日本大腸肛門病学会雑誌
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46 巻 , 6 号
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  • 大野 直人, 下田 忠和
    1993 年 46 巻 6 号 p. 733-739
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸進行癌の成り立ちを考えるうえで固有筋層に浸潤した癌(pm癌)は粘膜下層から漿膜下層浸潤癌への中途段階として重要な意味を持つと考えられる.そこで大腸pm癌を割面形態より粘膜内隆起性発育を示すpolypoid growth (PG) typeと隆起性発育を示さないnon-polypoid growth (NPG) typeに分類し,pm癌を含めた進行癌の成立ちを検討した.pm癌は全大腸癌の6.1%であった,またpm癌の56.0%がNPG typeで,脈管侵襲,リンパ節転移をPG typeに比べ高率に認めた.PG typeの表面露出部最大腫瘍径の平均が34.2mmであるのに対しNPG typeでは30.3mmと有意差はないが小さい傾向がみられた.大腸pm癌は漿膜下層浸潤癌の分布とは異なり直腸に多く,これは直腸筋層,とくに下部直腸の外縦走筋の厚さが結腸の約3倍と特異な解剖学的特徴を有すること,癌浸潤部の線維増生が直腸に多く認められることが関与していると考えられた.
  • 前田 耕太郎, 橋本 光正, 片井 均, 洪 淳一, 山本 修美, 細田 洋一郎, 堀部 良宗
    1993 年 46 巻 6 号 p. 740-745
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    S状結腸癌,直腸癌に対する骨盤自律神経温存術式の適応を明らかにするために,自律神経およびその周囲組織への転移について検討した.対象はこれらの自律神経の切除を伴うS状結腸癌6例,直腸癌2I例の合計27例で,方法は,切除標本より,これらの神経を周囲組織を含めて標本(神経標本と略)を採取し,神経の長さを測定後,切除標本の所見とともに病理組織学的に検討した.神経標本内には,23/27例に合計119個(平均5.2個)リンパ節が認められたが,神経にもリンパ節にも癌の転移はなかった.しかしながら,Rabの1例(a2,n1)とRbの1例(pm,n0)で,骨盤神経叢周囲の脈管内に転移が認められた.これまで自律神経温存手術は,PM(pm)もしくはAt(ai),N0(n0)症例に適応とされることが多かったが,このような症例もあることを認識して慎重に適応を決定し,手術を行うべきであると考えられた.
  • 河原 秀次郎, 平井 勝也, 足利 建, 山田 康裕, 木村 知行, 黒田 陽久, 佐藤 慶一, 青木 照明
    1993 年 46 巻 6 号 p. 746-750
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移症例において肝転移巣に対し種々の治療を試み,その効果について検討した.1980年~1991年の12年間に当教室で経験した大腸癌肝転移症例は91例(同時性78例,異時性13例)で,これらに対する治療のうちわけは,リザーバーの留置による動注化学療法17例,動脈塞栓術(TAE)3例,肝切除術14例,大腸原発巣のみ切除し全身化学療法を併用したもの52例,試験開腹術5例であった.H1症例に対しては肝切除術はきわめて有効な手段であると考えられた.また肝切除術の対象とならないH3症例に対しては,リザーバーを設置しての間歇的反復動注化学療法(Epi-ADR 30mg,MMC 4mgを交互に1回/週)は全身化学療法より肝転移巣に対しての直接効果が高く有効な治療法と考えられ,また術後のlife activityを向上させ,quality of lifeの面からも有効な治療法であると考えられた.しかし有意な延命効果は得られず,regimenの検討がさらに必要であると思われた.
  • 壬生 隆一, 中原 昌作
    1993 年 46 巻 6 号 p. 751-755
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    狭窄を伴わない大腸癌患者に対して通常の抗菌剤投与を伴う術前腸管処置に加えて普通食,経中心静脈栄養,経腸栄養剤(ベスビオン(R))による術前栄養法を7日間施行して直腸内の細菌叢の変化を検討した.経中心静脈栄養群においては抗菌剤投与前では StreptococciとLactobacillus sp.において有意に菌数が減少した(P<0.05, P<0.01)が,経腸栄養剤投与群では抗菌剤投与前に菌数の減少は認められなかった.各群の試験栄養法開始前と術当日との比較では,普通食群においては嫌気性菌総菌数のみが有意に減少した(P<0.01)が,他の2群では嫌気性菌総菌数, Lactobacillus sp., Bifidobacterium sp.とも有意に減少した(P<0.01).術当日の3群間では有意差はなかったが直腸内細菌数は経中心静脈栄養群で最も低値であり,ついで,経腸栄養群,普通食群の順であった.したがって,大腸手術において経中心静脈栄養や経腸栄養剤を用いた腸管術前処置は機械的腸管処置として有用であることが示唆された.
