日本大腸肛門病学会雑誌
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46 巻, 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 橋爪 正, 高橋 秀, 盛岡 元一郎, 高橋 賢一, 三上 勝也, 福眞 秀美, 盛田 真伸, 小館 昭示, 西沢 諒一
    1993 年 46 巻 4 号 p. 327-336
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去10年間の直腸癌手術例のうち十分な郭清の行われた149例についてリンパ節転移個数別の分析を行い現行の進行度(stage)分類等と比較検討した.転移個数は予後と密接にかかわりあっていた.われわれは転移個数を転移なし群,1~2個の転移群,3~5個の群および5個を越える群の4郡に仮に区分し遠隔成績を求めたが,4群間に全て明瞭な予後の差を認めた.規約の転移範囲と対比すると少数(1~2個)の転移例の予後は転移範囲や転移方向によらず比較的良好だが,多数(3個~)の転移例は予後不良であった.転移個数は直腸癌の大きな予後定因子で,癌の悪性度を反映する簡便な指標と見なされる.その分析から従莱区別し得なかった病期分類上の予後の差が明瞭となり術後高リスク群の予測にも有用であろう.さらに郭浩範囲を適正化し縮小手術の適応決定に貢献すると思われた.今後本因子の臨床的意義を明らかにするため多施設問の情報交換が望まれる.
  • とくに幽門下リンパ節転移について
    鵜飼 克行, 太田 博俊, 上野 雅資, 関 誠, 西 満正
    1993 年 46 巻 4 号 p. 337-341
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1946年から1988年までの間に,癌研外科にて手術を施行した単発結腸癌治癒切除症例762例のうち,第3群リンパ節転移を認めた症例17例を対象とした.これら17例を,腫瘍占拠部位別に,下腸問膜動脈支配領域の結腸(IMA領域結腸)および上腸間膜動脈支配領域の結腸(SMA領域結腸)の2群に区分して治療成績について検討した.粗累積生存率をみると,IMA領域結腸およびSMA領域結腸の10年生存率はそれぞれ67%,38%で,全体では48%であり,比較的良好であった.幽門下リンパ節に転移を認めた3症例のうち,2例は10年生存し,あとの1例も術後4年7カ月現在再発なく生存中である.治癒切除できたSMA領域結腸の癌で主リンパ節に転移を認めた9例中2例22%に幽門下リンパ節転移を認め,またその郭清効果も高いことから,主リンパ節に転移を認めるSMA領域結腸の癌で治癒切除が可能な症例の幽門下リンパ節は郭清すべきと思われた.
  • 早期癌形態分類との比較から
    日下 尚志, 工藤 進英, 木俣 博之, 中嶋 孝司, 三浦 宏二, 高野 征雄, 牛山 信
    1993 年 46 巻 4 号 p. 342-348
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    大腸pm癌68例の肉眼形態について,早期癌の形態分類との比較から検討を加えた.隆起型15例(単純隆起型11例,隆起陥凹型4例),扁平隆起型25例(IIa様10例,IIa+IIc様15例),陥凹型23例(IIc+IIa様15例,IIc様8例),分類不能5例であり,扁平隆起・平坦陥凹型早期癌よりpm癌へ発育進展したと考えられる症例が,48例(70%)と高率であった.臨床病理学的所見との比較検討では,扁平隆起型において腫瘍径が有意に大きく,逆に陥凹型において有意に小さいことから,両者の発育進展形式は明らかに異なることが推定された.脈管侵襲やリンパ節転移との比較検討では,陥凹型においてこれらの頻度が高い傾向が認められ,陥凹型は他の形態に比して組織学的悪性度が高いと考えられた.
  • 松井 敏幸, 八尾 恒良, 植木 光彦, 山田 美加, 櫻井 俊弘, 岡田 光男, 中原 束
    1993 年 46 巻 4 号 p. 349-353
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    外来にて副腎皮質ステロイド治療を行ったCrohn病患者19例の臨床経過を分析し,その有用性を検討した.ステロイドの使用理由は全例症状再燃であった.ステロイド使用開始前後の1カ月当りの入院期間の臨床経過を比較した。両期間中に行われた栄養療法や併用薬剤に差はなかった.1症例当りの平均観察期間はステロイド投与前後でそれぞれ41.4ヵ月と38.8カ月であった.それぞれの期間での平均入院総日数は174.8日と93.8日であった.それぞれの時間での1カ月当りの平均入院日数は5.1日と2.2日であり,ステロイド使用後の入院日数は有意に短縮されていた.またステロイド使用による副作用は認められず,rapidACTH試験による副腎機能評価に異常がなかった.以上より外来でのステロイド治療は入院日数を短縮し,Crohn病患者のquality of lifeを向上させると考えられた.
