日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
47 巻 , 10 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 辻 順行, 高野 正博, 久保田 至, 河野 洋一, 徳嶺 章夫, 嘉村 好峰
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1055-1060
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当院を受診し肛門疾患が否定された正常例(109例)と,便失禁,ガス漏れなどを主訴とした括約筋不全症例(15例)を対象として,それぞれ経肛門的超音波検査を施行し,以下の結果を得た.(1)内括約筋は経肛門的超音波検査によりhypo-echoicに明瞭に描出された.(2)正常例における内括約筋の厚さは,男性では3.6±1.4mm,女性では3,1±1.0mmであり,3~4mmの症例が109例中48症例(44.0%)を占めた.(3)正常例を年齢別に分けると,年齢は内括約筋の厚さの間に何らの相関関係も認めなかった.(4)内括約筋の厚さと肛門静止圧との間に,正の相関関係は認めなかった.(5)括約不全15症例は原因別に痔瘻手術7例(46.6%),特発生5例(33.3%),出産時の裂傷1例(6.7%),外傷1例(6.7%),肛門拡張1例(6,7%)に分けられた。(6)括約筋の断裂部は,経肛門的超音波検査により括約筋の欠損として明瞭に描出された.
  • 田中 良明, 松島 誠, 長谷川 信吾, 鈴木 和徳, 鈴木 裕, 衣笠 昭, 鈴木 信夫, 松島 善視
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1061-1070
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    目的:直腸肛門指診などの理学的所見が診断の中心となっている直腸肛門領域に超音波検査を施行し,その客観的評価を疾患の存在および質的診断に利用する.対象・方法:1992年4月より1994年8月に当院受診し,指診では正確に診断し得なかった569例を対象にリニア式プローブを用いた経肛門的超音波検査を施行した.さらに超音波ガイド下穿刺生検をも試みた.成績:本法にて直腸肛門周囲膿瘍は,cystic patternを呈し明確に診断できた.また膿瘍・痔瘻の病期を超音波画像によって急性期・中間期・慢性期の3つに分類し治療方針を決定した.本法ガイド下穿刺生検は,正確に施行できた.結論:(1)本法の最も良い適応は,直腸肛門周囲膿瘍であった.(2)本法による客観的評価が膿瘍・痔瘻の治療方針を決定する根拠となり得た.(3)本法ガイド下穿刺生検は,肛門部腫瘤の質的診断に有効であった.
  • 黒木 政純, 高野 正博, 高木 幸一, 藤本 直幸, 野崎 良一, 江藤 公則, 紀伊 文隆
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1071-1077
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門疾患では,血流動態を計測する適当な方法に乏しかったが,われわれは超音波カラードップラー装置を用いて,内痔核の血流描出と流入する動脈血流速度を測定し,痔核の手術および注射硬化療法の前後で比較検討した.当院で手術を受けた症例14例と硬化療法を施行した16例を対象とした.いずれも治療前には主痔核部に一致してモザイク状の血流が描出された.治療の前後での流速の変化は,手術群では平均15.7cm/sec→8.8cm/secとなり,硬化療法群でも平均13.2cm/sec→9.6cm/secとともに有意に低下した.波形分類を試みると,両群とも治療前には1型,II型波形が主であったが,治療後には多くはIII型,IV型,V型に変化した.この結果を硬化療法の効果判定に応用し,注射後に流速が10cm/sec以下でかつ波形がIII,IV,V型に変化したものを有効と評価した.本法は無侵襲で簡便に肛門部を観察できるので有用な検査法と考えられ,種々の肛門疾患に応用可能である.
  • 東 光邦, 岩垂 純一, 佐原 力三郎, 奥田 哲也, 碓井 芳樹, 尾島 博, 山名 哲朗, 大堀 晃裕, 大塚 新一, 山口 時子, 武 ...
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1078-1084
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    defecographyは直腸肛門疾患,ことに排便障害の診断に有効な検査法の一つである.排便障害の患者412例に対しdefecographyを行いrectocele 151例,perineal descending syndrome 81例,rectal intussusception 67例,puborectalis syndrome 24例,enterocele 21例,MPS 19例等の結果が得られた.静止時と怒責時の肛門直腸角,会陰下降を比較すると,puborectalis syndrome以外の排便障害群では正常群に比べ会陰下降の上昇が見られた.また画像診断上rectal intussusception, enteroceleの診断にはdefecographyが有用かつ不可欠の検査法であると思われた.
