日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
48 巻 , 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 宮山 信三, 岡 壽士
    1995 年 48 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    腸管吻合においてステープル吻合器(以下EEA)と圧挫式無縫合吻合器(以下AKA-2)による縫合を実験的に作成し縫合不全の発生頻度,吻合部耐圧度,肉眼的観察,組織修複反応について検討し,創傷治癒の過程から安全性および信頼性を検討した.術前縫合不全の発生頻度は,腸管内非洗浄群ではAKA-2(54.5%),とEEA(11.1%)に比べて高かった.吻合部耐圧度は,術後2日目でAKA-2は100mmHg以下とEEAに比べて極端に低かった.吻合部の内翻腸管は,EEAでは血行が十分保たれていた.内翻腸管をリングで圧挫・把持するAKA-2では術後早期に内翻腸管は退縮し,血流低下による血行障害で,両腸管を翻転した癒合部が完成する前にリングが脱落するので,耐圧度が低下し,何らかの原因が加って内圧が上昇すると縫合不全の危険性が高まると考えられた.
  • 中村 文彦, 森田 隆幸, 今 充
    1995 年 48 巻 3 号 p. 193-205
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    低位前方切除術(以下,低前切)後の吻合部口側腸管における便輸送動態を放射線非透過性マーカーSITZMARKSTMを用いてtransit studyの面から検討した.対象は術後1カ月以内の短期群37例,1年以上経過した長期群26例および対照群26例である.マーカーが排泄されるまでの全腸通過時間は対照群29.8±3.2時間,低前切群41.1±1.7時間(p<0.05)と後者で遅延し,吻合部口側大腸の便輸送能低下が示唆された.また症例の90%では吻合上左側結腸に貯留する傾向が認められ,主たる運動障害が同区間に生じている可能性が推察された.これら運動障害の一因としてリンパ節郭清や直腸授動時に切離される副交感神経(骨盤神経叢および直腸枝)の損傷による影響が考えられた.一低前切術後の排便異常には吻合部口側の大腸運動異常も深く関与しているものと思われた.
  • 川堀 勝史, 岡島 正純, 有田 道典, 小林 理一郎, 中原 雅浩, 正岡 良之, 小島 康知, 豊田 和弘, 藤高 嗣生, 浅原 利正, ...
    1995 年 48 巻 3 号 p. 206-211
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去16年間に当科で手術を施行した75歳以上の高齢者大腸癌は60例で,50歳以上70歳未満の対照者群319例,39歳以下の若年者群18例の内,主に単発癌を比較の対象とし臨床的特徴と遠隔成績を検討した.高齢者群は,(1)占拠部位では右側結腸に有意に多かった.(2)壁深達度は,漿膜内にとどまる症例が多く比較的浅い傾向.(3)リンパ節転移陽性率は低い傾向.(4)手術直接死亡例はないが他病死例が多く,他病死を除いたら5年生存率は対照者群と比べて差はなかった.高齢者大腸癌は,壁深達度は浅く,リンパ節転移率も低い傾向にあり,D2もしくはD3の適切なリンパ節郭清にて根治度AまたはBの切除が可能であり,高齢といえども患者の状態の許す限り積極的に対照者群と同様の郭清を伴った根治切除術を心がけるべきである.高齢者では術前より全身状態の悪い症例が多く,合併疾患の術前後の管理を充分に行えば対照者群と同等の成績が期待できる.