  • 新田 敦範, 加藤 保之, 前田 清, 金 光司, 山本 嘉治, 川口 貢, 永井 裕司, 池原 照幸, 鄭 容錫, 奥野 匡宥, 曽和 融 ...
    1993 年 46 巻 4 号 p. 354-358
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸平滑筋肉腫の1例を報告する.患者は51歳,男性,便柱細小を主訴に来院した.注腸造影,大腸内視鏡検査にて直腸膨大部右側壁にくるみ大の腫瘤を認めた.直腸粘膜下腫瘍の診断で,経仙骨的腫瘤摘出術を施行した.摘出標本の大きさは36×30×26mm,弾性硬で,被膜を有した.割面は灰白色充実性,一部壊死巣を認めた.組織学的には腫瘍細胞は紡錘形で束状に交錯し,核の形態は類円形,棍棒状など種々であった.核分裂像は強拡大10視野平均5個認められた.組織診断はlow grade malignancyを有する平滑筋肉腫であった,直腸平滑筋肉腫は比較的発生頻度が低いとされていたが,近年報告例も増加している.今回自験例を含め168例を集計しえたので文献的考察を加えた.
  • 金丸 洋, 堀江 良彰
    1993 年 46 巻 4 号 p. 359-361
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.1992年7月会社で作業中,突然無痛性の新鮮下血が出現したが自然止血した.大腸内視鏡検査では,歯状線近傍直腸後壁を中心として帯状に多発する浅い地図状不整形潰瘍を認めた.生検組織検査では,粘膜に軽度の繊維化を認めたが,炎症細胞浸潤はほとんどなく,特異的炎症所見は認めなかった.出血以外に自覚症状はなく,重症基礎疾患や発症誘因は認めなかった.23,38,43,46歳時に今回と同様の下血があったが,いずれも自然止血し,今回同様の病変によると思われる.本症例のように,再発を繰り返した,いわゆる"急性出血性直腸潰瘍"は本邦に報告例がなく,稀な1例と思われるので報告する.
  • 立石 訓己, 有馬 純孝, 二見 喜太郎, 重田 正義
    1993 年 46 巻 4 号 p. 362-367
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    高齢で発生した重症型全大腸炎型潰瘍性大腸炎の1治験例を報告するとともに,本症例の如く重症型の高齢者症例に対する診断,治療上の問題点について若干の文献的考察を加え検討した.症例は75歳女性.頻回の粘血性下痢便,発熱を主訴として来院.全結腸型潰瘍性大腸炎の疑いにて中心静脈栄養管理下にsteroidenema, salazopirinの経口投与にて一時症状は軽快したが,その後症状の増悪をみたため再度検査を施行し,重症型全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断した.保存的療法の限界と考え,大腸亜全摘術,回腸を15cmのループとし回腸直腸吻合術を側端にて施行し,現在経過良好である.本邦における潰瘍性大腸炎の高齢者発症例は,病変範囲が狭く軽症,中等症型が多く予後良好であるといわれているが,本症例のような重症型においては予後不良のことが多い.このような症例においては,迅速かつ正確な診断を下すとともに,内科的治療の限界を早期に見極め,速やかに外科的治療を行うことが重要である.
  • 落合 匠, 森脇 稔, 重松 恭祐, 鈴木 隆文, 野口 肇, 岩渕 正之, 清水 敏弘, 寺田 正, 結束 敬基, 岡野 匡雄
    1993 年 46 巻 4 号 p. 368-373
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    最近,われわれは保存的治療にて治癒せしめたdouble stapling techniqueを用いた低位前方切除術後直腸腟瘻の1例を経験したので告する.症例は50歳女性,直腸癌にてdouble stapling techniqueを用いた低位前方切除術施行.術後第46病日に腟より腸内容物の流出が認められ瘻孔造影検査にて直腸腟瘻と診断される。癌の局所再発を否定後,瘻孔閉鎖目的にて血液凝固第XIII因子製剤の投与を行った.2 courses施行後,自覚症状消失し瘻孔造影検査にて瘻孔の閉鎖が確認された.現在,外来にて経過観察中であるが癌および直腸腟瘻の再発は認められていない.直腸腟瘻に対する治療は,一時的に人工肛門造設などを行い炎症所見の消腿を待って修復,再建手術を行うのが原則とされている.しかし,血液凝固第XIII因子製剤投与で瘻孔閉鎖が認められたことより非侵襲的な本治療法はまず試みられる方法の一つと考えられる.
