日本大腸肛門病学会雑誌
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48 巻 , 7 号
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  • 木田 光一, 東海林 茂樹
    1995 年 48 巻 7 号 p. 559-565
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌検診において,便潜血1日法で受診率,カバー率を向上させた逐年検診を行い,2日法の検診成績と比較検討してみた。小坂町では,平成1年から1日法による企業職域検診と,平成5年から開始した2日法による老健事業検診の2つの大腸癌検診が行われている.780名を対象とする企業職域検診の6年間の受診者総数は2,170名,カバー率91.5%で,癌は4名発見され,すべて早期癌であった(癌発見率0.18%).ポリープ発見率は2.63%であった.3,069名を対象とする老健事業検診は2年間の受診者総数1,645名,カバー率37.4%で,癌は進行癌2名,早期癌3名の計5名が発見された(癌発見率0.30%).ポリープ発見率は2.13%であった.結果として,1日法の方が受診率,カバー率を高くでき,逐年検診で発見された癌はすべてが早期癌であった.これは2日法と比較して遜色のない成績であった.
  • 酒井 敬介, 豊島 宏, 板東 隆文, 磯山 徹
    1995 年 48 巻 7 号 p. 566-573
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸を盲腸・上行結腸(以下CA),横行結腸下行・S状結腸,直腸の4群に分け,救急手術を施行した102例の大腸癌イレウス症例(以下イレウス例)の部位別の特徴をイレウス症状を呈しないmp以上の進行大腸癌症例(以下非イレウス例)833例と比較した.イレウス例は,非イレウス例に比し有意に高齢であり,stage IV,n3(+)以上,腹膜播種症例の比率が高く,また5年累積生存率が有意に不良であった.イレウス例の部位別検討ではCA群だけが他の部位に比し年齢が高く,進行度などで有意に高く,また切除率も不良であった.このCA群の特徴がイレウス例と非イレウス例の間の臨床病理学的性格の差の大きな要因となっていた.今後,これらの症例を早期に発見できるような検診体制の整備が重要であると考えられた.
  • 近藤 英介, 更科 廣實, 小田 健司, 斉藤 典男, 布村 正夫, 幸田 圭史, 滝口 伸浩, 寺戸 孝之, 江沢 英史, 菅谷 芳樹, ...
    1995 年 48 巻 7 号 p. 574-580
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    比較的希な傍直腸嚢胞を2例経験したので報告する。症例1は53歳,女性,下腹部痛を主訴に受診し,超音波検査にて骨盤内の腫瘤を指摘された.直腸診にて直腸右壁に壁外性の柔らかな腫瘤を触知した.注腸検査では直腸膨大部の右方からの圧排を認め,骨盤CTでは子宮の右後方,直腸右側に2個の嚢胞状の腫瘤を認めた.病理組織診断は類皮嚢胞腫であった.症例2は49歳,男性.肛門痛を主訴に受診.肛門左側に炎症所見を伴う手拳大の腫瘤を認め,切開排膿にて赤褐色の漿液性排液を認めたが腫瘤の縮小をみなかった.ドレーンからの造影検査にて,まだら状に造影される嚢胞を認めた,骨盤CT検査では仙骨前面の直腸左後方に内部不均一の嚢胞状の腫瘤を認めた.傍直腸嚢胞の診断にて手術を施行した.病理組織学的には確定診断は得られなかったが,巨大ガングリオンが示唆された.
  • 山本 雄造, 坂井 義治, 西川 温博, 長谷川 傑, 西村 和明, 久野 正治, 賀集 一平, 小原 尚之, 三浦 賢佑
    1995 年 48 巻 7 号 p. 581-586
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    5-FU持続投与による術前化学療法中に完全に脱落した直腸癌の1例を経験した.大腸癌は抗癌剤に対して抵抗性が高いが,化学療法のみで脱落したことは術前化学療法を考える上で示唆に富むと考えられるので報告する.症例は70歳,女性.Ra部の約4cm大の亜有茎性のIsp'型の直腸癌に対して術前化学療法として5-FUを3週間(250mgで1週間,375mgで2週間)24時間持続全身投与したところ,手術時に潰瘍病変部のみを残して完全に脱落しており,病理学的にも悪性細胞を認あなくなっていた.この著効例を通して直腸癌に対する5-FUによる術前化学療法を持続投与で行う意義について文献的考察を加えて検討した.
