日本大腸肛門病学会雑誌
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47 巻, 7 号
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  • surveillance colonoscopyへの応用を目的とした新判定基準の提案
    武藤 徹一郎, 若狭 治毅, 喜納 勇, 渡辺 英伸, 名倉 宏, 小西 文雄
    1994 年 47 巻 7 号 p. 547-551
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • ヌードマウス大腸癌自然肝転移モデルによる検討
    赤木 由人
    1994 年 47 巻 7 号 p. 552-563
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移におけるmatrix metalloproteinase-2, 9(MMP-2, 9)の役割の一端を明らかにする目的で実験的研究を行った.まずヒト大腸癌培養細胞株をヌードマウスの盲腸壁に移植し,自然肝転移モデルを作製した。これらを用いて腫瘍組織におけるMMP-2,9の分泌能をzymogramを用いて検出し,肝転移との関連性について検討を行った.結果は(1)ヌードマウス盲腸移植癌からの自然肝転移は57%であった.(2)培養細胞からのMMP-2分泌は認めたが,MMP-9の分泌は認あなかった.(3)実験モデル盲腸移植巣でのMMP-2, MMP-9の分泌はそれぞれ60%,25%であった.(4)肝転移巣でのMMP-2, MMP-9の分泌はそれぞれ78%,89%であった.(5)盲腸移植巣でのMMP-9の分泌は非肝転移群では認めず,肝転移群で42%に認めた。また肝転移巣におけるMMP-9の分泌は有意に高かった.以上より今回の研究ではMMP-2, MMP-9は環境によって産生能が変化し,しかも分泌能の結果から肝転移にかかわる重要な因子であると考えられた.
  • 岡部 聡
    1994 年 47 巻 7 号 p. 564-575
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    接眼マイクロメーターを用いて大腸sm癌の間質内浸潤量を測定し,各予後規定因子との相関関係につて検討した.大腸sm癌の粘膜筋板および粘膜下層内での間質内浸潤部の垂直方向の広がりをsm depth,水平方向の広がりをsm widthと定義した.転移・再発陽性sm癌14病巣と陰性sm癌158病巣についての検討の結果,sm depthが500μmかっsm widthが2mm以下を微小浸潤(grade-I),sm depthが1000μmまたはsm widthが4mm以上を高度浸潤(grade-III)と分類すると,脈管侵襲などのリスクファクター,転移・再発の有無との間に相関性を示した.本法は,大腸sm癌の間質内浸潤量を比較的簡便に推定することが可能であり,また手術材料のみならず,内視鏡的切除標本についても客観性,再現性のある測定が可能であることから,大腸sm癌の治療方針,とくに内視鏡的切除後の腸切除の要否の決定に有用と考えられた.
  • 木村 聖路, 工藤 育男, 鈴木 秀和, 福士 道夫, 坂田 優, 相沢 中
    1994 年 47 巻 7 号 p. 576-581
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,男性.主訴は下痢と下腹部痛,平成4年より肛門周囲膿瘍にて手術を繰り返し,平成5年8月に当科紹介され,諸検査にてクローン病と診断した.回盲部の炎症が波及して右側尿管が閉塞し,水腎症を合併していた.腹部CTは回盲部の肥厚と,同部位での右尿管の炎症性軟部組織による巻き込みを示した.そこで2400kcal/日でED療法を施行した.その結果,2ヵ月後には回盲部の肥厚は消失し,炎症性軟部組織の縮小とともに右側水腎症は消失した.IOIBD scoreで4点から0点になり,寛解状態になったため外来通院に切り替えた.このようにED療法は,局所炎症鎮静化作用だけでなく,瘻孔等の腸管合併症に有効であり,その上水腎症等の腸管外合併症に対しても効果があることを報告した.
