日本大腸肛門病学会雑誌
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50 巻 , 10 号
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  • 岩垂 純一
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1089-1095
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛が単に肛門上皮の外傷であるのでなく,裂肛にみられる高い肛門管静止圧と,それに関連した肛門上皮の虚血状態が深く関与していることが肛門内圧測定やlaserDopplerflow-metryなどを用いた検査で明らかとなりつつある.また硝酸グリセリンやボツリヌス毒素による内括約筋の一時的な弛緩,不全麻痺を利用して裂肛を治癒させようとする薬物的内括約筋切開術が行われるようになり,今後,新しい治療法としての確立が期待される。裂肛の外科処置として行われてきた肛門拡張術や裂肛の第一選択の術式として行われている内括約筋切開術に対して術後の経肛門的超音波検査で実際の括約筋の侵襲の度合いが検索され,術式の検討がなされている.以上,裂肛の病態,治療法に対しての最近の知見を欧米の論文を中心に述べた.
  • 日高 久光, 井上 文孝, 黒木 政純, 廣国 敏昭, 外山 裕二, 長田 康彦, 馬場 広
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1096-1102
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛の治療法には保存的療法,外来処置,手術療法があるが,狭窄を伴った慢性裂肛は手術療法の適応となる.手術療法も種々の術式が考案されているが,高度の全周性瘢痕狭窄をきたしている例にはsliding skin graft(SSG)が適応となり,わが国では現在広く普及している.しかし,原理的には非常に優れた本術式も,真横にできる粘膜皮膚縫合部の瘢痕や炎症を生じることから術後の愁訴を残すなどの欠点が報告されている,われわれも狭窄型の慢性裂肛に対してこのSSGを行ってきたが,症例を重ねると少数例ではあるが術後に痛みやしこり,違和感といった愁訴を残す例を経験している.今回この愁訴の原因となる本術式の欠点や手技上の注意点を検討した.また1989年高野はSSGの欠点を補う術式として歯状線形成SSGを考案し発表したが,われわれも少数例ではあるが本術式を試み,良好な結果を得た.
  • 佐原 力三郎, 岩垂 純一, 奥田 哲也, 碓井 芳樹, 尾島 博, 山名 哲郎, 大堀 晃裕, 山口 時子, 岡本 欣也, 辻 大志, 大 ...
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1103-1108
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛が慢性化した場合,肛門狭窄,肛門ポリープ,みはりイボなどを合併し、肛門痛の遷延のみならず排便障害や脱出症状をきたし,裂肛はさらに深掘れし保存的治療では難治性となるため手術適応となる.内括約筋レベルの肛門狭窄に対してLSISを行い,LSISだけでは解除不可能な肛門上皮レベルの高度狭窄例にはSSG法を行う.肛門括約筋に侵襲のかかる術式ゆえ愛護的に行わないと術後の肛門機能愁訴を招く恐れもあり注意深く行うべきである.
  • 松田 直樹, 伊藤 公志
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1109-1114
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    この研究は裂肛に対する側方内括約筋切開法(以下,1.SIS法とする)の長期の患者の満足度と後遺症などについて調べたものである.1991年~1995年の3年8カ月間に当院で行ったLSIS法で,追跡が可能であった158例を対象に術後2~5年(平均4年5カ月)後の成績を調査した.その結果,手術の満足度98%,平均治癒日数27日,治癒遷延6例,再発4例,痔瘻形成1例であった.後遺症は4年目以降,そして40代の後半に多い.それらは「僅かなガス漏れ」13例(8,2%),「僅かな便漏れ」5例(3.2%),「下着の汚れ」soiling9例(5.6%)の計27例(17.1%)であった.以上により,LSIS法は利点も多いが,長年経てから出る後遺症もあるので手術に際しては慎重に症例を選び細心の手術をすることが大切である.
