日本大腸肛門病学会雑誌
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49 巻, 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 松井 敏幸, 八尾 建史, 八尾 恒良, 山田 豊, 岩下 明徳, 古川 敬一, 青柳 邦彦, 八尾 隆史, 渕上 忠彦
    1996 年 49 巻 6 号 p. 455-462
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    X線学的逆追跡により発育速度が判明している表面型大腸癌17病変, 隆起型大腸癌12病変, 計29病変を対象として, その発育速度とp53蛋白標識率とki-67染色標識率の相関について検討を加えた. 大腸癌発育速度はdoubling time (DT) とdiameter increase rate (DIR) で表わした. その結果, p53蛋白の染色程度は表面型大腸癌で弱く, 隆起型大腸癌でより強い傾向があった (p<0.1). 癌細胞異型度別にみると, 高異型度癌では低異型度癌に比し, 過剰発現のあるものの比率が高い傾向があった (p<0.1). しかし, p53蛋白標識率は発育形式と発育速度の両者と関連がなかった. ki-67標識率は発育形式, 癌細胞異型度, p53蛋白過剰発現の有無, DT, DIRのいずれとも相関しなかった. 以上より, p53蛋白およびki-67の染色性は大腸癌の発育速度には相関がないと結論した.
  • 長谷 和生, 望月 英隆, 宇都宮 勝之, 上野 秀樹, 岩本 一亜, 倉永 憲二, 渡邉 千之, 玉熊 正悦
    1996 年 49 巻 6 号 p. 463-469
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    1970年から1987年の間に治癒切除され5年以上追跡された大腸癌964例 (結腸594例, 直腸370例) を対象とし, 癌の浸潤増殖様式 (INF) の予後規定因子としての意義について検討した. 「胃癌取扱い規約」に準じてα, β, γの3型に分類するとαは8%, β82%, γ10%, であった. γ症例の頻度をDukes分類別にみると, Dukes'Aで0%, Bで5%, Cで19%と病期の進行とともに高率となった. γ症例はα, β症例に比べ肉眼型3型, 環周度亜全周・全周, 組織型低分化, 壁深達度si (ai), リンパ節転移陽性, 脈管侵襲中等度以上のものが有意に高率であった. INFγ症例の予後は不良で, 結腸癌ではγ症例はα, β症例に比べ再発率 (66% : 25%、P<0.0001), 累積5年生存率 (29% : 67%, P<0.001) がいずれも不良であり, また直腸癌でもγ症例は同様に再発率 (53% : 32%, p<0.02), 累積5年生存率 (41% : 65%, P<0.05) が不良であった. 以上よりINFは癌の悪性度や浸潤に関する旺盛な生物学的態度を表し, 大腸癌の予後規定因子として有用な指標と考えられた.
  • 栗原 浩幸, 金井 忠男, 伏島 一雄, 久保田 至, 山腰 英紀, 水本 晋作
    1996 年 49 巻 6 号 p. 470-475
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    内痔核の好発部位とそれぞれの位置における痔核の特徴を明らかにする目的で, 内痔核の存在する位置, 痔核の幅, 奥行き, 移動度および痔核に付随する病変について, 低位腰椎麻酔下で検討した. 対象は痔核初回手術例137例であった. 内痔核は左側方・右後方・右前方の3群に分かれるものが多く, 左側方の痔核は2時から5時の範囲で幅が広く, 右後方の痔核は7時から9時, 右前方の痔核は11時で幅が狭いという特徴が認められた. 左側方の痔核は右側の痔核に比べ奥行きが浅い傾向にあった. 右後方の痔核は他の部位に比較し移動度のスコアーが有意に高く脱出しやすかった (p<0.05). 12時と1時の間は痔核の存在頻度が低く, 手術の際に肛門上皮の温存がはかりやすい部位であった.痔核に存在するErosionは脱出の目安となる可能性が示唆された. 随伴裂肛は右後方や右前方の痔核の脇で, しかも痔核の頻度が少ない腹・背側方向に多く認められた.
  • 木下 隆弘, 里見 匡迪, 西谷 英樹, 松村 徹也, 福井 信, 深田 正代, 澤田 康史, 山村 誠, 岡林 正文, 下山 孝, 西上 ...
    1996 年 49 巻 6 号 p. 476-482
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は12歳, 女性. 平成3年11月14日, 血性下痢で発症. 近医にて潰瘍性大腸炎 (以下UC) として加療されていた. 再燃緩解型でUCの増悪期に一致して, 反復するP型アイソザイム優位 (以下P型) の高アミラーゼ血症 (以下高アミ血症) を併発した. そしていずれの高アミ血症時でも膵炎症状は乏しく, 腹部超音波検査, 腹部CT検査所見では異常はなかった. UC再燃ごとの高アミ血症併発例の報告はなく, 本症例は膵炎以外にP型高アミ血症がUCの随伴症状である可能性を示唆するうえで興味ある症例と思われた. 加えて教室でのUC204例中の高アミ血症例, 26例 (12.7%) の病態を検討した. うちP型優位は8例にみられ, 全症例とも活動期に一致して膵酵素が上昇したが, 本症例と同様に症状, 腹部超音波検査, 腹部CT検査所見からは膵炎と診断し得る所見は全例なかった. P型高アミ血症の病態が特に膵炎と最終診断し得る根拠に乏しい場合, 膵に起因するのか他の要因によるものかさらに詳細な症例の集計が望まれると思われた.
