日本大腸肛門病学会雑誌
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49 巻 , 2 号
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  • 佐藤 美信, 丸田 守人, 黒水 丈次, 前田 耕太郎, 内海 俊明, 遠山 邦宏, 滝沢 健次郎, 奥村 嘉浩, 升森 宏次, 青山 浩幸 ...
    1996 年 49 巻 2 号 p. 73-82
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    大腸癌患者やその家族とのインフォームドコンセントの際の情報の1つとして術前血清CEA値から病態や予後がどの程度まで推測できるか, および術後フォローアップに際しての血清CEA値測定の有用性について検討した.1986年から5年間に手術を施行した大腸癌329例の検討では, 術前血清CEA正常範囲例は全症例の55.3%と過半数を占めた.術前血清CEA値5.1ng/ml以上では全例が進行癌で, 術前血清CEA値10.1ng/ml以上では78.0%にリンパ節転移を有し, 20.1ng/ml以上の50.0%に肝転移を認めた.術前血清CEA高値例では正常値例に比べて再発率は高く, 予後は不良であった.術前血清CEA高値例では75.0%が再発時にも血清CEA値が上昇したのに対し, 術前血清CEA正常値群では, 62.5%が再発時にも正常値であったため, 術前血清CEA正常値例では術後のfollow upに際して, 血清CEA値測定の有用性は低く, 画像診断が必要と考えられた.
  • 遠藤 正章, 森田 隆幸, 羽田 隆吉, 中村 文彦, 伊藤 卓, 清藤 大, 小堀 宏康, 袴田 健一, 吉原 秀一, 山中 祐治, 今 ...
    1996 年 49 巻 2 号 p. 83-94
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    早期癌を対象とした腹腔鏡下前方切除術について報告した.手術は気腹下に行った.下腸間膜動脈は原則としてS状結腸動脈と上直腸動脈の分岐部の中枢側で切離した.腸管の切除・吻合は, 直腸を病変の肛門側で切離して体外で腸管切除, anvil挿入を実施し, 腹腔内でdouble stapling techniqueにより器械吻合する体外法と, すべての操作を腹腔内で実施し, 切除腸管も経肛門的に摘出してtriple stapling techniqueによる器機吻合を実施する体内法の2つの方法で行った.上記手術を6例 (早期直腸癌3例, 早期S状結腸癌3例) に実施した.全例で腹腔鏡手術を完遂し得たが, 1例では追加切除を要した.手術時間は, 3時間45分~5時間35分 (平均4時間45分) であった.重大な術中・術後合併症はなかった.2例では鎮痛剤の投与を必要とせず, 術後の疼痛は軽微であった.本手術は, 早期癌に対する安全かつ確実な低侵襲手術として有用と思われた.
  • 宇佐見 詞津夫
    1996 年 49 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    大腸癌の間質反応のうち樹状細胞の浸潤について検討した.樹状細胞はT細胞の重要な抗原提示細胞として機能しており腫瘍免疫に大きく関与していることが示唆されている.これを究明するために, 著者は大腸癌局所の樹状細胞の浸潤程度と, 大腸癌の各種予後因子との相関について検討し, 次の結論を得た.大腸癌の発育過程において樹状細胞は腫瘍免疫学的に防衛因子としてとくにリンパ管侵襲とリンパ節転移について大きな役割りを演ずることが推定せられる.
