日本大腸肛門病学会雑誌
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50 巻 , 3 号
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  • 牧角 寛郎, 今給黎 亮, 牧角 丞治, 今給黎 茂, 牧角 仙烝, 石沢 隆
    1997 年 50 巻 3 号 p. 149-154
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    わが国では,大腸癌による死亡率の上昇に対し,早期発見・早期治療を目的として大腸癌集団検診が施行されてきた.当院でも集団検診発見例を多く経験してきたが,逆に実績が上がるにつれて今後の課題も多く認められている.今回1988年より1995年まで当院で発見された症例を,逐年検診群,初回検診群,要精検未受診群の3群に分けて大腸癌検診の効果的・効率的サーベイランスについて検討し以下の結果を得た.(1)逐年検診群では,m癌が多く発見される.(2)初回検診群では多くの癌が発見され,m癌以外のいろいうなstageの癌が発見される.(3)要精検未受診群は,m癌以外の進行した癌が40%に発見されている.以上より初回検診受診率・要精検受診率の向上が大腸癌検診の効率化に有用と思われる.(4)初回検診にて精検を施行し,異常なければ初回検査の見逃し病変を拾うための1年目の経過観察以降は,隔年検診でも問題はないと思われる.
  • 野首 光弘, 斎藤 建, 小澤 昭人, 小西 文雄, 金澤 暁太郎
    1997 年 50 巻 3 号 p. 155-162
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    3名の家族性大腸腺腫症患者の予防的全大腸切除材料の肉眼検索で中央陥凹を有する病変を全例に認めた.このような病変を含む粘膜領域4カ所を選び,長径2mm以上の全病変を切出して組織学的に検索した,表面型ないし無茎型の腺腫病変52ヶの平均長径は2.5mmで,その中央の粘膜固有層(以下,固有層と略す)の厚みを非病変部と比較した値(厚み値)が負のものではリンパ濾胞を伴うことが多く(20ヶ中15ヶ,p<0.05),筋板の断裂も見られた.正のものでは腫瘍腺管が筋板と離れていることが多かった(23ヶ中16ヶ,p<0.05).厚み値の度数分布は単峰性で,52ヶを「陥凹群」と「隆起群」に区別することはできなかった.炎症に伴って筋板や固有層間質が変化することにより,微小腺腫病変中央の陥凹が消失する可能性が示唆された.
  • 長谷川 修三, 岩下 明徳, 二見 喜太郎, 喜多村 邦弘, 有馬 純孝
    1997 年 50 巻 3 号 p. 163-176
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    内分泌細胞癌を除き低悪性度の腫瘍とされている直腸カルチノイドの特徴,ならびに悪性度の指標を明らかにするために,101例106病変の切除例を対象として臨床病理学的ならびに免疫組織化学的に検討を行った.平均年齢54.5歳,男性に多く,部位別には下部直腸に高頻度であった.固定標本上腫瘍は平均6.05mmであり,径の増大とともに深達度は深くなり,表面性状からみると中心陥凹・潰瘍形成が深達度と深く関与していた.とくに10mm以上になると陥凹・潰瘍形成が顕著となり筋層におよぶ症例もみられた.組織所見としては核分裂像陽性率およびKi-67陽性細胞出現程度が,腫瘍径では5mm以上,表面性状からは陥凹・潰瘍形成例で有意に高かった.転移を生じた4例(3,9%)を悪性群として検索を行い,直腸カルチノイドの悪性度の指標,ひいてはリンパ節郭清を含む腸管切除の適応として,これまでに指標とされてきた腫瘍径,表面性状,核分裂像に加えて免疫組織化学的所見として,Ki-67陽性細胞の強い出現程度ならびにp53陽性所見がさらに重要な因子と考えられた.
  • 田口 夕美子, 大野 博之, 白鳥 泰正, 金田 繁樹, 宮沢 秀明, 小林 智子, 木幡 義彰, 片山 麻子, 宮岡 正明, 斉藤 利彦
    1997 年 50 巻 3 号 p. 177-182
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.大動脈弁閉鎖不全兼狭窄症にて弁置換術施行後,便潜血反応陽性を指摘され,大腸内視鏡を施行した.以来6年間の経過観察中に5個の早期癌,39個の腺腫が認められた.早期癌はすべてIIa型で,癌および腺腫の22.7%(10/44)は表面型腫瘍であり,これらの多くは右側大腸に分布していた.本症例は母親が73歳,妹は58歳で大腸癌で死亡しておりHNPCCの診断基準に合致し,さらにLynchらのflat adenoma syndromeの可能性も考えられた.1992年に肝弯曲部のII a型早期癌に対し,右半結腸切除術が施行された.深達度sm1の腺腫を伴う高分化型腺癌で,同病変の遺伝子学的検索ではK-ras codon 12の点突然変異は陰性,p53変異陽性,microsatellite instability陰性であった.家族内に大腸癌集積を示す表面型腫瘍多発症例においてもp53の異常が関与する可能性が考えられたが,マイクロサテライト領域の遺伝子不安定性についてはさらに症例数を増やしての検討が必要と考えられた.
