日本大腸肛門病学会雑誌
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49 巻 , 10 号
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  • 土屋 周二
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1137-1145
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    日本直腸肛門学会は1940年に専門分科の確立と斯学の進歩発展を期して, 在野の専門家有志によって創設された. 1961年, 学会名を日本大腸肛門病学会に改めた.
    当初は会員数は500名位であったが1970年代になって増加し, 現在では5,000名をはるかに越えた.
    学術総会は年1回定期的に行われ, 機関誌も定期的に刊行されている. 初期の総会は比較的小規模であったが1970年以後, 年々拡大し演題数・参加者が増加した. 1995年には第50回総会が行われた. 学会誌は近年になり発行号数と頁数が増加し, 現在年10回発行されている. また2つの地方会があり, その他多くの国内学会や研究会に関連し, 国際学会の開催や後援, それらとの交流も行われて来た. また, 1992年から学会専門医の認定を行っている.
    今後, 医学の進歩や社会の変動に対応し, 本学会の任務はますます重要となると思われる.
  • 松田 保秀, 友近 浩, 佐藤 滋美, 木村 浩三, 喜多 宏人, 青山 浩幸, 川上 和彦
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1146-1158
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    痔瘻の術後成績は (1) 再発率, (2) 術後治癒日数, (3) 合併症の有無, (4) 肛門機能, などから総合的に評価されねばならない. 今回著者らは1986年1月から1989年12月 (前期) までの4年間と, 1990年1月から1995年12月 (後期) までの6年間の痔瘻の入院手術症例を検討した. 症例は2,388例 (男性2,210例, 女性178例) であった. 痔瘻の型別分類 (隅越分類) では低位筋間痔瘻 (IIL型) が81.0%と圧倒的に多く, 次に坐骨直腸窩痔瘻 (IIIB型) が9.3%と続いている. 再発は88例 (3.7%) であった. 痔瘻の手術術式はlayopen法から括約筋温存手術 (coring out法) へと変化してきた. それとともに再発率は上昇傾向にある. 一方, 治癒日数は短縮し, 術後合併症や機能障害はきわめて少なくなった. 肛門括約筋温存手術の価値は, 低位筋間痔瘻と坐骨直腸窩痔瘻手術において顕著である. 当院での括約筋温存手術の基本術式は, (1) 原発口を含め2次口からの瘻管のくりぬきと全瘻管の摘出. (2) 原発口切除部の縫合閉鎖. (3) さらに肛門上皮による被覆. (4) くりぬき腔のドレナージである. 再発率は筋間痔瘻のlay open法は1.3-1.5%, coring out法5.5-5.8%, 坐骨直腸窩痔瘻のlay open法5.5%, coring out法8.6%であった.
  • 本郷 啓之, 黒川 彰夫, 西 祐司
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1159-1168
    発行日: 1996年
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    一般に肛門およびその周辺疾患のなかで痔瘻の手術が最も破壊的である. 裂肛に対する内括約筋側方切開術後のminor incontinenceが論じられる現在, 低位筋間痔瘻に対しても機能温存術が望まれる. この際, 術後の残存組織が深部痔瘻に比べて少ないことが, 原因の除去や再建修復に対して一層工夫を要する点となる. 本稿では原発口, 原発巣部の炎症や硬結が強く, 索状で比較的長い低位筋間痔瘻を適応として, 1984年筆者らが考案し, 翌年から本格的に行ってきた「切開・くり抜き術」, すなわち瘻管の内外を直視下で, 的確に原発口から原発巣にいたる導管を切開, 残りの瘻管を原発巣を含めてくり抜き, その後再建する法, につきその思考, 手術の実際, 改良点, 11年間に行われた279例の成績, 〈再発3例 (1.1%), 治癒遷延45例 (16.1%) 改良により最近の3年間では約7%に減少, アンケートによる術後の訴えは16例 (7.4%)〉につき述べる.