  • 近藤 正男
    1996 年 49 巻 2 号 p. 101-111
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    血管新生阻害剤TNP-470のcolon-26に対する増殖抑制効果につき検討した.方法 : 1) in vitro試験.colon-26 (5×104) をcontrol, 1, 10, 100ng/mlのTNPで処理し、増殖抑制能, 細胞周期、cyclin D 1 m-RNAの発現につき検討した.2) in vivo試験.BALB/cの腸間膜静脈よりcolon-26 (1×104) を移植、肝転移を作成, control, 1, 5, 10,100mg/kgのTNP濃度で肝転移抑制効果につき検討した.結果 : 1) in vitro. day 7における細胞数 (×104) は, 10ng/ml : 457.0±36.7, 100ng/ml : 57.0±26.6と100ng/ml以上では, 細胞増殖は抑制された (p<0.01).また100ng/ml以上では, 細胞周期はG1期が増加し, S期は減少し (p<0.05), cyclin D 1 m-RNAの発現は抑制された, 2) in vivo. day 17での肝転移個数は, control : 5.7±1.5, 5mg/kg : 1.3±1.5と5mg/kg以上では肝転移は抑制された.結語 : TNPは100ng/ml以上で有意にcolon-26の増殖を抑制し, この作用はcyclin D 1の発現の抑制によるG1期への移行の阻害と考えられた.
  • 山田 俊二
    1996 年 49 巻 2 号 p. 112-125
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    大腸癌においてp53, mdm2遺伝子産物発現とPCNAを免疫組織学的に検索し, 臨床病理学的因子, 肝転移, 予後との関連について検討した.p53は69.7%の陽性率で, 各病理学的因了との有意な関連はなかった.mdm2は43.8%に陽性で肝転移群, 脈管侵襲陽性群で有意に陽性率が高かった (p<0.05).PCNA LIは平均45.6%で, 肝転移群および深達度が進むにつれて高値を示した (p<0.05).肝転移群において予後との関係をみると, p53, mdm2単独では有意差はなかったが, p53 (-) 群ではmdm2発現の有無で有意な差がみられた (p<0.05).一方, p53 (+) 群ではmdm2発現の有無で予後に差はなかった.以上より, mdm2蛋白の発現および深達度ss以下でPCNA LIが高値の場合は肝転移の高危険群であることが示唆された。またp53 (-) 群でmdm2が過剰発現する例は予後が悪かった.
  • 伊藤 卓, 森田 隆幸, 遠藤 正章, 中村 文彦, 平間 公昭, 和嶋 直紀, 馬場 俊明, 今 充
    1996 年 49 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    腫瘍細胞の性質が神経性への分化傾向を示し, 局所再発を繰り返したなかで組織学的悪性像が明確となった直腸平滑筋肉腫の1例を経験した.症例は52歳, 男性.昭和59年3月に肛門出血を主訴に来院.直腸平滑筋腫の診断の下, 腫瘍切除術施行.病理組織学的に直腸平滑筋腫の診断となった.以後外来で経過観察していたが7年後に局所再発し再び腫瘍切除施行.病理組織学的に細胞密度の増加と神経への分化傾向を認めるものの平滑筋腫再発の診断であった.さらに1年後再々発を認め, 再び局所切除術施行.細胞密度はさらに増加し, 細胞異型, 核分裂像も高度となり, 直腸平滑筋肉腫の診断となった.免疫組織学的に腫瘍細胞は筋原性, 神経原性双方の分化傾向を有していた.他に再発の兆候無く, 腫瘍の遺残もないと判断されたため拡大手術は施行せず外来にて経過観察することとなった.再々手術から2年経過した現在も再発の兆候は認められない.
  • 菊地 勤, 宗本 義則, 関 健一郎, 飯田 善郎
    1996 年 49 巻 2 号 p. 132-138
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は40歳, 女性で, 仙尾部腫瘤, および直腸癌疑いで当科紹介された.下部内視鏡で, 直腸潰瘍を認め, 組織結果で粘膜固有層内に膠原線維や筋線維の増加 (fibromuscular obliteration), 腺管の過形成, 毛細血管の増生・拡張を認め, 直腸粘膜脱症候群と診断した.また, 尾骨全面, 直腸後壁に腫瘤を認め, 経仙骨的腫瘍摘出術施行し, 組織結果よりepidermoid cystと診断した.成人の前仙骨部epidermoid cystは, 本邦では自験例を含み9例しか報告されていない.このepidermoid cystを切除することにより直腸粘腹脱症候群が改善したことより何らかの誘因となっていたと考えられた.前仙尾部epidermoid cystを伴い直腸癌と鑑別を要した直腸粘膜脱症候群の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告した.