  • 中崎 晴弘, 戸倉 夏木, 鈴木 康司, 小林 一雄, 柳田 兼蔵, 蔵本 新太郎, 吉雄 敏文, 岡田 弥生, 垣内 史堂
    1995 年 48 巻 3 号 p. 212-216
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    転移性肝癌症例で,血清中および大腸癌部,転移性肝癌部のTNF-α, IL-1β, IL-2, IL-6, GM-CSFを測定し,転移性肝癌患者のサイトカイン動態を検討した.術前の血清中各サイトカインは健常人と比較し高値を示した.さらに,切除した組織中の各サイトカインを測定したところ,転移性肝癌部ではTNF-α, GM-CSFが高値を,非癌肝組織部ではIL-2, IL-6が高値を示した.また大腸癌原発巣の癌部でもTNF-α,GM-CSFが高値を,非癌部粘膜ではIL-1β,IL-2,IL-6が高値を示した.さらに当科で樹立した5つの転移性肝癌細胞株の培養上清中でTNF-α, IL-6, GM-CSFが高値を示した.以上よりこれらのサイトカイン特にTHF-α, GM-CSFが腫瘍の増殖に強くかわっており,またIL-2,IL-6が発癌とともに産生されてくることが示唆され,癌の発生,転移の診断に血清中のこれらのサイトカインの測定が有用と思われた.
  • 五十棲 優, 富田 凉一, 黒須 康彦
    1995 年 48 巻 3 号 p. 217-231
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌症例前方切除術施行後の排便機能について,支配神経の面から検討を行う目的で,経肛門的に陰部神経を電気的に刺激した時の外肛門括約筋複合筋電図発現までの潜時と,S2-4脊髄神経根磁気刺激による恥骨直腸筋複合筋電図発現までの潜時を測定した.さらに直腸肛門内圧検査および臨床的評価(soilingとincontinenceの有無)を行った.その結果,soilingおよびincontinenceの発生には,直腸肛門内圧検査において内外肛門括約筋の筋自体の障害が,また支配神経の面からは陰部神経障害による外肛門括約筋機能の低下とS2-4仙骨神経障害による恥骨直腸筋の機能低下が加わっていることが判明した.陰部神経伝導時間と,S2-4脊髄神経根刺激伝導時間を測定することにより,直腸肛門内圧検査では判定困難な支配神経損傷による恥骨直腸筋や外肛門括約筋の機能障害の判定が可能と思われた.
  • 酒井 靖夫, 畠山 勝義, 島村 公年, 谷 達夫, 岡田 貴幸, 村上 博史, 岡本 春彦, 須田 武保
    1995 年 48 巻 3 号 p. 232-241
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    自験潰瘍性大腸炎手術例54例をretrospectiveに解析し,重症例と難治例の手術適応と時期を検討した.手術適応は絶対的(主に重症25)と相対的(難治27)が半数ずつあり,再燃緩解型81%,全大腸炎型83%,重症型74%が多くを占めた.重症例の術前強力静注療法期間は平均44日で,2週以内の手術例は5例のみであった.4週間以上継続15例はステロイド減量で増悪する例で,うち4例が中毒性巨大結腸症,大出血を合併した.難治例では再燃,入院回数が多く,入院期間も長く,56%にステロイド副作用を認め,QOLが障害されていた.重症例では1週間の強力静注療法で無効なものは手術適応であり,改善する場合も約1カ月目までにステロイド減量不能か緩解しなければ手術を選択した方がよい.難治例では厚生省基準の他に患者のQOL(長期入院例,ステロイド離脱困難例,腸管外合併症)も考慮し,早めに適応を決定すべきであると考えられた.
  • 小松 信男
    1995 年 48 巻 3 号 p. 242-252
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌症例153例を対象に,神経周囲浸潤(以下pni)を浸潤最深層によりintra pni(sm-mp),extra pni(ss以深)に分け臨床病理学的検討をするとともに,神経接着因子(NCAM)発現および細胞増殖能との関連についてpni陰性例と比較検討した。intra pni陽性例20例(13.1%),extra pni陽性例36例(23.5%)であった.intra,extra pni陽性例ともにリンパ節転移と関連がみられ,また先進部budding陽性,先進部組織型が中・低分化型に多く認めた.extra pni陽性例は治癒切除例の60%(15/25)に再発し,pni陰性例に比較し予後不良であった.しかし,intra pni陽性例は再発率が低く,予後不良因子とならなかった.NCAM発現はextra pni陽性例68.2%,pni陰性例の24.3%であり,pni陽性例で有意に高く,神経親和性との関連性が示唆された.またMIB-1陽性率は癌先進部においてextrapni陽性例51.3±17.0%,pni陰性例44.6±16.4%であり,pni陽性例は増殖能が高い傾向にあった.
