日本大腸肛門病学会雑誌
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47 巻, 6 号
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  • 宇都宮 譲二
    1994 年 47 巻 6 号 p. 467-475
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 河崎 千尋, 九嶋 亮治, 服部 隆則, 平野 正満, 山本 明, 藤村 昌樹, A. Mori
    1994 年 47 巻 6 号 p. 476-484
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    われわれは比較的稀な大腸印環細胞癌の生物学的特性を知るために,組織学的多様性のみられる同一腫瘍内で部位別の細胞増殖活性とDNA ploidy patternを比較検討した.前者の検討にはMIB抗体を用いたKi-67染色が有用であり,後者の検討には顕微鏡下で印環細胞を識別できるPAS/DAPI二重染色が有用であった.同一腫瘍内で細胞外粘液の貯留する印環細胞群は二倍体細胞が中心るみられた.印環細胞が結節状構築を示し,また未分化細胞のみられる部位では異倍体と多倍体細胞の出現傾向がみられKi-67陽性細胞比率は粘液貯留部位と比較して高値であり(p<0.05),細胞増殖動態の点からも腫瘍の多様性が明らかとなった.
  • 川合 重夫
    1994 年 47 巻 6 号 p. 485-491
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1991年1月より1993年3月の期間に東京医科歯科大学第2外科において拡大電子内視鏡検査を施行され,表面型大腸腫瘍および大腸早期癌と診断された38病変を対象として検討した.まったく隆起を形成しないIcおよびIIbの5病変はいずれも粘膜病変であった.表面隆起を形成する他の33病変を,拡大観察所見で病変の立ち上がり部分と腫瘍のピットパターンの境界が一致するmagnifying colonosco picpolypoid growth type(MCPG(+))24病変と両者の一致しない(MCPG(-))9病変に分類したところ,MCPG(+)群のうち21病変は粘膜病変で,3病変のみがsm癌であり,MCPG(-)群は8病変のsm癌と1病変のpm癌であった.本分類は内視鏡所見による分類であるが,腫瘍の発育・進展過程における表面隆起の成り立ちと関連があり,表面型腫瘍よりsm癌の区別するために有用であると思われる,
  • 大多和 史絵, 森脇 稔, 重松 恭祐, 吉井 克己, 落合 匠, 鈴木 隆文, 岩淵 正之, 結束 敬基, 岡野 匡雄
    1994 年 47 巻 6 号 p. 492-497
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    今回,れわれはtrichloroethylenの使用中に発生したpneumatosis cystoides coliを経験したので報告する.症例は55歳,男性,健康診断にて便潜血陽性を指摘され精査目的で当院を受診した.職業は金属メッキ業でtrichloroethylen(以下TCE)を使用していた.腹部X線にて円形蜂窩状のガス像を,注腸造影ではS状結腸から下行結腸に多発性の小隆起生病変を認めた.またCTにて結腸壁内に空気と同様のCT値を有する多発性隆起性病変を認めた。大腸内視鏡においても粘膜面正常の嚢胞様隆起が多発していた.生検組織所見は粘膜筋板に接して嚢胞形成が見られ,内腔側は多核巨細胞に覆われていた.以上よりpneumatosis cystoides coli(以下PCC)と診断した.PCの発生機序には細菌説,機械説などが唱えられているが,近年では有機溶剤TCEも注目されている.自験例においてもTCEの関与が強く疑われた.
  • 吉田 徹, 中村 真一, 菅井 有, 細井 義行, 折居 正之, 安部 彦満, 斉藤 和好
    1994 年 47 巻 6 号 p. 498-503
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    内視鏡検査の進歩に伴い,大腸粘膜下腫瘍の報告例は増加しているが,大腸リンパ管腫は,いまだ稀な疾患である.今回われわれは,大腸癌に併存した大腸リンパ管腫の1例を経験したので,過去10年間の大腸リンパ管腫の10例を加えて臨床病理学的に検討した.症例は70歳,女性.検診で便潜血を指摘され精査した結果,直腸癌および上行結腸ポリープと診断し,低位前方切除およびポリープは直視下にポリペクトミーを施行した、病理組織検査の結果は直腸腫瘍が中分化型腺癌,ポリープは山田3型で直径2cmの嚢胞性リンパ管腫であった.またリンパ管腫の内皮細胞の増殖能をみる目的でMIB-1抗体を用いて免疫組織学的に検討した結果,増殖細胞周期にある細胞は2%であり,対照とした大腸腺腫のリンパ管内皮に比べて,増殖能の亢進していることが示唆された.
  • 清水 喜徳, 相田 貞継, 新井 浩士, 李 雨元, 李 雅弘, 普光江 嘉広, 安藤 進, 亀山 秀人, 村上 雅彦, 草野 満夫, 副島 ...
    1994 年 47 巻 6 号 p. 504-509
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    初発症状としての左臀部腫瘤を臀部膿瘍と診断され,長期間経過観察されていた管外型直腸平滑筋腫の1例を経験した.症例は47歳,男性.5年前に左臀部腫瘤に気づき他医を受診,臀部膿瘍と診断され切開排膿を繰り返し受けていたが,排便困難が出現し当院を受診した.注腸造影・大腸内視鏡検査で,肛門縁より5cmの後壁に内腔をほぼ占拠する潰瘍形成のない粘膜下腫瘤が認められ,内視鏡の挿入は不可能であった.骨盤部CT検査では,小骨盤腔内に一部石灰化を伴う内部均一,境界明瞭な7cm径の腫瘤が認められ,骨盤部MRI検査でも同様の所見であった.大きさから平滑筋肉腫を完全に否定できず,腹会陰式直腸切断術を施行した.摘出標本では,腫瘤は7×8×7cm大の一部壊死を伴う弾性のある黄色調の粘膜下腫瘍であり,病理組織学的には細胞異型や核分裂像は認あられず,良性の平滑筋腫と診断された.