  • 藤井 秀樹, 飯野 弥, 宮坂 芳明, 本田 勇二, 奥田 純一, 飯室 勇二, 松本 由朗, 宮川 勝馬
    1994 年 47 巻 7 号 p. 582-588
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性,1981年10月,上行結腸癌で右側結腸切除術を施行した.病理組織学的には高分化型腺癌で,大腸癌取扱い規約に従うと,占拠部位はAでs,n(―),P0,H0,M(―), stage II,絶対的治癒切除であった.以後外来でfollow upしていたが,1984年6月頃より血清carcinoembryonic antigen(CEA)値の上昇を認めた。腹部CTで右副腎にlow density massを認め副腎転移と診断した.他に転移巣を認めず,1985年1月21日,腫瘤を摘出した,摘出標本は6×4×3cmで重量66g,割面は黄白色分葉状で一部に正常の副腎組織が残存していた.病理組織学的には高分化乳頭状管状腺癌で上行結腸癌からの転移と考えられた.その後,血清CEA値は正常化し,副腎摘出より9年経た現在,画像的に再発の所見なく,血清CEA値の上昇も認めず,患者は健在で社会復帰している.大腸癌の孤立性副腎転移巣の切除例はきわめてまれであり,本例のごとき長期生存例は文献上みあたらない.
  • 田中 聡也, 高野 正博, 藤好 建史, 高木 幸一, 藤本 直幸, 菊池 隆一, 野崎 良一, 江藤 公則, 紀伊 文隆, 大湾 朝尚, ...
    1994 年 47 巻 7 号 p. 589-595
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    患者は16歳,男性.下腹部痛を主訴として来院.来院の4週間前に自転車同士の衝突事故により全身打撲の既往があった.注腸造影検査にて直腸に壁外からの圧迫によると思われる狭窄を認めた.大腸内視鏡検査では,肛門縁より10cmの部位に粘膜下腫瘍様病変を認めた.腹部超音波検査,CT,MRIで病変は,内部が均一な嚢胞状腫瘤として抽出された.仙骨前面の血腫が最も疑われたが,すでに受傷より1ヵ月経過しており術前,確定診断は困難であった.粘膜下腫瘍も否定できなかったため,外科的療法の適応と考えられ低位前方切除術を施行した.組織標本では,固有筋層から漿膜下層にかけて凝血塊を認め,直腸壁内血腫であった.非常に稀と考えられる直腸壁内血腫の1例を経験したので,本邦報告の9例とともに文献的考察を加え報告する.
  • 久米 真, 米沢 圭, 東 久弥, 森 茂, 米山 哲司, 二村 学, 山本 秀和, 白子 隆志, 岡本 亮爾, 横尾 直樹
    1994 年 47 巻 7 号 p. 596-602
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸を原発とする転移性陰茎癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳,男性.直腸癌の診断で1987年3月10日腹会陰式直腸切断術,前立腺全摘術,膀胱尿道吻合術を施行した.1993年2月13日会陰部痛を自覚,直腸癌再発の診断で2月15日再入院となった。CTにて骨盤腔内に腫瘍を確認したため,内腸骨動脈からepirubicin 30mg, mitomycin C 10mgの動注化学療法を開始するとともに骨盤内腫瘍に対して放射線照射を行った.同年6月9日右鼠径リンパ節転移を認めたため,同部に放射線照射を行った.同年10月20日陰茎に硬結を認め,生検組織診にて転移性陰茎癌と診断した.転移性陰茎腫瘍自体稀な疾患であるが,直腸癌陰茎転移の報告は本邦で過去に10例を数えるにすぎない.その転移経路には,一般に直接浸潤,血行性転移,リンパ行性転移などがあるが,本例では静脈逆行性あるいはリンパ管逆行性転移による経路が考えられた。
  • 石田 秀行, 樋口 哲郎, 北條 郁生, 中島 日出夫, 権田 剛, 蛭川 浩史, 三島 好雄
    1994 年 47 巻 7 号 p. 603-608
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    腸重積で発症した上行結腸原発びまん浸潤型大腸癌の極めて稀な1例を経験した.本症例は,従来報告されているびまん浸潤型大腸癌の臨床的特徴を呈さなかった点のみならず,回腸結腸型腸重積の鑑別診断を考える上できわめて示唆に富んだ1例と考えられたので,文献的考察を加えて報告する.症例は58歳,男性.腹痛を主訴に入院腹痛単純X線検査では鏡面形成を,X線CTや腹部超音波検査では右下腹部にmultiple concentric ring signを認めた.さらに,注腸造影およびイレウス管からの造影検査の結果,上行結腸腫瘍による回腸結腸型腸重積と診断した.手術所見では,H0P0S2 (A2)N4(+)M(-) stage Vの上行結腸原発のびまん浸潤型大腸癌が疑われ,姑息的右結腸切除術を施行した.組織学的検索では低分化型腺癌であった.術後11カ月に癌進展によるDICで死亡した.