  • 島 義勝, 太田 勇司, 佐々木 伸文, 川副 直樹, 劉 中誠, 足立 晃
    1996 年 49 巻 6 号 p. 483-488
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    長期罹病期間をもつ潰瘍性大腸炎に合併した早期大腸癌の1例を報告する. 症例は60歳, 女性で, 12年間潰瘍性大腸炎としてサラゾピリンの内服治療を継続していた. 1年に1度の注腸造影検査あるいは大腸内視鏡検査を行っていたが, 平成6年9月26日の大腸内視鏡検査でS状結腸に隆起型の早期大腸癌が発見された. 10月27日にS状結腸切除術を行ったが術前に癌と診断された病変の口側に認められた隆起性病変もm癌であり, 結果的に多発癌であった. さらに平成7年1月9日にも吻合部肛門側に再発し局所切除施行, 平成7年4月24日にも再発を認め, 腹会陰式直腸切断術を施行した. 潰瘍性大腸炎に多発早期大腸癌が合併するという報告は最近増加してきたとはいえいまだ少ない. われわれの経験した症例を呈示し, 反省点とともにその診断・治療における困難さと今後の展望を述べる.
  • 南 光昭, 殿田 重彦, 湯川 裕史, 下間 仲裕, 岡 正己
    1996 年 49 巻 6 号 p. 489-492
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    polyposis様内視鏡所見を呈した, 右側結腸lipomatosisの1例を報告する. 66歳, 男性で, 下血にて大腸内視鏡検査を施行したところ, 盲腸から横行結腸右側にまでおよぶ黄色調の表面平滑な山田II~III型の隆起性病変を多数認め, 出血源と診断し, 右側結腸切除術を行った. 病理組織像では, 粘膜下に被膜を有さない成熟した脂肪細胞のびまん性増殖からなるlipomatosisの診断であった.
  • 工藤 俊, 川村 博司, 亀山 仁一, 塚本 長
    1996 年 49 巻 6 号 p. 493-497
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性。便潜血陽性のため精査した結果, S状結腸癌を認めた。術前に虫垂病変は明らかでなかったが, 開腹時に7×3×3cmに棍棒状に腫大した虫垂腫瘍を認めた。盲腸への連続性はなく虫垂切除を施行し, S状結腸癌に対しては, S状結腸切除を施行した。摘出した虫垂腫瘍は, 割面が単房性で黄白色ゼリー様物質で充満していた。病理組織学的検査の結果, 虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された. 本症例のような大腸癌に併存して認める虫垂嚢腫は, 本邦では過去に10例の報告であるにすぎずきわめて稀である。しかし欧米ではそれほど頻度が低くはなく, 今後, 虫垂粘液嚢腫の症例に対しては, 大腸癌の併存も考慮して診断, 治療にあたるべきと思われた.
  • -全周性大腸癌との対比で-
    小島 康知, 岡島 正純, 浅原 利正, 有田 道典, 小林 理一郎, 中原 雅浩, 正岡 良之, 豊田 和広, 藤高 嗣生, 川堀 勝史, ...
    1996 年 49 巻 6 号 p. 498-503
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    1980年から1991年の間に切除された全周性大腸癌は107例であり, このうちA群 (イレウスを伴った症例 : 16例), B群 (軽度の閉塞症状を伴った症例 : 37例), C群 (閉塞症状をまったく有しなかった症例 : 54例) に分類し, A群の臨床病理学的特徴および予後に関して他の2群と比較検討した. 年齢, 性別, 肉眼型, リンパ節転移度, 脈管侵襲および組織学的進行度では3群間に有意差は認められなかった. 腫瘍径ではA群はC群に比べ縦径は有意に短く (P<0.05), 横径も短い傾向を認めた. A群の腫瘍占拠部位は, 左側結腸に多く, 直腸に少なかった. 根治度A切除大腸癌症例, 根治度A結腸癌症例および根治度Aでかつリンパ節転移を認めない大腸癌症例の5年生存率でもA群は他の2群と有意差を認あず, イレウスの長期予後に対する影響は少ないと考えられた. イレウスをともなった大腸癌においても積極的な切除と郭清が必要と考えられた.
  • 直腸カルチノイド
    1996 年 49 巻 6 号 p. 504-517
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 49 巻 6 号 p. 518-540
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
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