  • 工藤 哲治, 柴田 興彦, 唐原 和秀, 平田 孝浩, 内田 雄三, 宮川 勇生
    1995 年 48 巻 3 号 p. 253-256
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    72歳,女性の仙骨前面直腸重複腸管について報告した.卵巣嚢腫の診断で入院,手術を施行した。開腹所見はS状結腸間膜後面より,左側仙骨前面を占める嚢胞性腫瘤で,経腹経仙骨的に直腸壁と腫瘤を合併切除した,切除標本は8.0×4.0cm大,表面は平滑で,内部は白色の粘液で充満されていた。病理組織学的所見は,嚢胞壁全体に平滑筋層を有しており,大腸粘膜が保たれている部分と脱落している部分が存在した.粘膜は正常に近く悪性所見はなかった.以上より嚢胞型の直腸重複腸管と診断された.
  • 白野 純子, 中江 史朗, 中村 毅, 斎藤 洋一, 多淵 芳樹
    1995 年 48 巻 3 号 p. 257-263
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸悪性黒色腫の3例をそのDNA ploidy pattern, PCNA標識率とともに報告する.症例1は60歳,男性.Rb,O型(Ip),sm,P0H0n(-)で,術後1年5か月健在である.症例2は53歳女性.P,O型(Is),sm, P0H0n(-)であったが,7か月後に肝再発死した.症例3は39歳,女性.SRs,Si(子宮)P0H0n(-),子宮合併切除を伴うHartmann手術を行い,術後9年生存中である,3例とも切除標本で組織学的に悪性黒色腫と診断し,術後DAV療法を施行した.症例1,2ではaneuploidy,症例3ではdiploidyを示した.PCNA標識率は症例1(26.0%),症例2(35.1%),症例3(25.6%)であった.DiploidyかつPCNA標識率が相対的に低い症例3は臨床病理学的所見に反して長期生存していた.大腸悪性黒色腫の予後とDNA ploidy pattern, PCNA標識率との関係については報告が少なく,今後検討される必要があると思われる.
  • 鈴木 博, 丸森 健司, 林 征洋, 大山 祥, 三国 和雄, 斉藤 惠男, 河村 正敏, 草野 満夫
    1995 年 48 巻 3 号 p. 264-270
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸粘液癌は進行癌症例がほとんどで,早期癌報告例は非常に稀である.今回,腸重積症を伴った早期大腸粘液癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は71歳,女性.下腹部痛を主訴に来院した.腹部はやや膨隆し,右下腹部に圧痛を伴った鶏卵大腫瘤を触知した.腫瘤は表面平滑で,可動性は良好であった.緊急US,CT検査を行い,腸管内腫瘤を先進部とする腸重積症と診断した.さらにガストログラフィンによる注腸造影検査にて腸重積を整復すると同時に,Bauhin弁ほぼ対側の盲腸部にクルミ大の隆起性病変を確認した.大腸内視鏡検査では,腫瘤は球状,広基性で,表面には不規則な粗大結節状隆起を伴っていた.生検所見はGroupIVで,一部に粘液成分が認められ,粘液癌も示唆された.手術は右半結腸切除術(D3)を行った.病理組織学的には腫瘤は4×3×2cm大のI+IIa型早期大腸粘液癌で,深逹度sm, ly2, v0, n3(+), stageIIIbであった.
  • 1995 年 48 巻 3 号 p. 271-279
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 48 巻 3 号 p. Pn0401-Pn0408
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top