  • 木山 輝郎, 江上 格, 谷口 善郎, 和田 雅世, 吉岡 正智, 下村 隆保, 恩田 昌彦
    1994 年 47 巻 7 号 p. 609-614
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸原発悪性リンパ腫は比較的希な疾患であり,診断に難渋することが少なくない.今回,穿刺吸引細胞診にて術前診断しえた症例を経験したので報告する.患者:32歳,男性.1992年12月頃から排便障害,粘血便が出現.近医にて直腸腫瘍と診断されたが,生検ではGroup2であった.1993年3月人工肛門造設.7月当院に転院.入院時,表在リンパ節を触知せず.直腸指診にて肛門・直腸の全周性狭窄を認めたが,示指の挿入が可能で弾性硬であった.経肛門的に穿刺吸引細胞診を行った.中細胞型異型リンパ球が優位で,class III b(悪性リンパ腫)と診断された.7月14日腹会陰式直腸切断術施行.非Hodgkinリンパ腫:びまん性中細胞型,B細胞型,a2 n(-) P0 H0 M(-), stage IIであった.経過良好でVEPA療法を1クール行い,9月9日軽快退院となった.1994年4月1日現在,再発の兆候なく外来にて経過観察中である.
  • 市原 隆夫, 裏川 公章, 新海 政幸
    1994 年 47 巻 7 号 p. 615-621
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    閉塞性大腸炎を合併した大腸癌イレウス10例(以下OC群)の臨床病理学的特徴をOC非合併大腸癌イレウス40例(以下対照群)と比較した.OC群では平均年齢73.8歳と対照群より高齢で,治療を要する心血管系疾患を9/10(90%)併存し,平均病悩期間は対照群より長期であった(p<0.05).直腸S状結腸の大腸癌イレウスでは4/10 (40%),4/13 (30.8%)と高率にOCの発生をみた.OC群では非全周性の癌が40%を占めたが,腫瘍径,癌の口側/肛側周径比では対照群と差がなかった.OCの発生は必ずしも癌の進行,閉塞の程度によらず,また腸管拡張の程度との関連はなかった.癌の口側縁とOC病変との間には3~55cmの正常粘膜が介在した.大腸癌イレウス手術においては口側腸管のOC合併に対する確認が重要である.
  • 富樫 一智, 小西 文雄, 岡田 真樹, 佐藤 知行, 古田 一裕, 小島 正幸, 金澤 曉太郎, 中谷 武
    1994 年 47 巻 7 号 p. 622-627
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸内視鏡検査前処置法として,腸管洗浄液(polyethylene glycol-electrolyte lavage solution, PEG-ELS)2リットルを在宅で内服する方法(以下,在宅洗浄法と略す)を実施し,その有用性について検討を加えた。3施設において在宅洗浄法を施行した97名を対象として,検査施行時の腸管内の洗浄効果の評価と,アンケートによる被験者側受容性の調査を行った.その結果は,1)洗浄効果は従来の病院での洗浄法より若干劣るが,随伴症状の出現はほぼ同等である,2)被験者側受容性が高い,であり,在宅洗浄法の良好な洗浄効果・安全性・被験者の受容性が確認された.在宅洗浄法は,1)被験者の拘束時間が短い,2)病院内のトイレのcapacityと関係なく施行できる,3)在宅で早朝より服用することにより午前中早くから検査の施行が可能である,という利点があり,極めて有用と考えられる.
  • 1994 年 47 巻 7 号 p. 628-643
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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