  • 早川 一博
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1115-1119
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門狭窄に対するsliding skin graft(SSG)法はA. G. Carmelにより1948年に発表され,1961年坂部らにより本邦に紹介された.その成績は秀逸で,LSISでは治癒せしめるのに困難な肛門狭窄に対して現在最も標準的に施行されている術式の一つとなっている.しかしSSG法の合併症には括約筋切離による括約筋のincontinence,瘢痕形成や異常知覚の残存という術後問題も存在する.そこで筆者は,これらの問題に対処し,創治癒期間の短縮をめざして,SSG法の皮膚弁に工夫を加えたSSG変法であるextended skin graft(ESG)法を考案した.その方法および臨床的意義,さらに少数例ながら当院における治療成績などについて報告する.
  • 畑 嘉也, 黒川 彰夫, 増田 芳夫
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1120-1125
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    裂肛は慢性化すると肛門狭窄,肛門ポリープ,皮垂,痔瘻などの二次的変化を伴い,治療に難渋することがある肛門疾患であり,わが国では側方皮下内括約筋切開術(LSIS)と皮膚弁移動術(SSG)が好んで実施されている.しかし最近,これらの遠隔成績から術式の選択と長期の予後について検討される傾向になってきた.その結果,臨床医にとっては各種の保存的療法や手術的療法など治療法の選択に悩む場合がある.そこで筆者らは本間棗軒の「瘍科秘録」および畑嘉聞の「非観血的痔疾療法」に記載された古典的な治療法からヒントを得て,「振り分け結紮術」を考案,1988年から本院で実施したところ良好な成績を収めてきた.本法は局所麻酔下で外来通院治療が可能で,誰でも容易に施行できる簡単な術式であるが,種々の程度の裂肛に対応でき,minor incontinenceなどの術後障害を生じ難い有用な方法である.
  • 黒川 彰夫
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1126-1127
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 北條 慶一, 矢羽野 荘光
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1128-1131
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    A current status of laparoscopic bowel surgery for cancer in Japan was investigated with collaboration of the majority of main hospital in the country and by sponsership of Japanese society for cancer of colon and rectum.
    81 of 113 (71.7%) main surgical departments in Japan have introduced this procedures in practice since 1993.
    A total of 958 cases in the last 3 years (1994-1996) have been treated by this procedure and this number indicates 7% of all surgically treated cases of the colorectal cancer during the same peirod.
    796 of 958 cases (83%) were the early cancers without lymphnodes involvement. The laparoscopic bowel surgery has been generally indicated for the cancer in early stage.
    The cases converted from this procedure to usual open surgery were 54 (conversion rate is 6%). The main reason for conversion was technical difficulty due to intraabdominal dense adhesions.
    There were the early postoperative complications including, in 70 cases, local subcutaneus abscess in the place where the trockers were inserted at the time of laparoscopic surgery, anastomotic leakage in 18 cases, local bleedings in 13 cases, bowel obstructions with adhesions in 14 cases and port-site-hernia in 6 cases.
  • 宗像 康博, 林 賢
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1132-1137
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下大腸切除術においては,良性腫瘍およびm癌にはD0・D1リンパ節郭清を,sm癌にはD2リンパ節郭清を適応としている.超音波凝固切開装置(UCS)の出現で,腹腔鏡下横行結腸切除術や腹腔鏡下低位前方切除術が可能になった.大網の切離,側方靱帯,中直腸動脈の切離はクリップを使用することなく,UCSで可能である.早期癌に対しても,創部再発に注意する必要があり,腸管の切離には自動縫合器を使い,切離後は断端を直ちに組織収納バッグに納めている,自験例82例の最長5年10カ月の観察で再発はなく,内視鏡的切除で治癒の困難な大腸早期癌に対しては確立された治療となり得る.