  • 伊藤 生二, 松本 整, 小暮 洋暉, 鷺谷 敦, 大山 渉, 金子 幸雄
    1996 年 49 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    患者は72歳, 女性.下腹部不快感と便秘を主訴として来院した.腹部理学的所見にて臍右側に手拳大の腫瘤を触知した.腹部超音波検査にて臍右側にpseudo-kidney signを認めた.注腸X線検査では横行結腸に内腔のほとんどを占める陰影欠損を認め, 大腸内視鏡検査では白色の隆起性病変を認めた.生検にて良性潰瘍組織であったが腫瘍性病変と診断し, 横行結腸切除術を施行した.組織検査ではAntoni A型良性神経鞘腫と診断された.大腸神経鞘腫は比較的少なく, とくに横行結腸に発生した症例は稀であり, 報告した.
  • 馬場 理也, 石原 伸一, 舛井 秀宣, 松尾 憲一, Y. Ichikawa, 山口 茂樹, 池 秀之, 大木 繁男, 嶋田 紘, 北村 ...
    1996 年 49 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は50歳, 女性.便秘を主訴に近医を受診したところ大腸内視鏡にて肛門縁より4cmの直腸右壁に26×18×15mmのIsp様ポリープを認めたためポリペクトミーを施行された.病理組織診断は深達度smのカルチノイドであった.当科で行われたEUS, CT, MRIにより直腸傍リンパ節 (251) と中直腸根リンパ節 (262) の転移が陽性と診断したため右内腸骨動静脈合併切除を伴う超低位前方切除術, D3リンパ節郭清, 予防的肝動注カテーテル挿入術を施行した.術後組織診断はsmに遺残を認めた混合型カルチノイドで, 251および262リンパ節に転移を認めた.直径2cm以上の直腸カルチノイドはリンパ節転移の可能性が高く, 進行直腸癌に準じた広範な郭清術が必要である.そのため, 術前に充分な画像診断を行うことが重要と思われた.
  • 森屋 秀樹, 中崎 久雄, 田島 知郎, 三富 利夫, 佐藤 慎吉
    1996 年 49 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性.腹部膨満および脱肛による肛門痛のため近医で注腸造影施行.大腸ポリープを認められ, 精査目的にて入院.前額部の脱毛, 全身褐色の色素沈着および爪甲変形を認めた, 胃には典型的なポリポーシスを認め, Cronkhite-Canada症候群と診断されたが, 大腸は小ポリープが散在するが, いわゆるポリポーシスの所見を認めなかった.S状結腸に30mm大の1型 (腫瘤型) 癌を認め, S状結腸切除術を施行した.術後現在にいたるまで胃および大腸のポリープの数やサイズに大きな変化を認めていない.大腸ポリポーシスの所見を欠き, 大腸癌を合併したCronkhite-Canada症候群の稀な1例と考え報告した.
  • 大田 貢由, 大木 繁男, 舛井 秀宣, 池 秀之, 山口 茂樹, 嶋田 紘, 江口 和哉, 下山 潔, 原 正造
    1996 年 49 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    33歳, 女性.18歳と24歳のとき鉄欠乏性貧血のため輸血を受けた.大腸検診で便潜血陽性を指摘され, 大腸内視鏡検査を行ったところ血管腫が認められた.皮膚と口腔粘膜にも血管腫があり, さらに小腸造影でも血管腫があった.貧血は消化管血管腫からの出血によるものと考え, 血管腫の切除を目的として開腹術を施行した.漿膜面からの観察で小腸に27ヵ所, 大腸に7カ所, 肝臓に3カ所血管腫を認めた.大腸の血管腫のすべてを切除し, 小腸に存在する直径1.0cm以上の血管腫は腸管を切開し切除, 1.0cm以下はZ縫合をかけて血流を遮断した.術後3年間の経過観察で貧血もなく消化管の検索で再発を認めていない.Blue Rubber Bleb Nevus症候群は皮膚血管腫に消化管血管腫が合併し下血をきたすものをいい, 本邦では67例が報告されている.この症候群では食道から直腸まで全ての腸管に存在する可能性があり, 全消化管の検索が必要である.