  • 市原 隆夫, 光辻 理顕, 裏川 公章
    1995 年 48 巻 7 号 p. 587-591
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    結腸憩室は憩室自体の症状が乏しく合併症により発見されることが多い. 過去3年に2度の原因不明の肝膿瘍を合併し, S状結腸膀胱瘻を生じS状結腸憩室炎の1例を経験した. 症例は53歳, 男性. 過去3年間, 原因疾患の不明な肝膿瘍を繰り返し, 超音波ガイド下による膿瘍ドレナージ術 (percutaneus transhepatic abscess drainage : 以下 PTAD) でいずれも保存的に治癒したが, 肝膿瘍の原因となる疾患を疑わせる腹部所見がなったため原因不明の肝膿瘍として経過観察されていた. 平成6年1月頃より気尿を伴った難治性の膀胱炎が出現し, 注腸造影X線, 膀胱鏡等の検査では瘻孔の存在は確認はできなかったが, 術中S状結腸側の圧迫により膀胱側へのair leakageが認あられ, S状結腸切除および瘻孔を含め膀胱の部分切除を行った. 今後増加が予想される憩室症の稀な合併症の1例として報告する.
  • 光辻 理顕, 市原 隆夫, 裏川 公章
    1995 年 48 巻 7 号 p. 592-596
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は69歳, 男性. 主訴は右側腹部痛, 既往歴は糖尿病と閉塞性動脈硬化症. 3日間の便秘の後, 突然に右側腹部痛と嘔吐が出現し, 右側腹部に筋性防御を伴う圧痛を認め急性腹症として外科入院となった. 腹部超音波検査では上行結腸から横行結腸にかけて腸管壁が浮腫性に肥厚し, 腹部CTでも横行結腸壁の肥厚がみられ, 腹部血管の石灰化が著明なことから, 壊死型虚血性大腸炎と診断, 緊急手術を行った. 右側結腸壁は肥厚しており, 漿膜下出血のある横行結腸を切除したところ境界明瞭な1/2周に及ぶ粘膜壊死を認め, 術中内視鏡にて切除範囲を決定し一期的に吻合した, 壊死型虚血性大腸炎は穿孔, 腹膜炎などを合併することが多く死亡率も高いが, 今回全身性の動脈硬化症を合併した急性腹症の診断に際し腹部超音波検査, 腹部CT診断により, 壊死型虚血性大腸炎と診断, 緊急手術により良好な術後経過を得た1例を経験したので報告する.
  • 佐藤 一也, 野村 昌史, 綾部 時芳, 垂石 正樹, 榮浪 克也, 斉藤 裕輔, 蘆田 知史, 柴田 好, 高後 裕, 斉藤 孝成, 中島 ...
    1995 年 48 巻 7 号 p. 597-605
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎 (UC) は, 欧米では家系内集積性が高いが, 本邦では比較的稀とされてきた. しかし, 近年本邦においても, 本疾患の増加に伴って家系内発症の報告も増加している. 今回われわれは, 伯母 甥 (従兄), 甥 (従弟) のII, III度近親間の3人に発症したUCの1家系を経験し, HLAの検索を行ったので報告する. 症例1は58歳の女性. 36歳時に粘血便で発症し, 再燃緩解を繰り返している. 症例2 (甥) は29歳の男性. 16歳時に粘血便, 腹痛で発症した. 発症時には直腸S状結腸炎型であったが, 再燃緩解を繰わ返し全大腸炎型へと進展した. 症例3 (症例1の甥, 症例2の従弟) は24歳の男性. 22歳時に粘血便, 下腹部痛で発症した. 全大腸炎型のUCで再燃緩解を繰り返している. HLA を検索したところ3人ともA24-B52-DR2のhaplotypeを有していた. 本邦において HLA が検索されたUCの家系内発症34家系にっいて検討したところ, A24-B52-DR2(-DQ1)のhaplotypeがUCの発症に関与すると考えられた.