  • 佐藤 啓宏, 関根 毅, 内田 健二, 須田 雍夫, 岸 紀代三
    1993 年 46 巻 4 号 p. 374-378
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    患者は60歳の男性で,主訴は排便困難.直腸指診では直腸粘膜を介して弾性軟の腫瘤を触知した.注腸所見で直腸は右前方に圧排されていたが,粘膜面には異常を認めなかった,computed tomography(CT)では,骨盤腔を占居する手拳大で,境界鮮明な腫瘤であり,内部は不均一な低吸収域を呈していた.magnetic resanance imaging(MRI)では,腫瘤の輪郭は平坦で,T1強調画像でさまざまな異なる信号強度を呈しており,皮下脂肪と同じ高信号を呈する部分も認められた.血管造影所見では,上直腸動脈は圧排されていたが,腫瘍血管や腫瘍濃染像はみられなかった・手術は腹会陰式に仙骨前部の腫瘤を摘出した.摘出標本では,腫瘤は11×9×9cm大で被膜を有し,内容は皮膚,毛髪を混在した汚穢脂肪性組織であった.病理組織学的に過角化性重層扁平上皮を有する嚢胞で,少数の毛嚢,汗腺や皮脂腺が混在する類皮嚢胞(dermoid cyst)であった.
  • 下膵頭後部リンパ節転移陽性例
    上野 雅資, 太田 博俊, 堀 雅晴, 関 誠, 木下 雅雄, 岡田 祐二, 佐藤 幹則, 鵜飼 克之, 柳澤 昭夫
    1993 年 46 巻 4 号 p. 379-383
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    上行結腸癌の十二指腸浸潤による結腸十二指腸瘻に対し,右半結腸切除+膵頭十二指腸切除術を行い,下膵頭後部リンパ節転移を認めた1例を経験した.症例は61歳,男性.全身倦怠感,下痢を主訴に来院.諸検査にて十二指腸に浸潤した結腸癌の診断で上記手術を行った.手術所見では,10cm大の上行結腸癌で,十二指腸下行脚に浸潤し,瘻孔を形成していたが,肝転移,腹膜転移は認めず治癒切除であった.組織所見では,十二指腸に浸潤する粘液癌であり,リンパ節転移は,腫瘍近傍の1個と下膵頭後部リンパ節の1個のみに認められた.術後経過は良好で,術後1年5月現在再発なく健存中である.以上,本症例のごとく,結腸癌の十二指腸浸潤例では,十二指腸の所属リンパ節へも転移をきたすことがあるので,治癒切除が可能な場合は,膵頭十二指腸切除術により十二指腸周辺の十分な郭清を行うべきであると思われた.
  • 藤本 直幸, 高野 正博, 藤好 建史, 高木 幸一, 江藤 公則, 菊池 隆一, 中山 慶明, 紀伊 文隆, 田中 聡也, 我喜屋 出, ...
    1993 年 46 巻 4 号 p. 384-389
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    患者は76歳,男性.高齢にて発症した潰瘍性大腸炎で,直腸炎から左側型,全結腸型へと急激に進展悪化し,中毒性巨大結腸症を合併した.臨床的に中毒症状は軽かったが,連目下血が見られ,横行結腸の最大径は15cmまで拡張したので,穿孔の危険性が考えられ,手術に備えた.ところが,諸事情により患者が手術を拒否したため,内科的治療を続け,全身状態の改善に努めた.大量のステロイド剤の静注と注腸投与を併用することによって,臨床症状および結腸の拡張状態が改善された.高齢者の場合一旦発症すると,急激に悪化する場合が多い.殊に中毒性巨大結腸を合併した場合,絶対的手術適応と考えられるが,本症例は集中的なステロイド療法によって軽快した.
  • 安田 正俊, 井上 博和, 小林 博之, 掛村 忠義, 安斎 保, 小川 聡, 佐藤 正弘, 星 一, 渡辺 七六, 発地 美介, 剛崎 寛 ...
    1993 年 46 巻 4 号 p. 390-393
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    注腸X線検査によって大腸憩室と大腸癌の合併を確認した35例を対象として,加齢による影響を検討するため,65歳以上の高老年群21例と,65歳未満の若中年群14例に分け,癌を合併しない憩室のみが存在した憩室単独群394例(高老年群170例,若中年群224例)との間で,憩室の局在,憩室の数などを比較した.また憩室・癌合併例での両疾患の位置関係についても検討した.憩室に癌が合併しやすい傾向は認められず,また癌に憩室が合併しやすい傾向も認められなかった.癌が憩室の肛側に位置することが多かったが,大腸の隣.接した分節での両者の併存は少なかった.憩室と癌の同分節合併例では群発例が有意に多かった.今後,高老年者では左側あるいは両側大腸の憩室が増加することが予想され,これに併存する癌を見落さないためにも,ことに左側大腸憩室では注腸と内視鏡検査の併用が必要と考えられた.