  • 河 一京, 亀岡 信悟, 朝比奈 完, 進藤 廣成, 板橋 道朗, 呉 兆礼, 浜野 恭一
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1085-1090
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当教室では1990年よりdefecographyによる排便障害の診断を積極的に行ってきた.今回,われわれは従来よりのdefecographyを改良し,直腸内圧と肛門管内圧をdefecographyに同調させ同一画像上に描出し,ビデオに収録可能な装置を考案した.さらに種々の排便機能障害例や直腸肛門手術後の症例に対して本検査を施行した,従来のdefecographyによる形態診断のみでは病態解析が十分できないものに対しても,その機能的側面を同時に考慮することで,より適切な病因,病態の把握が可能であり,本検査方が簡便かつ有効な検査法と考えられた.
  • 黒水 丈次, 丸田 守人, 内海 俊明, 遠山 邦宏, 佐藤 美信, 滝沢 健次郎, 奥村 嘉浩
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1091-1098
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    近年,quality of life(QOL)が議論されるようになり,手術術式の評価には再発率だけでなく術後機能の回復率および改善率も重要視されるようになった.直腸肛門機能障害をきたす疾患において,anorectal manometryの臨床応用は,原因となる因子の検索,診断,治療法の選択および治療後の評価に有用であり,QOLの向上に役立つものである.本稿では正常肛門機能のanorectal manometryを示し,下部直腸癌および潰瘍性大腸炎に対する肛門括約筋温存術における術前・術後肛門機能の評価,外傷性肛門損傷,直腸脱そして排便困難症の診断についてanorectal manometryにより検討した.その結果,内外肛門括約筋の機能および貯留能の評価は,術前の病態を診断し,治療法の選択と治療効果の判定に有効であり,術後肛門機能の経時的な回復を客観的に示した.同時に,他の生理学的ならびに解剖学的検査との組み合わせによる総合的判断の必要性が改めて認識された.
  • 吉岡 和彦, 高田 秀穂, 日置 紘士郎
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1099-1104
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸肛門病変の診断において肛門内圧,直腸内圧などの生理学的検査や,defecographyによる解剖学的検査を用いてその病態をより客観的に評価できるようになった.36例の症状を伴ったrectocele患者(A群)に対し,生理学的および解剖学的検討を行った.同様の検索を15例の症状を伴わないrectoceleの患者(B群)と15例のコントロール群(C群)に対しても行い比較検討した.安静時肛門内圧,直腸内圧,直腸コンプライアンス,直腸肛門反射および直腸感覚は3群間で有意差は認めなかった.defecographyによる検索では排便時のrectoceleの最大長はC群にくらべA群およびB群は有意に(それぞれp<0.001)高値であった.pelvic floor descentはA群とB群はC群よりも有意に(それぞれp<0.001)高値を示した.これらの結果よりrectoceleは生理学的変化は認められないが,解剖学的な骨盤底の低下に関与していることが示唆された.便秘,incontinence,直腸脱などの直腸肛門疾患においても文献による病態の検討を加えた.
  • 柳原 潤, 岩田 譲司, 下竹 孝志, 出口 英一, 常盤 和明, 岩井 直躬
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1105-1110
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    便秘を主訴として紹介された小児の114例(年齢:0日から10歳)に対して,注腸透視,直腸肛門内圧測定,直腸粘膜生検(AchE染色)の順で検査を行った.診断名の内訳はH病(51例),H病類縁疾患(8例),慢性便秘(39例)および遺糞症(16例)であった.年齢別でH病およびH病類縁疾患は新生児例と乳児例がほとんどであった.一方,慢性便秘および遺糞症は幼児期以降であり,紹介された患児の年齢による疾患の差が認あられた.検査の手順は注腸透視,直腸肛門内圧測定,直腸粘膜生検の侵襲の少ない順で行われた.直腸肛門内圧測定は新生児の一部の症例を除いて容易に直腸肛門反射の有無が判定された.組織学的診断はH病類縁疾患の診断と新生児症例の一部を除き容易にできた.小児の便秘症例は注腸透視,直腸肛門内圧測定,直腸粘膜生検を組み合わせて行うことにより,診断が可能であった、しかし,小児の特殊性を考え,診断の手順と検査の問題点を十分に理解し,診断していく必要がある.
