Rectoceleに対して,経膣的に余剰な膣壁の切除,縫縮と同時に,直腸膣中隔の補強の目的で,恥骨直腸筋および肛門挙筋の縫縮を行うanteriorlevatorplasty(ALP)を施行した症例の,術後の症状と機能の変化にっき検討した.対象は,有症状のrectocele5症例で,平均年齢は61歳で,2例は便失禁を,3例は尿失禁を合併していた.手術は,全例に余剰膣壁の切除,縫縮とALPを行い,便失禁の2例にはsphincter plicationを追加した.術後,全例で症状と便,尿の失禁は改善した.直腸肛門内圧検査では,全体として大きな変化はなかったが,術前に最小便意発現量,最大耐容量,最大静止圧が異常高値を示した例では,術後これらの値が低下し,便失禁例では,肛門管長,最大静止圧の上昇がみられた.術後の排便造影検査では,全例rectoceleは消失した.rectoceleに対するALPは,症状,形態異常の改善とともに,合併失禁例にも有用な術式であることが示唆された.
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