  • 齋村 道代, 佐藤 裕, 一宮 仁, 大畑 佳裕, 壬生 隆一, 田中 雅夫
    1994 年 47 巻 6 号 p. 510-514
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    慢性的な下血により高度な貧血をきたした直腸を主体とする海綿状血管腫の1例を,本邦報告例の文献的考察を考えて報告する.症例は78歳,男性で,主訴は下血と貧血であった.1992年4月,当科に胃と膵疾患のため入院した際,直腸に海綿状血管腫の存在を指摘された,1993年6月より頻回の下血と高度貧血のため再入院となった.腹部X線写真では骨盤内直腸周囲に多発する斑状の石灰化像を認め,注腸造影では直腸内腔は狭小化し多発したポリープを思わせる壁不整がみられた.CTでは肥厚した直腸壁内に多発した点状石灰化を認め,超音波内視鏡では全周性の壁肥厚とその壁内に多発嚢胞状無エコー像,および石灰化巣と考えられる高エコー像が多数みられた.直腸鏡では多発した赤色調のポリープ様隆起が観察された.手術を考慮したが,貧血に対する治療にて症状の改善をみたため退院となった.
  • とくに転移との相関
    高橋 豊, 渡辺 美智夫, 磨伊 正義
    1994 年 47 巻 6 号 p. 515-518
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌症例30例を対象に,接着因子の一つで大腸癌で高率に発現を認めるsialyl LewisXのリガンドであるELAM-1の血清値を測定し,大腸癌の転移の有無との関係をみるため同時に測定したCEAとCA19-9とを比較して,ELAM-1測定の意義について検討した,その結果,大腸癌症例における血清ELAM-1値は,23.8U/mlから144.7U/mlに分布し,平均66.1±29.5である,健常者の平均値+2SDより,正常値は60U/mlと設定された.また転移の有無で比較したところ,転移のない大腸癌症例(Dukes A,B)の平均が52.2±15.6U/mlに対し,転移を伴う大腸癌症例(Dukes C,D)の平均は87.0±33.6U/mlと有意に高値を示した.さらにELAM-1の陽陰性と転移の有無の関係は,sensitivity 92.9%,specificity 93.8%,accuracy 93.3%と極めて高く,CEAやCA19-9より高率であった.以上より,ELAM-1は,大腸癌の転移の有無をみる腫瘍マーカーとして期待されるものと考えられた.
  • 市原 隆夫, 島田 悦司, 裏川 公章
    1994 年 47 巻 6 号 p. 519-524
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌他臓器浸潤癌(以下si(ai))69例の臨床病理学的特徴と予後についてs(a2)191例を対照として比較検討した.切除し得た大腸癌504例中Si(Ai)は98例で,術後の検索でsi(ai)と判定されたのは69例(70.4%)であった.癌の占居部位別のsi(ai)/s(a2)は盲腸(10/10)とS状結腸(35/47)でとくに高率であった.最大径6.Ocm以上,全周性,3型,低分化腺癌,粘液癌の各々の割合がsi(ai)群ではs(a2)群よりも高率であったが,リンパ節陽性率や脈管浸襲率に差はなかった.右側結腸癌では,肝臓,十二指腸へ,S状結腸癌では膀胱と小腸,直腸癌では生殖器,泌尿器系と骨盤壁への浸潤が高率にみられた。S1(ai)群の累積生存率はs(a2)群にくらべて不良であったが,治癒切除のみで両群の累積生存率を比較するとsi(ai)群とs(a2)群で差はなく,浸潤臓器合併切除により良好な予後が期待される.
  • 前田 耕太郎, 橋本 光正, 洪 淳一, 山本 修美, 細田 洋一郎
    1994 年 47 巻 6 号 p. 525-529
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    粘液瘻や2連銃式の人工肛門が必要とされる症例に対し,肛門側腸管を皮下に埋没し,口側腸管のみを単孔式ストーマとする肛門側腸管皮下埋没法を試みた.方法は,肛門側の腸管をペッツにて切離後,断端を漿膜筋層縫合にて閉鎖する.次に,肛門側腸管を開腹創の皮下へ挙上し,腹壁の筋膜と腸管の漿膜筋層縫合を全周に行い腸管を固定する.最後に,肛門側腸管皮下埋没部の皮膚の縫合を粗く行い,腸管断端部の情報を得やすいようにしておく.本法を難治性の潰瘍性大腸炎の1症例の第1期手術時と,腹膜炎を伴う大腸癌の2症例に対し施行した.術後3例ともに創感染などの合併症はなく,潰瘍性大腸炎症例では,肛門側腸管の炎症の増悪もなくステロイドの減量ができた.再手術を行った2例においても,肛門側腸管の検索も容易で,癒着も軽度であった.本法は,2連銃式ストーマや粘液瘻を回避できる,安全で有用な術式であると考えられた.
  • 1994 年 47 巻 6 号 p. 530-546
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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