腫を示していた.下部消化管の神経鞘腫の報告は非常に稀で,われわれが検索し得た限りでは,本邦において,自験例を含め34例の報告があるだけである.自験例のように内視鏡的ポリペクトミーで治療した報告がないので報告した.
  • 金光 泰石, 小池 明彦, 小島 卓, 三枝 純一, 宮下 章
    1992 年 45 巻 6 号 p. 899-903
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸絨毛腫瘍30症例30病変の臨床,病理学的特徴について検討した.病変はいずれも特異な絨毛状外観を有し,肉眼形態も通常の腺腫と異なり,有茎性1P型は1例のみで,他は無茎性あるいはビマン平坦型であった.発生はRが14例,Rs5例,S3例,他の結腸8例と直腸に好発傾向を認めた.病変は1.7cmから9cm,平均5.1cmと通常の腺腫に比べ大きい特徴を有していた.癌化率は高く,30例中20例66.7%が悪性病変を占め,大きさが4cm未満で33.3%,4cm以上は81%と大きさとともに高い癌化率を示した.本腫瘍はその特異な発育形態から内視鏡的ポリペクトは1例に過ぎず,直腸病変の局所釖除は難しく,直腸病変11例に対し経括約筋法5例,経仙骨法4例,経肛門的切除1例など種々の局所切除術が適応された.直腸病変2例を含むRs以上の口側直腸病変18例はリンパ節廓清を伴う腸管切除術が施行された.
  • 井上 幹夫
    1992 年 45 巻 6 号 p. 904-913
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
  • 吉田 豊
    1992 年 45 巻 6 号 p. 914-917
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 45 巻 6 号 p. 918-930
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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