  • 増田 英樹, 中村 陽一, 田中 隆
    1993 年 46 巻 4 号 p. 394-399
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    柴苓湯の潰瘍性大腸炎な対する治療効果とHLA-DR抗原のタイピングとの関連性について検討した.20例の潰瘍性大腸炎患者に対し,Terasaki-NIH-Standard法によりDRのタイピングを行った.臨床症状の改善の有無緩解期の維持効果,SASPの減量(離脱)効果の3つの方向から柴苓湯の治療効果を解析すると,いずれの効果判定方法においても,治療効果ありの群ではDR2の占める割合が効果なしの群に比べて有意に多く,DRw8の陽性率は効果なしの群で有意に高率であった.なお性,重症度,臨床経過,病変範囲などの背景因子に関しては,効果ありと効果なしとの間で統計学的有意差は認められなかった.以上よりDR2を有する潰瘍性大腸炎患者に柴苓湯を投与することにより,本薬剤に対する有効率がさらに上昇することが予測され,逆にDRw8を有する症例には柴苓湯の投与は慎重に行うべきと考えられる.
  • 今村 幹雄, 山内 英生, 國井 康男
    1993 年 46 巻 4 号 p. 400-405
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    成人において限局性の結腸拡張をきたした3手術例を報告した.2例は19歳27歳と若年で,1例は67歳であった.全例で主訴は腹部膨満と腹痛で,慢性的な便秘歴を有し,若年の2例では出生時または小児期に発生した.1例では術前に閉塞性大腸炎を併発したが,腹部単純X線写真で著明に拡張し,ガスで充満した大腸が示された.開腹時,2例では盲腸から下行(またはS状)結腸,1例ではS状結腸の拡張を呈した.手術は2例で結腸亜全摘兼回腸S状結腸吻合,1例でS状結腸切除兼端端吻合をそれぞれ一期的に施行した.綿織学的所見では全例で切除標本の肛門側断端の非拡張部での壁在神経叢の神経節細胞の分布は正常で,また拡張部においては1例では. hypoganglionosis,2例では正常な壁在神経叢が観察され,後の2例はsegmental dilatation of the colon (Swenson)と考えられた.術後,排便機能は改善し,全例とも完全社会復帰を果した.
  • 中川 国利, 桃野 哲
    1993 年 46 巻 4 号 p. 406-409
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去11年間に当科で経験した最大腫瘍径2cm未満の直腸カルチノイド12例の臨床病理学的検討を行った.男女比は10:2と男性に多く,平均年齢は54.8歳で,カルチノイド症候群をきたした例はなかった.占居部位は直腸上部3例,直腸下部9例で,全例が単発で,1型の粘膜下腫瘍であった.術前に内視鏡的ポリープ摘除5例および経肛門的ポリープ摘除1例を行い,組織学的に断端陰性であったが脈管侵襲を認めた2例を含鞭全例で,追加切除を行った,肛門縁より10cm以上口側に存在、した3例では,低位前方切除2例,経仙骨的腫瘍摘除1例を行った.10cm未満の9例では,経肛門的腫瘍摘除8例,経仙骨的腫瘍摘除1例を行った.組織学的にはsm11例,pm1例で,脈管侵襲が著明な1例ではリンパ節転移を認めた.予後は他病死した1例を除き良好で,再発は認めていない.
  • 吉田 隆亮, 岡 紳爾, 木下 善二, 川嶋 正男, 小田原 満, 小緑 英行, 坂本 英典, 堺 雅彦, 田中 哲夫, 大橋 剛, 原口 ...
    1993 年 46 巻 4 号 p. 410-415
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸精密検査のためメチレンブルー・カプセル(MB-cap: MB 100mg含有)経口投与による大腸色素内視鏡検査を施行し,粘膜染色性,微小病変診断能,およびMB-cap投与による副作用について検討した,MB-cap投与群における色素診断可能率は73.6%であった.MB-cap投与群と非投与群の間に,6mm以上の隆起性病変の発見頻度に有意差はなかったが,5mm以下の病変では発見頻度は有意に上昇した.また,5mm以下の病変は全大腸にほぼ均等に分布し,病理組織学的には60%が腺管腺腫であった,MB-cap投与前,後の血液生化学検査上GOT, GPT,およびBUN値の変動が認められたがこれらの値は推計学的には'正常域値内に止まった,MB-cap投与による大腸色素内視鏡検査は,微細病変診断の向上に与し,施行が容易かつ副作用が少ないことから大腸内視鏡精密検査における微小病変のスクリーニングに有用である考えられる.
  • 1993 年 46 巻 4 号 p. 416-425
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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