  • 小杉 光世
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1169-1181
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    痔瘻手術は括約筋温存術式を基本に根治性を追求している. 「原発巣の除去」を基本的理念に部位別, 痔瘻型別に症例に応じた術式を選択してきた. 前側方低位筋間痔瘻で3種の括約筋温存術式を行った. 複雑型痔瘻には括約筋損傷の軽微な後方浅外括約筋弁形成術, 後方低位筋間痔瘻は根治性が高く変形例はあっても術後機能障害が少ない理由で開放術式を採用した. 低位筋間痔瘻全体の再発率は3.4%であった. 隅越法, 瘻管くり抜き法はそれぞれ4.7%, 11%再発し皮弁被覆法で処置し治癒した. 2.3%再発の皮弁被覆症例はシートンで処置した. 筋弁形成術の再発率はIIH3.1%, IIIU4.3%, III+IIH4.0%, IV型25%で152例中6例3.5%が術後再発した. 乳幼児および小児痔瘻の手術成績は良好であった. 再発例は, 原発巣誤認および原発巣除去不十分など技術的要素が主因で術式による有意差はなかった.
  • 辻 順行, 高野 正博, 黒水 丈次, 嘉村 好峰, 豊原 敏光, 石橋 憲吾
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1182-1190
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    術前, 術後1カ月, 術後3カ月に経肛門的超音波検査と肛門内圧検査が施行された側方の筋間痔瘻に対する開放術の7症例, seton術の7症例, 括約筋温存術の19症例の計33症例を対象として検討を加え以下の結果を得た.
    (1) 開放術を施行すると内・外括約筋は切開部を境として急激に収縮が起こり括約筋は開き, 静止圧, 随意圧ともに低下する. (2) seton術は瘻管の開放が進む一方で創の治癒も進むが, 内括約筋は切開されるために, 開放後は開放術に近い静止圧の低下が起こる. しかし, 低位筋間痔瘻の場合瘻管と外括約筋が交叉する程度が軽いために外括約筋が切開される程度は少なく, 随意圧は術後括約筋温存術とほぼ同等な圧が保持される. (3) 括約筋温存術は内外括約筋の断裂が軽く, しかも他の術式と比較すると術後の内圧の低下が軽く病変の根治と術後の機能温存の両方が計られる術式で, 側方の筋間痔瘻に対しても第一選択の術式であると考えられる.
  • 岩垂 純一
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1191-1201
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    低位筋間痔瘻と坐骨直腸窩痔瘻に対し今まで行ってきた括約筋温存術式の推移と, 現時点で行っている術式について述べた. 低位筋間痔瘻に対しての肛門管内より内括約筋を切開しつつ原発口と原発巣を切除し縫合閉鎖する術式は再発率1.3%と根治性はあるが, 原発巣の除去の手技の難しさや内括約筋切開創の縫合不全を解消する目的で最近は内括約筋を温存し原発口の処理閉鎖を重点とする術式を試みている. 坐骨直腸窩痔瘻に対しては筋肉充填術式を行い再発率は1.6%である. 根治性を高めるために筋肉充填部より外側の十分なドレナージを作成し, 原発巣を形成する膿瘍壁の十分な切除を心がけ, 原発巣への到達は原発口から肛門縁への縦切開の後に横切開を加えて行い, 筋肉充填の縫合は感染に強いモノフィラメントの合成吸収糸を用いて行うなどを工夫している.