  • 友近 浩, 小出 欣和, 小原 誠, 諏訪 智治, 川上 和彦, 松田 保秀, 小澤 享史
    1995 年 48 巻 7 号 p. 606-610
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は47歳の女性. 痔核脱出を主訴として来院. 下部直腸に大きさ1.5×1.0cm, 表面平滑で中心陥凹を伴う亜有茎性腫瘤を認め, 内視鏡的に切除した. 組織学的には腺腫内癌と典型的カルチノイドからなり, 両成分の間には連続性移行がみられた. カルチノイドの組織発生に関し, 示唆に富む症例と考えられた.
  • 吉田 良, 高田 秀穂, 中川 州幸, 岩本 慈能, 越路 みのり, 川西 洋, 吉岡 和彦, 日置 紘士郎, 松田 公志
    1995 年 48 巻 7 号 p. 611-616
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    結腸膀胱瘻の成因は炎症性, 腫瘍性, 先天性, 外傷性, 医原性などによる二次性変化によるものがほとんどである. 本邦においても近年, 食生活の欧米化に伴い腸の炎症性疾患, とくにS状結腸憩室炎に起因するものが増加の傾向にある. われわれは, 過去5年間に経験したS状結腸膀胱瘻6例について若干の文献的考察を加え報告する. 症例は54歳から89歳までで, 性別は男性4例, 女性2例である. 原疾患はS状結腸癌3例, S状結腸憩室炎2例, 放射線性腸炎1例であり, 初発症状は糞尿, 気尿, 下腹部痛である. 術前検査では膀胱造影と膀胱鏡検査が瘻孔の証明に有用であった. 全例に手術を施行しS状結腸切除術が4例, 人工肛門造設術が2例であり, 膀胱に対しては膀胱部分切除術が2例, 膀胱全摘術尿路変更術が2例, 膀胱切除が不可能な2例に対しては尿管皮膚瘻術を施行した. 術後経過では, S状結腸癌の1例のみが原病死した.
  • 遠藤 俊吾, 筒井 光広
    1995 年 48 巻 7 号 p. 617-622
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    結腸癌術後の稀と考えられる脾転移再発の2切除例を経験したので報告する. 症例1は69歳の女性で, 上行結腸癌切除術の2年7カ月後にCEAの上昇をきたし, 腹部CT検査にて脾転移再発を認め, 脾臓, 肝転移巣を切除し, 脾門・脾動脈リンパ節に転移を認めた. 症例2は75歳の女性で, S状結腸癌と盲腸癌の異時性多発癌で盲腸癌切除の6カ月後にCEAの上昇をきたし, 腹部CT検査で脾転移再発を認め, 脾摘除術を施行した. 症例1は1年2カ月後に肝転移巣の増悪により原癌死したが, 症例2は9カ月無再発生存中である. 大腸癌における脾転移は文献上19例が報告されており, 多くが血行性の転移と考えられている. 脾転移再発では全例CEA高値を認め, CEAの有用性が示唆された. また孤立性の脾転移は切除により予後の改善が期待できるが, ほかの血行性転移に対する経過観察が必要と考えられる.
