大腸癌他臓器浸潤癌(以下si(ai))69例の臨床病理学的特徴と予後についてs(a
2)191例を対照として比較検討した.切除し得た大腸癌504例中Si(Ai)は98例で,術後の検索でsi(ai)と判定されたのは69例(70.4%)であった.癌の占居部位別のsi(ai)/s(a
2)は盲腸(10/10)とS状結腸(35/47)でとくに高率であった.最大径6.Ocm以上,全周性,3型,低分化腺癌,粘液癌の各々の割合がsi(ai)群ではs(a
2)群よりも高率であったが,リンパ節陽性率や脈管浸襲率に差はなかった.右側結腸癌では,肝臓,十二指腸へ,S状結腸癌では膀胱と小腸,直腸癌では生殖器,泌尿器系と骨盤壁への浸潤が高率にみられた。S1(ai)群の累積生存率はs(a
2)群にくらべて不良であったが,治癒切除のみで両群の累積生存率を比較するとsi(ai)群とs(a
2)群で差はなく,浸潤臓器合併切除により良好な予後が期待される.
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