  • 粟野 友太, 奥山 知明, 小出 義雄, 木下 弘寿, 舟波 裕, 松下 一之, 磯野 可一
    1993 年 46 巻 6 号 p. 756-760
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    腹膜播種陽性大腸癌について臨床病理学的な検討を行い,積極的切除の適応と限界を探った.対象は教室において切除した大腸癌605例中30例(5.0%)である.播種陽性例は年齢がやや若く,右側大腸癌,浸潤癌,低分化型が多いという特徴を持っていた.予後は播種の程度が強まるにつれ不良となる傾向を認めた.さらにH―かつN3以下の症例とH+またはN4の症例に分けて比較すると前者で予後良好だった.5年以上生存例は2例認めたが播種の程度はP1とP2,ともにH-,R>nであり播種の部分も切除できた症例だった.以上のことよりH―,P2以下,R>nで播種の部分も切除可能なら積極的切除の対象になり得ると考えられた.
  • 島田 悦司, 裏川 公章, 植松 清
    1993 年 46 巻 6 号 p. 761-767
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸粘液癌29例を高分化型,中分化型,低分化型に分類し,臨床病理学的諸因子および予後について分化型大腸癌314例を対照とし比較した.粘液癌は分化型大腸癌と比較して右側結腸に多く(P<0.002),腫瘤型,特殊型が多く(P<0.002),腫瘍径が大きく(P<0.01),深達度si(ai)が多く(P<0.Ol),リンパ節転移はn3症例が多く(P<0.01),腹膜転移が高率であった(P<0.001).術後5年生存率は分化型大腸癌61.6%に対し,粘液癌は34.4%と不良であった(P<0.05).粘液癌亜分類では低分化型に肉眼型で浸潤型が多く(P<0.01),腹膜転移が多くみられた(P<0.05).術後5年生存率は高分化型粘液癌48.2%に対し,低分化型,中分化型は15,0%と不良であった(P<0.05).HID-AB染色では高分化型粘液癌にsulfomucin優位型が36.4%と低分化型の12.5%より多かった.以上より粘液癌亜分類は大腸粘液癌の予後を予測するうえで有用と考えられた.
  • 清水 忠夫, 吉松 和彦, 森 正樹, 加藤 博之, 高橋 直樹, 遠藤 俊吾, 芳賀 駿介, 梶原 哲郎, 湖山 信篤
    1993 年 46 巻 6 号 p. 768-771
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    透析アミロイドーシスは通常の透析膜では除去されないβ2-ミクログロブリン由来のアミロイドが骨や関節,内部臓器に沈着し,多様な障害を引き起こす疾患で,長期透析患者の手根管症候群や骨病変が大きな問題となっている.しかし透析アミロイドーシスの消化器病変に関する報告は少ない.われわれは慢性糸球体腎炎による腎不全で,14年間透析療法を受けている62歳の男性に発症した直腸穿孔を救命し,切除標本の酵素抗体法による検索で,β2-ミクログロブリン由来のアミロイドを証明しえたので文献的考察を加えて報告する.
  • 大久保 賢治, 国崎 主税, 田村 寿康, 高橋 利通, 小林 俊介, 笠岡 千孝
    1993 年 46 巻 6 号 p. 772-777
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    比較的稀な,直腸の衝突癌を報告する.症例は76歳,女性で,肛門出血,肛門痛のため来院.注腸検査で直腸Rbに形態の異なる重複癌,また腹部超音波断層検査で肝左葉への転移を認めた.直腸の重複癌,肝転移の診断のもとに平成3年11月,腹会陰式直腸切断術,肝外側区域切除術を施行した.直腸切除標本ではBo-rrmann1型とBorrmann2型の形態の異なる腫瘍を認め,1型の腫瘍が2型の腫瘍へ食い込む形で衝突していた.病理組織学的に1型腫瘍は深達度粘膜下層の高分化型腺癌,2型腫瘍は未分化癌で漿膜層まで浸潤していた.両組織の間に移行像,混入像は認められなかった.また肝左葉の転移性腫瘍,郭清した251番,241番,8番,16番のリンパ節には,未分化癌の転移を認めた.今回,術前には衝突癌の診断は成し得なかったが,肉眼的,組織学的にも衝突癌と思われる症例を経験した.
