内視鏡的ポリペクトミー後,定期的な経過観察中4年8カ月目に粘膜下の進展を主体にして特異な肉眼形態を呈し再発したS状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,4年8カ月前にS状結腸の15mm大の山田3型のポリープのポリペクトミーを施行された.組織診では粘膜筋板を越える腺腫内癌と診断され,注腸検査(注腸),大腸内視鏡検査(CF)による経過観察を行っていた.CFによる最終経過観察後19カ月目のCFでポリペクトミー部にIIc advanced様の腫瘤が発見され,注腸では腸管の高度なひきつれを伴う潰瘍性病変が描出された.開腹所見は,H0,P0,SE,N1でS状結腸切除(D3)を施行した,切除標本では3cm大の正常粘膜に被われた腫瘤の中心に0.8cm大の潰瘍を伴う腫瘍を認め,組織学的には粘膜下の進展を主体にした高分化腺癌でss,ly2,v0,n2であった.初回標本の再検でポリープはsm2,ly2,v0の高分化腺癌で,粘膜下部分の癌の遺残による再発と考えられた.
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