  • 高野 正博
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1202-1213
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    痔瘻はとくに, 術後に再発・括約不全をきたしやすいという点で治療が困難な肛門疾患である. この実態をみるため, われわれは平成2年1月から12月に手術を行い, 術後5年以上経った204例について長期成績を分析した. 型別にはI型12例, IIL型141例, IIH型20例, III型25例, IV型6例となっている. 術式はI型および後方のIIL型は開放術, 側方・前方のIIL型, IIH型, III型, IV型は原則として瘻管をくり抜き, 内方の原発口部を閉鎖する括約筋温存術を行った. その結果をみると, 治癒期間はI型の平均19.1日からIV型の59.2日, 全平均23.6日であった. 愁訴は術前の387症状から術後73へと減少しているものの, 継続している症状もある. その中でも肛門痛15.7%, 分泌液6.9%, 腫脹3.4%, 硬結2.0%が術後残っている. したがって全症例の45%におよぶ痔核などの合併肛門疾患は, 極力痔瘻手術時に根治するとともに正常組織を可及的に温存し, 愛護的手術を行うことが大切である. 明らかな括約不全症状はわずか4例2.0%にすぎず, また型が深くなるにつれて増大する傾向もない. IIH型, III型, IV型で術前の静止圧, 随意圧は低下し, 術後は正常へ回復している. しかしIV型においては回復せず, 手術の括約筋への影響が大きく, 術後も回復不能であることを示している. 再発は全体204例中6例, IIL型4例, III型2例で, 短期再発1例, 長期再発5例となっている. 再発様式は同型のものが4例で, あとIIL型2例で深い型への再発があった. 再発の原因は術中の見逃し1例, まったく別の型への再発1例, 原発口処置不十分1例, 原発膿瘍残存3例であった. これら再発の4例に括約筋温存術, 2例に開放術を行い, 全例再々発はなかった.
  • 高橋 慶一, 森 武生, 安野 正道, 浅野 道雄
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1214-1229
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    結腸癌切除症例を前期 (1977~1983年) 267例と後期 (1984~1990年) 466例に分けて, 治療成績を臨床病理学的に比較検討した. 5年生存率は前期65.2%, 後期74.7%で, 後期に有意に (p<0.05) 予後の改善をみた. しかし, 根治度A症例の予後は, stage別にみても前期と後期でほぼ同様の予後を示しており, 原発巣を切除するという外科的治療に関しては前期の段階で既に確立されていたと考えられた. 一方再発のリスクの高い根治度B症例で前期33.3%から後期47.8%に改善しており, 転移巣に対する積極的な切除の効果が考えられた. stageIIIa, IIIb症例の予後改善効果が得られなかったのは, 中分化腺癌の割合が増え, 再発形式としても腹膜播種の頻度が高くなったためと思われた. これまで血行性転移に対する治療が注目されてきたが, 今後はとくに腹膜播種を中心とする血行性転移以外の再発治療にも真剣に取り組む時期にきたと思われた.
  • 平井 孝, 加藤 知行, 安井 健三
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1230-1237
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    期間別 (前中後期) に結腸癌の外科治療成績を比較し成績の改善の有無を検討した. 根治度AからCまで含めた全体の成績では後期で有意に5生率が改善していた. その理由はstageIの増加, 根治度B症例の増加と考えられた. 郭清度の拡大による効果はstage別にみた場合統計学的には証明されなかった. しかし, リンパ節転移個数が4個以上の症例については後期症例の成績が改善しており, 進行癌についてはD3郭清を基本とした十分な郭清をこころがけることは小さな効果ではあるが現在, 外科治療でしか得られない効果であり決しておろそかにしてはならないことと思われた.
  • 森田 隆幸, 伊藤 卓, 中村 文彦, 鈴木 純, 馬場 俊明, 南木 浩二, 吉崎 孝明, 遠藤 正章, 袴田 健一, 今 充
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1238-1246
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    直腸癌手術も拡大郭清によって根治性を追求するのみならず, 根治性をそこなうことなく機能温存を図る方向へと変遷してきている. さらに診断技術の進歩や集団検診の普及により, stageの低い症例が増加してきている. 1975年から1983年までの前期症例と1984年から1990年までの後期症例を背景因子や手術成績の点から比較検討した. 後期には腹大動脈周囲リンパ節郭清や腹膜外経路による側方リンパ節郭清をより徹底しながらも, できるだけ骨盤神経叢や自然肛門の温存に努めてきた. その結果, 前期症例の5生率71.2%に対し, 後期では83.3%と有意な手術成績の向上が得られ, stage別内訳をみると, とくにstageIIIaでの5生率の向上がみられた. stageIIIb以上の進行例では外科治療に限界も感じられたが, n3n4陽性例に長期生存例も出てきており, 単なる縮小手術にとどまらず, 拡大リンパ節郭清を図った機能温存手術を基本にすべきと考えられた.