  • 那須 二郎, 固武 健二郎, 小山 靖夫, J. Imura, S. Igarashi, M. Tsumuraya
    1996 年 49 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    上行結腸に原発した内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳の女性で右下腹部腫瘤を主訴に来院した.右下腹部には超手拳大, 弾性硬な可動性を有する腫瘤を触知した.注腸および腹部CTでは上行結腸に巨大な腫瘤を認めた.入院後, 胸腹水が急速に増量し, 腹水細胞診では悪性細胞が認められたが, 確定診断は得られなかった.化学療法を施行したが病状は進行性に増悪し, 入院後40日目に死亡した.剖検所見では上行結腸の巨大な腫瘤, 多数の腸間膜リンパ節転移および腹膜播種が認められた.腫瘍細胞は細胞異型が強く僅かに上皮性結合を示しているものの, 分化傾向は乏しかった.免疫組織学的にはNSE, ソマトスタチン, セロトニンおよびカルシトニンなどが陽性で, 電顕にて細胞質内に多数の神経内分泌顆粒が認められ, 内分泌細胞癌と診断した.
  • 金 鎭千, 高 炳鈞, 呉 聖太, 洪 賢基, 兪 昌植, 李 仁哲
    1996 年 49 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    直腸血管腫は比較的稀な疾患である.症状としては若年期からの反復的な大量出血を特徴とする.当科で経験した症例は大量出血を起こして来院した46歳の男性で, 20年前から無痛の直腸出血で苦しんできた.S状結腸内視鏡検査にて大きさ2×3cmの隆起状粘膜下腫瘍が歯状線の直上部に位置していた.腫瘍は経肛門で切除された.摘出標本は直腸海綿状血管腫を示した.
  • 落合 匠, 杉谷 通治, 野口 肇, 安田 一彦, 森脇 稔
    1996 年 49 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    左側大腸における癌性イレウスに対して保存的治療によりイレウスを解除したのち一期的手術が可能となれば理想的である.本論文では大腸内視鏡を用い経肛門的に左側大腸閉塞部位口側へ減圧チューブを留置する腸管減圧術を試みた11例について検討した.減圧チューブの留置は11例中9例に成功した.不成功2例は減圧術試行中穿孔を起こした症例と5型のS状結腸癌でガイドワイヤーの挿入ができなかった症例である.また減圧チューブ留置にもかかわらず十分な減圧ができず準緊急手術となった症例が1例認められた.減圧チューブ挿入の際の要点は, 閉塞部位が大腸内視鏡にて正面視できることである.閉塞部位が正面視できない場合や, 閉塞部位の癌が全周性でない場合のガイドワイヤー挿入の際には細心の注意が必要であると思われた.本法は緊急手術回避においても有用であり, まず試みるべき方法の一つであると思われた.
  • 竹内 邦夫, 都築 靖, 安藤 哲, 関原 正夫, 大下 栄作, 有沢 文夫, 長町 幸雄
    1996 年 49 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    1970年1月より1994年12月までに大腸穿孔 (外傷性, 医原性および被覆穿孔を除く) 28例を経験した.28例を生存群22例と直死群6例の2群に分け, その予後に影響する因子を検討したところ, 高齢者, ショック, 糞便性腹膜炎および白血球減少が予後を不良にする重要な因子と考えられた。一方, 発症から手術までに要した時間と予後との関係は, 一般にはその時間が短い程予後が良いといわれているが, 自験例では有意な差は認められなかった.結論として予後を大きく左右する因子は経過時間そのものより患者の基礎疾患, 全身状態および腹膜炎の程度であると考えられた.また治療に関しては, 術前から抗生剤や多価酵素阻害剤の投与を含む適切な坑ショック療法と手術術式の選択が重要であると思われた.
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