  • 菅野 康吉
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1111-1118
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌再発予知のために有用と考えられる各種腫瘍マーカーについて,知っておくべき基礎的知見と実際の使用上の注意について解説した.CEAとCA19-9の2種類は分化型腺癌で臨床的有用性が高く最も一般的な腫瘍マーカーであるが,肝炎,肝硬変,その他の良性疾患でも時に偽陽性となることがある.CEAの急激な上昇は肝転移によることが多く,逆に肺転移のみの場合はCEAの陽性率は低いので注意が必要である.CA19-9はLewis(a-,b-)の症例では一般に上昇しないと考えられ,そのような場合には他の腫瘍マーカーを用いるべきである.ST-439は癌における陽性率は前二者に比べて低いが,良性疾患での偽陽性率は低く特異性にすぐれている.Sialyl-Tnは粘液癌の再発の診断に有用である.CA125は腹膜転移の診断に有用であるが,良性の胸腹水貯留あるいは開腹術後等の場合に陽性となることがある.以上,個々の腫瘍マーカーの特性をわきまえ,適応に応じて選択することが重要である.
  • 森 武生, 高橋 慶一
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1119-1126
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1975年から93年までに1386例中に83例(5.9%)に肝転移再発があり,これらの症例の検討から,肝転移の危険因子を解析した.従来の知見を出たものではないが,同じstageではCEAやCA19-9などの腫瘍生化学的因子がより顕著に有意差を示した.今後実用的な判別指数の開発が待たれる.肝転移に対する切除の結果は,126例の累積生存率は異時性で37.6%同時性で31.9%であった.肝切除後の残肝再発予防として持続動注を5FU15g以上行った18例では累積残肝無再発率は57.7%であり,この治療法の有効性が示唆された.
  • 杉原 健一, 森谷 宜皓, 赤須 孝之
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1127-1133
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    目的:切除不能大腸癌肝転移に対する5FU肝動注療法の効果を検討した.方法:5FUは360mg/m2/Dを2-4週間体外ポンプにて持続動注(P1, P2)後180mg/m2/Dの1週間投与を隔週ごとに繰り返した. P3;5FU1,000mg/m2/Dを週1回5時間かけて投与した,P4;Infusaidを用いて5FU250mg/Dを持続投与し,MMC 4-6mgを月1回投与した.結果:P1とP2には計19例が登録され,奏功率は61,1%, P3には4例登録され,奏功率は50%, P4には11例登録され,奏功率は55.6%あった.消化管出血が3例に合併し,手術が施行された.結論:5FUによる肝動注療法は切除不能大腸癌肝転移に対して腫瘍小効果がある.
  • 菊池 功次, 澤藤 誠, 川村 雅文, 小林 鉱一
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1134-1137
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌肺転移に対する外科治療の適応とその治療成績について報告する.対象は1994年8月までに手術を行った大腸癌肺転移42例である,性別は男性24例,女性18例.年齢は35歳から70歳である.肺腫瘍の転移個数は単発性24例,一側多発性7例,両側多発性11例であった.大腸癌肺転移の手術適応は原則としてThomfordの原則,(1)患者が外科的治療に耐えられること,(2)局所再発がないこと,(3)肺以外の臓器に転移がないことの3点を満たしたものとした.手術術式は肺部分切除を標準的な術式とし,腫瘍が大きかったり,肺門部に発生したために部分的に切除できないものに限り,肺葉切除を行った.大腸癌肺転移症例の外科治療成績は単発例の5年生存率33.3%,一側多発例の5年生存率0%,両側多発例の5年生存率12.5%であった.大腸癌肺転移症例の治療成績からみると積極的に手術を行ったほうが良いと思われた.
  • 小西 文雄, 吉田 一裕, 金澤 暁太郎
    1994 年 47 巻 10 号 p. 1138-1146
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌に対する術前放射線照射に関する報告を検討した結果,40-50Gy以上の照射量を用いると局所再発の低下および生存率の向上を期待できると考えられた。術前放射線照射は,手術前に一定の治療期間を要することや術後の創傷治癒の遷延などの問題点がある.放射線照射に化学療法や温熱治療を加えることによって腫瘍壊死増強効果が期待できることが報告されている。われわれは,40.5Gyの放射線照射に温熱療法を8 MHz radio-frequencyを用いて1回50分計5回併用した。その結果,温熱療法を併用することによって腫瘍壊死が増強されることが示された.今後,術前照射の効果を確認するとともに,照射期間の短縮や放射線照射による副作用軽減の目的で化学療法や温熱治療を併用する方法をさらに追求されることが期待される.
  • 1994 年 47 巻 10 号 p. 1147-1181
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 47 巻 10 号 p. 1182-1203
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top