  • 渡邊 昌彦, 寺本 龍生, 山本 聖一郎, 千葉 洋平, 奈良井 慎, 石原 雅巳, 石井 良幸, 安井 信隆, 松原 千登世, 北島 政樹
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1247-1255
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    直腸癌治療の変遷を, 外科的治療とその予後を中心に1975年から1983年を前期, 1984年から1990年を後期と分類して検討した. 外科的治療は拡大郭清による根治手術の確立と括約筋温存を主とした機能温存手術が, 近年の重要な課題であった. 根治度AおよびBが施行された直腸癌においては前期に比し後期のほうが有意に生存率の向上が認められ, とくに根治度Aのstage別にはIII aで有意に改善されていた. この結果は系統的なリンパ節郭清など術式の進歩や転移巣の積極的な切除に帰することが大きいと考えられた. 拡大郭清により直腸癌のリンパ節転移様式が明らかになるにつれて, 側方郭清の重要性が指摘されて積極的に行なわれるようになった. しかし, 側方郭清によって明らかな予後の改善は得られず方法と適応について課題が残されている. 一方, 括約筋温存手術の普及もめざましく, 後期には下部直腸癌の半数以上に本法が施されるようになった. 括約筋温存手術は従来の腹会陰式直腸切断術に比し予後の低下は認められず, さらに術式の改良によって本法の増加と適応の拡大が見込まれる. 今後は, 予後の改善をみなかったstage III bとくに側方移転陽性例に対する集学的治療の確立や, 郭清と自律神経温存の両立などが直腸癌治療の主たる課題となろう.
  • 藤田 伸, 杉原 健一, 森谷 宜皓, 赤須 孝之
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1256-1265
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    目的 : 1984年から1991年までの大腸癌肝転移切除症例の臨床病理学的背景因子と予後との関連, 切除後再発様式と多数回肝切除成績および動注補助化学療法の成績を検討する. 対象 : 国立がんセンター中央病院で治癒的に肝切除された134例を対象とした. 結果 : 単変量解析では, 原発巣のリンパ節転移程度が少ない方が多いものに比べ (P<0.0001), 肝転移時期では異時性の方が同時性に比べ (p=0.049), 肝転移程度ではH1, H2の方がH3に比べ (p=0.018), 肝切離面組織学的癌露出の有無では, 露出のない方があるものに比べ (P=0.004) それぞれ生存率は有意に良好であった. しかし, Coxの比例ハザードモデルでは, 原発巣のリンパ節転移程度に有意差が認められるのみであった. (p=0.0002).肝治癒切除後再発は96例 (72%) に認められ, 残肝再発が70例 (54%) と最も多かった.多数回肝切除例は30例あり10例の5年以上生存例があった.動注補助化学療法の有用性は認められなかった. 結論 : 肝転移切除後の予後のさらなる改善のためには, 肝転移の予防, 危険因子の同定と新たな治療法の確立が必要である.
  • 亀山 雅男, 児玉 憲, 今岡 真義, 中森 正二, 佐々木 洋, 甲 利幸, 石川 治, 古河 洋, 東山 聖彦, 土井 修, 岩永 剛
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1266-1275
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    大腸癌の肺転移は大腸癌手術症例の2.4%が切除対象であり, overallの5年生存率は50%, 10年生存率は43%であった. 根治切除58例の5年生存率は53%であるのに対し, 姑息3例や非切除19例の50%生存期間はそれぞれ1年3カ月, 1年と予後不良であった (p<0.01). 予後因子としては, 術前血清CEA値, 肺転移の個数, 胸腔内洗浄細胞診, 縦隔リンパ節転移があげられた. 診断方法として, ヘリカル胸部CTによる転移巣の数と部位の診断向上があり, 切除方法としては, 特にYAG-Laserを用いた部分切除が有用で, 残肺再切除や肝・肺切除等適応拡大に寄与していると考えられた.
  • 北條 慶一
    1996 年 49 巻 10 号 p. 1276-1281
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
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