  • 山本 雅由, 杉田 昭, 石原 伸一, 舛井 秀宣, 山腰 英紀, 大木 繁男, 福島 恒男, 嶋田 紘, 原 正道
    1993 年 46 巻 6 号 p. 778-782
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    炎症性線維性ポリープ(inflammaorty fibroid polyp)は消化管に発生し,胃と小腸にみられるが,大腸の報告は稀であり,直腸の発生例は本邦に報告はない.今回われわれは,直腸に発生した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は28歳の男性で,排便回数の増加や,残便感,便柱の狭小化を主訴に当院受診し,注腸造影検査で直腸後壁に隆起性病変を認め,精査のため入院した.入院時直腸指診で肛門縁より口側6cmの直腸後壁に境界明瞭,表面平滑で,可動性良好な弾性硬の腫瘤を認めた,経肛門的超音波検査では,腫瘤は粘膜下層に存在し,一部固有筋層にまで及んでいたが,良,悪性および組織学的診断を得るため,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.組織像より,炎症性線維性ポリープと診断した.炎症性線維性ポ一リプは本邦では現在までに胃が174例,小腸60例と報告されているが,大腸は自験例を含めて12例と少なく,直腸の報告は自験例のみである.
  • 冨木 裕一, 長濱 徴, 前川 武男, 東山 明憲, 榊原 宣, 山村 彰彦
    1993 年 46 巻 6 号 p. 783-786
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸原発の悪性リンパ腫は大腸悪性腫瘍の約0.2%と稀な疾患である,今回,盲腸悪性リンパ腫術後3年を経過して直腸に発症した悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する。症例は78歳,女性.1988年7月当科で盲腸悪性リンパ腫の診断で右結腸切除術を施行,術後化学療法としてCHOP療法を2クール追加した.退院後外来で経過観察をしていたが,1991年12月から粘液便を認め,直腸診で腫瘤を触知した.大腸内視鏡検査では,肛門縁から口側17cmにわたり,軽度の凸凹不整を伴う隆起性病変を認めた.生検で悪性リンパ腫と診断し,直腸切断術を施行した,自験例は盲腸原発から3年を経過して直腸に発症した稀な1例と思われた.
  • 赤木 盛久, 田中 信治, 吉原 正治, 山中 秀彦, 田利 晶, 春間 賢, 隅井 浩治, 岸本 眞也, 梶山 梧朗, 竹末 芳生, 横山 ...
    1993 年 46 巻 6 号 p. 787-792
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    比較的高齢で発症した親子の潰瘍性大腸炎を経験したので文献的考察を加え報告する.息子は39歳で発症,全大腸炎型の重症で薬物療法が無効のため全結腸切除を施行した.父は69歳で発症,左側結腸炎型の中等症で薬物療法により軽快した.HLA抗原の検索では本邦の潰瘍性大腸炎患者と相関の認められるhaplotype A24,B52,DR2,DQ6(1)をともに有しており,本症の発症に免疫遺伝的因子が関与していることが示唆された.またこれまでの家族内発症の平均年齢は30歳前後とされていることより,本例は稀な症例と考えられた.
  • 王 奇明, 福島 恒男, 原田 博文, 杉田 昭, 石黒 直樹, 小金井 一隆, 嶋田 紘
    1993 年 46 巻 6 号 p. 793-796
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎に対し大腸全摘,回腸肛門吻合術を施行し,術後2年3カ月目に分娩した1例を経験した.症例は35歳の女性で,1984年粘血便,腹痛,発熱を主訴に発症し,全大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された.サラゾピリンの治療が行われたが,再燃と寛解を繰り返し,体重は46kgから36kgに減少した.1990年7月当科に入院し,一期的大腸全摘,J型回腸嚢肛門吻合術を受けた.術後1カ月で退院し復職した.1992年に妊娠し,1992年10月5日帝王切開術で女児を分娩した.母子共に異常なく,健康な生活を送っている,本症例は潰瘍性大腸炎で大腸全摘,回腸肛門吻合術を受け分娩が可能であった本邦第1例で,若干の文献的考察を加え報告した.