  • 岡村 孝, 鳥屋 城男, 藤田 毅, 袴田 安彦, 青木 信彦, 石原 通臣, 渡辺 正道, 有輪 六郎
    1995 年 48 巻 7 号 p. 623-628
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    空置大腸に発生した腸炎 (diversion colitis and proctitis) とは腸内容が通過しなくなった大腸 (空置大腸) に発生した炎症過程である. 本症は潰瘍性大腸炎やCrohn病と併存することもあり, 空置大腸をもつ症例の診察にあたり知っておくべき疾患である. 本邦での報告はほとんどないので大腸ファイバースコープで積極的に検査し, 臨床的病理学的に検討した. 7症例のうち6例に浮腫,易出血性を認めた. さらに発赤, びらん, 潰瘍を示した症例もあった. 血性分泌を1例に認め, 残りの症例は無症状であった. 生検では粘膜固有層の炎症細胞の浸潤を全例に認めた. 高度な病変を有する症例では腺管の分岐, 変性, 上皮の萎縮, 変性, 粘膜固有層の線維化, crypt abscessを認めた. 発生頻度, 臨床症状, 生検所見は欧米の報告とよく一致した. 2例に人工肛門の閉鎖を行い, 空置大腸炎は消失した.
  • 永岡 栄, 豊島 宏, 板東 隆文, 磯山 徹, 遠藤 健, 喜島 健雄, 酒井 敬介
    1995 年 48 巻 7 号 p. 629-634
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    過去28年間に当センターで経験した大腸癌手術症例を75歳以上の高齢者群160例と40-74歳の対照群750例とに分けて臨床病理学的特徴, 合併症, 予後を中心に検討した. 高齢者群は右側結腸癌の頻度が高く, リンパ節転移の進んだ症例が多かった. 術前併存疾患を認めた症例が多かったが, 術後合併症には差を認あなかった. 緊急手術症例は高齢者群で有意に多かった. 緊急手術症例での直死率は高齢者群で高率であったが, 待期手術症例では差を認めなかった. 待期手術症例, 緊急手術症例とも高齢者群の予後は, 対照群に比べて不良であった. また高齢者群における待期手術症例の予後は, 緊急手術症例に比べて良好であった. 以上より, 高齢者大腸癌手術においては, 緊急手術は予後不良であるが, 待期手術症例では安易に術式を縮小することなく対照群と同程度の根治手術を行うことで予後の向上が期待できると考えた.
  • 貞廣 荘太郎, 野登 隆, 木村 富彦, 徳永 信弘, 石田 秀樹, 安田 聖栄, 田島 知郎, 三富 利夫
    1995 年 48 巻 7 号 p. 635-638
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌手術の根治性において, 腫瘍から切離断端までの距離は重要な因子の一つである, しかし外科医が手術中測定し記載した腫瘍縁から切離断端までの距離に比し, 切除標本を扱う病理医の記載した切離断端までの距離が著しく短い場合をしばしば経験する. 本研究の目的は, 開腹直後の手術操作の加わっていない状態, 手術操作中の引っ張られた状態, ホルマリン固定後の3種類の状態での腸管の長さを測定対比することであり, 従来これら3種の状態での長さを同時に比較した報告はなかった. 大腸切除を受けた111例の大腸癌患者を対象とした. 盲腸から上部直腸までの腸管は, 開腹直後の長さに比し, 術中引っ張られると平均24-28%伸展し, 切除固定された後には平均24-28%短縮した. 年齢, 性別, 大腸の部位による差はみられなかった. 外科医は腸管が手術操作により24-28%伸展し, 切除固定後24-28%短縮することを念頭に置いて腸管切離線を決定すべきと思われた.
  • 宮島 伸宜, 大滝 修司, 加納 宣康, 山川 達郎
    1995 年 48 巻 7 号 p. 639-644
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当科において腸疾患に対して39例の腹腔鏡下手術を施行した. 男性26名, 女性13名で平均年齢は58.8歳であった. 手術の内訳は良性疾患が7例, 悪性疾患が32例であった. 悪性疾患に対する手術の場合, リンパ節を郭清することが必要であり, 直腸S状結腸, 盲腸癌の場合にはfeeding arteryの根部での結紮, 切断が可能であるが, 中結腸動脈の根部郭清を必要とする横行結腸癌, 上行結腸癌では, 手技が煩雑, 困難であり, 占居部位によって腹腔鏡下手術の適応を変える必要があると考えられた. 一方, 良性疾患は潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘術を含め, 腹腔鏡下手術の良い適応だと考えられた.
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