  • 小西 文雄, 永井 秀雄, 岡田 真樹, 小沢 昭人, 金澤 暁太郎
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1138-1144
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡補助下結腸切除術は,一般的には,大腸内視鏡によって摘除できないような腺腫や早期癌に対して施行されている.しかし,結腸進行癌に対しても症例を選択して施行すれば通常の開腹手術と同じ範囲のリンパ節郭清を施行することができ,根治的な手術となりうると思われる,広範囲な癒着が予想されるような開腹手術の既往がないこと,肥満体でなく腸間膜の脂肪が少ないことが予測されること,病変の部位が盲腸,盲腸に近い上行結腸,S状結腸中ほどの病変であること,などの条件がそろえば,腹腔鏡補助下手術で第2群,第3群までのリンパ節郭清が可能であり,根治的な手術となりえると考えられる.われわれは,29例の大腸進行癌に対して本術式を施行した結果,適切に症例を選択して行えば,開腹手術と同様のリンパ節郭清が可能で,根治的な手術となると考えられた.しかし,欧米においてportsiterecurrenceの報告もあるので,今後の遠隔成績の結果を検討する必要がある.
  • 渡邊 昌彦, 寺本 龍生, 日比 紀文, 北島 政樹, M. Ohgami
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1145-1150
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    近年,腹腔鏡下手術が早期大腸癌をはじめとして各種の腸疾患に応用されるようになった.とくに炎症性腸疾患の治療においては,低侵襲性が重視されることから本法が適していると考えられる,われわれはクローン病19例,潰瘍性大腸炎4例に対して本法を導入した.方法は腹腔鏡下に癒着を剥離し大腸を授動後,小切開創から腹腔外に露出し,直視下に切除・吻合を行う腹腔鏡併用(補助下)手術である.保存的治療によって寛解導入された症例は,癒着も腹腔鏡下に剥離可能であり,内瘻も切離可能であった.術後創痛も軽微で運動制限も軽減され,若年者に多い炎症性腸疾患には,美容上優れている上に低侵襲な腹腔鏡下手術は適している.とくにクローン病では腹腔鏡下手術が外科的治療の一つの選択肢となる可能性がある.
  • 宮島 伸宣, 酒井 滋, 山川 達郎
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1151-1157
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当科における完全直腸脱に対する腹腔鏡下直腸固定術の手技について述べた.手術の順序は通常の開腹手術における直腸固定術と同様である.直腸を十分に授動し,尾側は肛門挙筋が露出するまで十分に剥離を行う.腹腔鏡下手術における視野は,通常の開腹手術よりも良好で,小骨盤腔内の深い部分も十分に観察することが可能であった.また自律神経も通常の開腹手術よりも良好な視野の下で温存できた.しかしモニターに映しだされた二次元の画像を見て手術を行うため,深度感覚,触知感覚がないので不用意な操作による臓器の損傷などに注意する必要があり,手技に習熟する必要があると考えられた.これまでに5症例に対し腹腔鏡下直腸固定術を行ったが,術後1週間以内の退院が可能であり,軽度の便秘を訴えている症例が1例あるが,現在までに再発を認めていない.したがって腹腔鏡下直腸固定術は全身麻酔が可能な症例であれば完全直腸脱症例の治療における第一選択になりうると思われた.
  • 加藤 知行, 平井 孝, 安井 健三
    1997 年 50 巻 10 号 p. 1158-1164
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌に対する腹腔鏡下手術(腹腔鏡補助下手術を含む)を開腹術を行う立場から評価した.腹腔鏡下手術は技術的にも癌の手術として耐えうるとの報告があるが,その剥離・郭清手技は鈍的な操作が多く,癌に対する手術操作とはいえない.長期予後については今後の多数症例による解析に待たねばならないが,腹腔鏡下手術に特有のport site recurrenceとそれに伴う高頻度の腹膜再発は致命的な欠点であり,症例の選択や気腹を避けて吊り上げ法を選択する,切開口を大きくするなど手術法の検討が要求される.腹腔鏡下手術は新しく行われ出した手術技術であるから,開腹術と同等の適応や効果を目指すのではなく,本術式にふさわしい適応を確立することが期待される.
  • 1997 年 50 巻 10 号 p. 1165-1167
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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