  • 上野 雅資, 太田 博俊, 関 誠, 堀 雅晴, 岡田 祐二, 佐藤 幹則, 木下 雅雄, 飴山 晶, 柳澤 昭夫
    1993 年 46 巻 6 号 p. 797-801
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    転移性肝腫瘍では肉眼上明らかな門脈内腫瘍塞栓を伴うことはきわめて稀である.今回,門脈左枝に腫瘍塞栓を有する大腸癌肝転移例に対し肝左葉切除を行い,肝切除後2年5か月再発なく生存中の1例を経験したので報告する.症例は,54歳,男性.1989年10月4日直腸癌のため直腸切断術を行った.組織所見は中分化腺癌,深達度s,1y1,v3,n2で絶対的治癒切除であった.1990年8月CEAの上昇を契機にUS,CTにて肝左葉外側区域に単発性の肝転移を発見し,転移巣から連続して門脈左枝内に腫瘍塞栓を認めた,同年10月31日に肝左葉切除術を行い,最大径7cmの転移巣に連続して3cmの腫瘍塞栓を門脈左枝内に認め,組織学的に直腸癌の肝転移であることを確認した.門脈内腫瘍塞栓を伴う転移性肝腫瘍の過去の報告では,進行した症例が多いためきわめて予後不良とされているが,本症例のごとく,腫瘍塞栓を含む根治的な肝切除が可能な場合は治癒が期待できるものと思われた.
  • 桐山 正人, 松下 昌弘, 北林 一男, 秋山 高儀, 冨田 冨士夫, 斎藤 人志, 高島 茂樹, 小西 二三男
    1993 年 46 巻 6 号 p. 802-807
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸肛門部の無色素性悪性黒色腫は非常に稀な疾患で,本邦ではこれまでに16例の報告を認めるだけである.今回,術前に無色素性悪性黒色腫と診断し,直腸切断術を施行した1例を経験したので報告する.症例は64歳,男性で,肛門出血肛門部痛を主訴に来院した.肛門管の2~6時方向に灰白色のBorrmann 1型様の腫瘍を認め,生検標本の組織所見ではHE染色とメラニン染色から無色素性悪性黒色腫の診断が得られた.またCT検査では肺・肝に転移を認めた.切除標本では腫瘍は歯状線やや口側に位置する,径6.2×5.2×2.8cmのBorrmann 1型様の腫瘍で,組織学的所見ではS-100蛋白,HMB-45陽性の無色素性悪性黒色腫と診断された.組織学的進行度はP0H3a2n0ly0v3M(+)で,stageVであった.術後Pirarubicin,Bleomycin,Cisplatinによる多剤併用化学療法の他に,OK-432,Interleukin-2の併用療法も試みたが,術後3カ月目に死亡した.
  • 澁澤 三喜, 角田 明良, 高田 学, 長山 裕之, 中尾 健太郎, 吉沢 太人, 田村 清明, 村上 雅彦, 松井 渉
    1993 年 46 巻 6 号 p. 808-812
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    腹痛および粘血便を主訴とした84歳の男性.肛門診にて直腸の狭窄を認め,注腸X線造影・大腸内視鏡検査にて直腸の全周性狭窄と敷石状粘膜隆起および縦走潰瘍を認めた.数回にわたる生検によっても非乾酪性肉芽腫を検出することはできなかったが,直腸に限局したCrohn病と診断した.predonisoloneの注腸が奏効し,非手術的に改善することができた.注腸造影により経過を観察したが,2年経った現在,一部狭窄は残してはいるものの,再発はみられず経過良好である.直腸に限局したCrohn病は本邦では稀であり,しかも84歳という高齢で発症した例も稀である.自験例と集計しえた本邦報告例の26例について検討を加えた。
  • 小川 健治, 成高 義彦, 島川 武, 勝部 隆男, 三浦 一浩, 若杉 慎司, 平井 雅倫, 渡辺 俊明, 細川 俊彦, 加藤 博之, 矢 ...
