われわれは,いわゆる"狭義の虚血性大腸炎"の5症例を経験し,虚血性大腸炎の外科的治療の選択要因について検討するため,保存的治療症例と外科的治療症例の症状,検査所見,経過などについて比較検討した.この結果,1)発症時,突発性腹痛と血便に嘔気・嘔吐を伴い,重症感があるもの,2)腹部所見で,広範囲に腹膜刺激症状を呈するもの,3)血液検査で炎症所見が高度かつ長期におよぶもの,4)注腸X-P所見または内視鏡所見が,発症後2週間以後も改善傾向がなく狭窄をきたし症状が続くもの,などが外科的治療を選択すべき要因であると考えられた.とくに1),2),3)は発症時からみられるものであり,治療方針を決定する際に役立つものと考えられた.
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