クローン病発症後約10年でアミロイドーシスを併発した兄弟発生クローン病の1例を経験したので報告する.患者は26歳,男性.兄がクローン病で死亡.1980年,下痢,腹痛で発症し,近医にてクローン病と診断され治療を受けていたが,1983年より放置.
1990年4月,再発のたあ当院に入院した.保存療法無効のたあ同年7月,上行結腸および回腸部分切除術,低位前方切除術,回腸瘻造設術,尿管端側吻合術を施行した.その後,経過は良好だったが,1993年1,月,腹痛,食欲不振,全身倦怠感を訴え当院に再入院となった.急激な腎機能の悪化のため近医へ転院となり,血液透析により腎機能の改善がみられ,以後経過観察中である.アミロイドーシスの合併を疑い検索したところ,腎生検およびretrospectiveにみた胃・十二指腸生検,回腸・結腸切除標本にアミロイド沈着を認あた.アミロイド蛋白分析ではAA蛋白で,続発性アミロイドーシスと考えられた.
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