    1993 年 46 巻 6 号 p. 813-817
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の女性.脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血と診断され,動脈瘤クリッピング術後第5病日に突然に下血が出現し,さらに4日後に大量下血がみられた.内視鏡にて下部直腸の後壁側,歯状線より3cm口側に,湧出性の出血を伴う血管の露出を認め,地図状の浅い潰瘍性病変を認めた.エタノールの局注にて止血しえたが,再出血をきたした.ショック状態となったため,緊急直腸切断術を行い救命しえた.病理組織学的には急性潰瘍の像を呈し,上皮細胞が完全に脱落し,筋層を越える組織欠損を伴い,リンパ球,好中球,形質細胞などの炎症性細胞の浸潤を認めた.また潰瘍近傍の小動脈には血栓形成や血管壊死性の変化を認めた.本症例は脳障害による中枢性のストレスが主な発生原因と考えられた.
  • 内藤 春彦, 佐々木 廸郎
    1993 年 46 巻 6 号 p. 818-822
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌の傍直腸リンパ節転移につき上部直腸と下部直腸にわけ壁在リンパ節を腫瘍よりの距離を実測し,その転移率,転移度を検討した.上部,下部ともに腫瘍より肛門側には傍直腸リンパ節転移はなかった.口側傍リンパ節転移は上部直腸で腫瘍直下,2cm以内,2~5cm,5~10cmの転移率が44.4%,22.2%,16.7%,5.1%となったが,下部直腸では26,3%,15.8%,10.5%,21.0%となった.また252番,253番の転移率は上部直腸で11.1%,0%,下部直腸で21.0%,10.5%となった.この結果は下部直腸癌の場合,腫瘍直下から253番まで比較的満偏なく転移すること,5~10cmの転移が腫瘍直下に近く多いことを示していた.現行の大腸癌取り扱い規約は下部直腸癌でも上部と同じようにこの部を1群,2群と細分化しているが,これは病期を混乱しかねないことより,下部直腸癌では傍直腸リンパ節はSudeck分岐までを一括して1群とすることが望ましい.
  • 奥山 和明, 粟野 友太, 松原 宏昌, 小出 義雄, 木下 弘寿, 舟波 裕, 松下 一之, 長島 通, 遠藤 正人, 坂本 昭雄, 浦島 ...
    1993 年 46 巻 6 号 p. 823-828
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    教室で1975~1992年まで進行,または再発大腸癌に対する骨盤内臓器合併切除51例(原発癌31例再発癌20例)を対象に,I群:骨盤内臓器一部切除28例,II:骨盤内臓全摘(TPE)14例,III群:仙骨合併切除を伴うTPE9例の3群に分け検討した.術後合併症発生率は1群32.1%,II群42.9%,III群88.9%と,手術の拡大化とともに有意に高率であった(x2検定:p<0.01).合併症の内訳では,I群はイレウスなどのその他が25%と多いが一時的なものである.III群で77.8%と高率にみられた骨盤死腔炎は術後早期からの骨盤腔洗浄と筋皮弁移植充填を行った2例には見られず,有効な対処手段と考えられた.尿路系合併症はII,III群で約20%と差がないが,尿管皮膚瘻作成例では尿路感染症や尿管結石が主であり頻回のカテーテル交換と抗生剤投与,または結石除去で,回腸導管作成例の尿瘻には腎瘻造設術で管理可能である.その他の合併症である腸瘻や回腸・回腸縫合不全等の重症な合併症には手術手技と術後管理の工夫で合併症の予防とその治療にあたることが大切である.
  • 三枝 奈芳紀, 更科 広実, 斉藤 典男, 布村 正夫, 中島 伸之
    1993 年 46 巻 6 号 p. 829-833
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸ポリープの多発性の意味を検討するために,大腸ポリペクトミー症例335例を臨床病理学的に検討した.単発群は217例,多発群は118例で,後者中同時性群は94例,異時性群は24例であった.多発群は単発群に比べて男性に多く(p<0.05),平均年齢も高齢であった(p<0.05),また多発群のポリープは右側結腸に多く認められ(p<0.01),最大径10mm以下のポリープが多かった(p<0.05).多発群ではポリープの癌化の頻度は低い傾向にあったが,進行癌の合併は多い傾向にあった(NS).異時性群は多発群の特徴をより強く示していた,多発性ポリープの分布は,同一および隣接区域に多発する傾向が認められた.ポリペクトミーの間隔は全体で平均17.7カ月,癌化症例で平均35カ月であった.大腸ポリペクトミー後のfollow upは上記の性質に留意し,半年から1年以内の再検後は2ないし3年に1回の割合で長期にわたり施行していく必要があると考えられた.
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