  • 犬塚 清久, 荒木 靖三, 磯本 浩晴, 大北 亮, 弓削 啓仁, 白水 和雄
    1997 年 50 巻 3 号 p. 183-190
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,女性.16歳時より便秘が出現し加齢とともに増悪.来院時はあらゆる内科的治療に抵抗性を示し,生活を制約されていた.結腸直腸に形態的異常を認めず,直腸肛門内圧測定検査,defecographyにて二次的な直腸の機能障害を認めたが,排便機能は保たれていた.transit time studyにて著明なslow transit constipationを呈し,大腸亜全摘出(結腸全切除+回腸直腸吻合術)を施行した.術後,良好な排便状態が得られ直腸機能も改善した.切除腸管の鍍銀染色による検討にて,全結腸のAuerbach神経叢内好銀性細胞の減少を認め,結腸の神経原性異常が示唆された,本症の成因,診断,治療について文献的考察を加えて報告する,
  • 中川 英刀, 三嶋 秀行, 吉川 宣輝, 柳生 俊夫, 竹政 伊知朗, 飯石 浩康
    1997 年 50 巻 3 号 p. 191-195
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性で,便潜血陽性で注腸検査をしたところ,S状結腸に8mm大の隆起性病変を認めた.大腸内視鏡検査では,同部位に周囲の軽度隆起の上に乳首様のIs型ポリープを認め,生検結果は腺腫であった.内視鏡的切除を勧めるも拒否し,経過観察とした.32カ月後に注腸検査にて19mmまで発育し,大腸内視鏡ではすでに小型の2型大腸癌まで発育していた.開腹切除術を施行し,切除標本は高分化腺癌,ss,NPGタイプの発育形態であった.この大腸癌の発育進展を考えるに,発見されたIs型ポリープはすでにsm癌であり粘膜下層に癌が存在していたと推測され,これがNPG型の発育をして,32カ月の間に初期の腺腫成分が脱落して,小型type2となったと推測される.大腸腫瘍の自然史については注腸による遡及的検討などのさまざまな議論が行われているが,自験例は,内視鏡的にIs型ポリープからtype2の進行癌への発育を観察し得た貴重な症例といえる.
  • 木村 聖路, 鈴木 和夫, 相沢 中, 塩谷 晃, 山形 和史
    1997 年 50 巻 3 号 p. 196-203
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性.便潜血反応陽性のため当科受診し,盲腸腫瘍を指摘され入院した.諸検査にて胃前庭部腫瘍,十二指腸球部ポリープ,盲腸の結節集籏様病変およびS状結腸の黄白色調多発粘膜下腫瘤を指摘した.前3者には手術を,S状結腸病変には内視鏡的粘膜切除を施行した,病理組織学的には胃前庭部腫瘍は粘膜下層まで浸潤した早期胃癌があり,その直下に平滑筋腫が併存していた.十二指腸ポリープは粘膜下層に主座を置くカルチノイドであり,盲腸の結節集籏様病変は粘膜層にとどまる腺管腺腫であった.S状結腸では粘膜下層に塊状のアミロイド沈着があり,それが黄白色腫瘤を形成していたが,他の消化管にはアミロイド沈着を証明しえなかった.アミロイドーシスに4種類もの多彩な消化管腫瘍を合併し,大腸にのみアミロイド沈着による腫瘤形成を認めたきわめて稀な1例であった.
  • 角田 明良, 渋沢 三喜, 張 仁俊, 張 〓, 草野 満夫, 小泉 和雄
    1997 年 50 巻 3 号 p. 204-208
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    完全直腸脱の4例にDelorme手術を行い,術前後の排便機能を評価した.症例は男性1例,女性3例,平均年齢は75歳であった,平均2年10カ月の術後経過で再発はなかった.術前後の臨床症状をみると,1例で便意が回復し,1例で失禁の程度が軽快した。直腸肛門内圧検査では,肛門管最大静止圧は術前後で有意の変動は認められなかったが,最大随意収縮圧は術後上昇する傾向が認められた。直腸感覚検査では便意発現最小量と最大耐容量はともに減少する傾向があり,このため術後に排便困難をきたした症例がないものと推察された.一方,術前肛門内圧が低圧の症例では,incontinenceは術後も改善しなかった。Delorme手術は術後合併症が少なく,未だ再発例がなく,手術術式の第一選択とすることが可能と思われる.
  • 1997 年 50 巻 3 号 p. 209-226
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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